2016年5月5日木曜日

インフレと低金利_6 : 構造要因(先進国と新興国)

(1)新興国はグローバリゼーションに組み込まれている
1990年代から加速したグローバリゼーションは、人・物・金の最適調達(=グローバル調達)、特に生産拠点の配置を大きく変えた。




各種資源をグローバルに調達する企業(上図企業B)としない企業(上図企業A)では、人・物・金の資源の最適調達力で差がつくことが明白だ。
国際競争にさらされる企業においては、グローバル調達の巧拙は販売する製品やサービスの競争力に直結する。
つまりグローバル調達は生き残りのために必須であり、今後も進展すると予想される。

工場の海外流出によって、先進国内では調達される資源量が以前よりも減少するので、インフレが起こりにくくなる。
工場の進出先(=新興国)で調達するようになった資源(特に、人・物)は、先進国では余剰傾向が強まり、価格は低下する。

一方、新興国内では以前よりも調達される人や物の量が増加するので、インフレが起こりやすくなる。

なお自動車産業に代表されるような雇用吸収力が大きく、将来的に輸出(=外貨の獲得)が期待できるような産業に関しては、新興国が税金などの各種の恩恵措置を講じて、工場の誘致を行う。
また、
輸出企業に対して「消費地生産=工場と技術の移転」を要求するので、日本の自動車産業の工場の海外移転は終わらないだろう。

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