2013年8月31日土曜日

バブルは、あなたの心に生まれる

経済に周期的な変動があるように、株式市場も周期的に変動する。

株価が大幅に上昇し、PERなどの指標で見て非常に割高なレベルが長期間継続すると、その後大幅な下落に見舞われる。
下落後に、あれはバブルだったと言われる。
株価の暴落は、経済を苦境に陥れる。

バブルとは何だ? 
何故、発生するのか?

株価は、企業利益の現在水準、将来の方向性と安定度で決まる。
また、他企業との相対関係も重要だ。他社と比較して、『A社がこの値段なら、B社はこの程度だ』という相互比較が機能し、複数銘柄の株価がバランスする。

複数銘柄間の裁定機能が働けば、個々の株価は一定の範囲内に留まり、突飛な下落や上昇が抑制される。企業Aの株価が適正株価レンジをハズレたら、その他企業B、C、Dとの裁定売買が発生し、短期間でもとのレンジに戻る。

しかし非常に希に、適正範囲を超えて上昇しても、裁定が働くどころか、その他の企業の株価も引きずられて上がる事がある。
その現象がほぼすべてのセクターに広がり、多くの株のPERが過去のレンジを上に突き抜けてしまう。この状態が数か月で終わらずに、年単位で続くと、これがバブルだ。

バブルは人間の心から生まれる。
景気が良くて、しかも近隣諸国よりも、自国の状態が『うらやましがられる』ような時にバブルは発生する。
80年代後半、日本や海外で日本を賞賛する本が多く出版された。景気が良くて、しかも近隣諸国よりも、自国の状態が『うらやましがられる』ようなこの国の株価は、近隣諸国よりも高くても当然であると考えてしまう。
これは思い上がり、自己過大評価だ。あなたの心に生まれたバブルの芽だ。

自己過大評価がドンドン上昇し、連動して株価も上昇すると、投資家全体の気持ちが良くなる。
この喜びは優越感だ。最初は、いつかは終わるという不安と同居するが、時間の経過とともに、この状態は当然だと思うようになり、最後は「ずーっと、続いてほしい」と思うようになる。

気持ちが良い時代には、株や不動産で儲かったという話がメディアに溢れる。
自分の回りでも儲かったと言う人が散見され始めると、欲望や嫉妬が心に同居する。
特別な才能など持たない同僚が儲かったと知ると、いてもたってもいられない。

1:彼彼女に金儲けができるのなら、自分にもできる。
2:自分より馬鹿な連中は、もっと値上がりした割り高な株価でも買ってくれる。
3:だから自分は損をせずに売り抜けられる。

この思考パターンを「より馬鹿理論」と言う。
人類数千年の歴史で絶えることなく繰り返してきた。
より馬鹿理論はおかしい。後々子供たちの時代には笑われるハメになる。

困ったことに、バブルの初期は「より馬鹿派の勝ち」だ。
思い上がり、自己過大評価のグループに加わる人がジワジワと増加し、株価を押し上げ続ける。
現状を正当化する「特別な理論」が登場し、更なる投機へとお金を吸い寄せる。
思い上がり、自己過大評価の程度が、ドンドン上昇する。
そしてバブルが完成する。

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2013年8月30日金曜日

需要と供給のミス・マッチが解消したメディア業界

顧客の需要を正確に測定し、それにフィットした商品やサービスをいち早く提供する。
ビジネスの基本だ。

競争が激しいほど、最大需要を獲得しようと各社が競って、顧客が喜ぶ商品やサービスが大量に提供される。
需要と供給がバランスし、資源(人・モノ・金)の最適配分が生まれる。

昔のメディアの需給関係は上記とは異なる構造だった。
19世紀、20世紀の新聞、ラジオ、TVなどの情報サービスに対する需要は、
1:高度、専門的、政治経済、教育・芸術、真面目・・・・少ない需要
2:大衆娯楽・・・・多い需要
3:エログロ、ナンセンス、麻薬、自殺、爆弾・・・需要不明
、という分布が平常状態と推定される。

これに対する供給は、
1:高度、専門的、政治経済、教育・芸術、真面目・・・・やや多目の供給
2:大衆娯楽・・・・やや少なめの供給
3:エログロ、ナンセンス、麻薬、自殺、爆弾・・・提供自粛
、という状態だった。

この背景は、
1:良いものを提供したい、国民のレベルを引き上げたい、という使命感
2:供給(特に電波)が実質意的に独占で過少供給状態なので、読者・視聴者は、ソレを受け取る以外に選択肢が無かった
3:過少供給によってメディアは超過収入を享受できたので、少ない需要「高度、専門的、政治経済、教育・芸術、真面目」分野にも、需要以上の予算を配分できた。
、という事だった。

21世紀になって、インターネットが飛躍的に発達し、供給制約が急速に縮小している。
「大衆娯楽に対する膨大な需要」に対して、インターネットやケーブルTVなどが大規模に進出した。
「エログロ、ナンセンス、麻薬、自殺、爆弾」という暗部にも、インターネットが進出した。
同時に需要測定技術が高度に発達した。

これらの要因に背中を押されるように、メディア各社は「存在する需要」に合わせた番組を素直に提供する姿勢になった。
換言すれば、「過去から続いていた需要と供給のミス・マッチ」が解消したのだ。
これをメディアの堕落と短絡的に糾弾するのは片手落ちだろう。
「過少供給+超過収入」がもたらしていた「高度、専門的、政治経済、教育・芸術、真面目」分野に対する需給以上の予算配分は二度と戻ってこないと判断する。

例外は、
1:NHKなど強制的な収入源を確保できるメディア。
彼らは、べき論で番組を提供する事が可能だ。
2:特定分野に特化し、long tailを活用することでニッチに活動するメディア。
ここは会員制、有料化が進むだろう。

SNSの伸長は、上記の動きと軌を一にしていると思う。

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2013年8月28日水曜日

ガッカリの法則

決算発表は、事前予想を上回ったり、下回ったりする。
株の反応は、それに正比例しない。

上回った時の株価の上昇幅よりも、下回った時の株価の下落幅が大きい。

コンセンサスは、客観的な予測値よりも弱気側に振れる傾向があり、発表される現実の企業決算数値は、たいていの場合予測を上回る。(参照→強気派、弱気派、心配派
それは、「予測が下にハズレてガッカリすることは、めったに無い」事を意味する。
だから、下振れは驚きのガッカリ暴落を引き起こす。

株価の反応の非対称性は、行動心理学では有名な法則だ。
100円拾った時の喜びよりも、100円なくした時の悲しみの方が大きく、後悔の時間も長い。

ショック安は、まずは短期に大きく下がる。そして、すぐには立ち直らない。
嫌な事からは、即刻逃げ出したい。再チャレンジは、嫌な記憶が消えるまでしない。

良いことはジワジワとしか織り込まない。
本当に喜んでいいのか不安だから。

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強気派、弱気派、心配派

投資家心理は、強気派、弱気派、心配派に3分類できる。
それぞれの割合は、強気派(15%)、弱気派(15%)、心配派(70%)といった感じだろう。



普通の人は付和雷同する心配派
自分独自で決断を「しない」性格、人より先に動くのが「嫌い」な性格だ。
相当値段が上がって時間が経過しないと、納得して買わない。
相当株価が下がって時間が経過しないと、諦めて株を売らない。

心配派の予測は、上下30%というのが正しいと思っても、「上10%~下20%」のように、中心に寄せ、かつ弱気側を大きめにする。
平均的な人(=心配派)は、弱気すぎるな予測をする。

これは、企業の決算発表の時の予測の当たり・ハズレに於いて面白い結果を生む。
控えめで弱気な予測をしているので、現実の企業決算数値は、たいていの場合予測を上回る。

私も色々迷うことがある。
しかし、意見を聞くのは強気派と弱気派の人に意見を聞くようにしており、心配派の意見は避けるようにしている。
理由は、心配派は自分で考えて出した結論ではないことが多いからだ。

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2013年8月25日日曜日

人間は社会的な生物なので、予測を担当させるには不適格

今と同じであってほしいと願う人間の願いを逸脱して、世界の様々な事象は大幅な変動をする。
では、大幅変動を予測する人を尊敬するかと言うと、さにあらず、大胆な予測人には常識ハズレだと嫌悪感を感じる。

人間が保守である背景は、人間が社会的生き物であることだ。
他人と異なることを避ける性癖がある。
また自己に対する社会的評価の低下を恐れ、「ハズレた時を心配した差しさわりのない予測」をする。
例えば、現在の上下10%の範囲でしょう、という根拠のない実にツマラナイ、読むに値しない予測がコンセンサスになる。

通常、物の値動きは、そんな保守的な予測範囲を遥かに超えて動く。
それゆえ少数派であり一見極端な予測を述べる強気派や弱気派の予測にこそ、聞く価値がある。
ただ、結論を読むのではなく、結論を支えている要素・ファクターを参考にし、自分で判断するのだ。

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規則や法則が好きな人間、嫌いな株式市場

株価の規則性や法則を発見!プログラムが完成して、常勝の自動売買
あなたは寝ていても、プログラムが利益を積み上げる画期的な自動売買プログラム
毎日のようにネットにあふれている。

"株価はこの法則で動いている"とか、"株価の動きの規則性を発見!"とか、"株価はこうやって決まる! "など、この手のふれこみ商品で、数年間の時の試練を待て生き残っているモノを、私は知らない。

人間が常駐してお世話しないでも毎年儲けられる自動売買システムを私は知らない。
あっても、何故他人に公開する? 
オカシイと思わないか?

多くは、その時に金を集めて、その後は尻つぼみ、悪質はトンズラ
数年後に、同じグループが別の名前で、再度募集して・・・・また繰り返す

そういう誘惑に引っかかるには、理由がある。
人間は規則性とか法則が好きな生き物だ。
完全に自由である状態では、普通の人間は選択肢が多すぎて、何をして良いかわからなくなる。
決まっている、こういうもの、一種の不自由・束縛を求めるのは人間の本性。

また、社会心理学の長年の研究の成果によれば、人間は『ランダムで不規則な物の動きの一部を短期間観察して、規則性・法則を発見する天才』のようだ。
発見の99.999%は発見ではなく、錯覚、誤解、つまり間違い。
0.001は、プログラム化不可能

常に変化を続ける株式市場、「規則性や法則の発見」は、時間の経過という"エンマ大王のお裁き"を通過したものだけを検討すべきだ。
それが"転ばぬ先の杖"。

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長期的過ぎる予想で投資する無かれ

ペーパーマネーは30年以内に崩壊する、
石油はあと30年でなくなる、
などという投資話は、私が証券投資に従事し始めた時には既に存在していた。その後も繰り返されている。確かに時々そう言う傾向がでる。しかし、ソレに拘泥して投資を継続すると失敗する。

このまま行けば、この傾向が強まれば、30年以内に、30年後には、という「長期的過ぎる」予想だが、予想は30年先であり、それが実現するには20年~30年も待たなければならない。
20年~30年の間には、政治も変わる。景気も何度も上下動する。税制や金融制度も変わるだろう。
これらの要因で「長期的過ぎる予想」で投資した企業の株価は、想像以上に乱高下する。

「20年~30年の長期投資です。買ったら後は株価は見ません。」と当初は威勢の良いことを言うが、三割も下がろうものなら、前言を忘れて狼狽する。

中国株ブームの時に「20年~30年の投資です。買ったら株価は見ません。」という話を頻繁に聴いた。2007年10月に投資信託を買っていただいたお客様に「もう売りましょう、私も売ります」と連絡したが、過半数の方は保有を続けた。その後安値で換金された方もおられ、現在まで「20年~30年投資」を貫いておられる方は2割以下のようだ。

三割も下がろうものなら、前言を忘れて狼狽する、その背景は「30年先の予想が、投資会社からの勧誘話、自分の思いつき、新聞・雑誌・TVからの影響・ひらめき・思い込みによる」からだ。

別の機会に違った意見を見聞きして、その後に何かの理由で株価が下落すると、長期予想に自信が無くなり、安値で売却する、という結果を引き起こす。
くれぐれも、長期的過ぎる予想で投資する無かれ

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2013年8月24日土曜日

逆張りと中間点

逆張りとは、将来多数派になるモノに、それが少数派に留まっている時に参加して、十分に多数派になったら離脱することだ。
将来多数派になるモノとは、時には「薔薇色の将来」であり、また別の場合は「困窮する未来」かもしれない。

理想的な投資家は、逆張りが上手であると言われる。
正確に言えば、彼らは鍛え抜かれた判断力を習得したのであり、順張りも逆張りも、信用の買いもカラ売りも上手だが、今日は逆張りに関して記述する。

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みんなが“嫌いだ!、いやだ!、もうダメだ!”、という時に、静かに買い、みんなが“これを買わなきゃ、何を買う!”的にワーワー言っている時に、人知れず売る。

多くの投資家は、そのような冷静な心理状態になれず、株価が上昇すれば嬉しくなって根拠なき自信が倍増して強気になる。値段が下がると全てに自信を無くし、心配だらけになって弱気に陥る。
今が、その株の栄枯盛衰のどこに位置しているか、そのような考察・判断など考慮せずに足元の上下動で回りが見えなくなる。

株価の上下動、栄枯盛衰の中の、どんなフェイズで強気になったり、弱気になったりするのか?
投資家心理の変化する中間地点は、株式投資では「時間や株価の真ん中」ではない。

一般的な投資家は、相当値段が上がって、相当時間が経過しないと、納得しない。
行動を起こすのは、値段の上下動の真中よりも上のレベルだし、経過時間という観点でもかなり後半だ。
そのフェイズに至らないと、自分の行動を心理的に正当化できない。
これまで弱気で相場に参加できなかった自分の判断ミスを素直に認めて反省し、強気に変化させることができない。
人間の弱さから来る自然の摂理である。

そんな心理的なプロセス(葛藤と呼ばれる)の後に、投資家の心理は、弱気から強気に変わる。
残された弱気投資家は、「自分が少数派になる」恐怖感から、徐々に、そして最後は雪崩を打って強気派に転向する。ただし、そこには熟考は無い。群れの行動心理に支配されているのだ。
それを裏付けるように、株価の動きは、そのフェイズを起点に上昇が加速する。

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下落の場合は、上昇よりも複雑だ。
買いの場合の弱気とは、「相場に参加していない」だけであって、財産が減ったわけではない。
しかし下落の場合は、株の保有者の財産は日に日に目減りする。
上昇フェイズよりも、投資家の冷静さは低く、恐怖に支配されやすい。
心の葛藤も、上昇フェイズより大きい。

ちょっとでも株価が下がると“普通の人間は心配性である。”という法則が市場を支配する。
一気に買いの手が引っ込む。
一部の人のわずかな売り注文で大きく株価は下落する。
早く売りたくても、買いの手が引っ込んでいるので、思った値段では売れない。

そうなると不思議なことに、『株を持っている自分を正当化する心理状態(根拠なき自信)』が頭をもたげる。
“今よりも株価が高くなる時がしばらくしたらきっと来るハズだ。”と勝手に思い始める。

この“元来心配性”という事と、“根拠なき自信”が、行動(=売り)を妨害する状態(金縛り状態)を発生させる。
だから、株価下落の初期に売らない。
普通にみられる人間の心理と行動だ。

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こんな失敗を戒めるために、『買いはユックリ、売りは脱兎のごとく』という格言ができたのだろう。

なお、上記は、個別株に関する話である。
インデックスには別のファクターも加わるので、違ってくる。

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2013年8月23日金曜日

投資家の平常心は、株に対して悲観的である

前回「投資家≠市場」ということを書いた。
本日のテーマ「投資家の平常心は、株に対して悲観的である」の"投資家"とは、売買をしない人も含めた投資家である。
また、「"投資家"がどう思っていても、"市場"は異なる方向に動く」のだが、これに関しては今日は触れない。

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自信を持って投資行動をしている人は少数だ。
多くの人は、自分の判断に不安を持ちながら投資している。

魅力的な企業だと判断して、AとBの2社に投資した投資家がいる。
Aは購入後5%上昇したが、Bは5%下落して、2銘柄合わせると現在の損益はゼロである。

こういう状況で、投資家が考えることは・・・・
1:Aはもう上がらず、Bはもっと下がると不安になる。
2:Aは下がるかもしれないが、Bは買い値まで戻ってくると期待する。
・・・・・・これが一般的な投資家の心だ。

1、2を合計すれば、相場全体がやや下落すると、投資家は心の中で判断していることになる。

3:Aは上がり続け、Bは反転上昇する、と考える投資家は非常に少ない。
4:Aは反落し、Bは下がり続ける、と考える投資家も、少ない。
今回は、3、4の少数派は除いて話を進める。

現金を保有していれば、財産金額は減らない。
株は価格が変動するので、どちらかと言えば、下落して財産が減る可能性がある。
「変動する=上下に等しく動く」ではなく、下がる方を多めに心配してしまう。
これが普通の人間の普通の心理状態だ。
だから、「人間の平常心は、株に対して心配である」という傾向を作り出してしまう。
心配=悲観的、と新聞、雑誌、ネットなどのメディアでは、表現する。
心配より、悲観を、メディアは好む。メディアは正しい表現ではなく、インパクトのある表現を採用するビジネス・モデルだ。

市場をどう思いますか?
街頭インタビューされたら、ガンガン上がると思いますと答えて、ノー天気と思われるよりも、慎重に考えていますと無難な受け答えをする。
これは、今回の趣旨とは別の話なので、今日は触れない。

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さて、Aは購入後5%上昇したが、Bは5%下落して、2銘柄合わせると現在の損益はゼロである、という時に最も多く見られる投資行動は、
あ:A、B、ともに放置する
という投資行動であり、

次に多いのが、
い:Aを売却して、Bは残す
というものだ。

第三者が客観的に判断すれば、
1:Aはもう上がらず、Bはもっと下がる
と思うなら、AもBも売却するのが正しい。
あ:A、B、ともに放置する
のは、間違いだ。

2:Aは下がるかもしれないが、Bは買い値まで戻ってくる。
と判断したのであれば、
い:Aを売却して、Bは残す
という決定は正しい。

ただし、
a)検討を加えたうえで判断したのか、
b)検討作業をせずに根拠なしに期待しているだけなのか、
この違いは回数を重ねるごとに、大きなリターンの差になって表れてくる。
期待と現実のギャップ、これも面白いテーマなのだが、今日はココデオシマイ

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投資家と市場は別

Aさんは大口投資家と言われている。
1980年代に約50億円も株に投資したが、その後は持ち株がズルズル下がるので、全ての持ち株が水面下に没して、いわゆる長期塩漬け株になってしまった。
最後に株の売買をしたのは、1999年だった。

Aさんは資産家、大投資家だと言われている。
しかし、21世紀の株式市場には全く影響を与えない。

今日の株式市場は、今日売買した人が決める。
今月の株式市場は、今月売買する人が価格決定力を持つ。
巨大投資家でも売買に参加しないなら、今日の市場、今月の市場の部外者だ。

市場は、売買実行者の合計体だ。
弱気市場なのか、強気市場なのか、これは売買実行者が決める。
売買をしない投資家は、株価や市場動向に関する投票用紙は持っているが、選挙に行かない人だ。

たった一人でも良い、買い続ける人がれば、市場は上がる。
売り続ける人がいれば、市場は下がり続ける。
残りの投資家が、株価は先月の水準が正しいと思っていても、彼らが行動しない限り、たった一人の投資家の売り行動が市場動向(この場合は、株価の下落)を決定する。

1人以外の投資家全員が売買しないなら株が買えないと思われるが、株の貸借制度があるので株式の流動性は供給される。その辺の詳細は今回は省略する。

また、参加者の増加や減少、彼らの心理変化・・・これらはトレンド、ブーム&バストの要因として重要ファクターなのでそれは別の機会に書きたい。

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2013年8月22日木曜日

判断力を鍛える

相場になかなか乗れない。
良い投資チャンスを見つけてその株を買っても、少し上がったらすぐに売ってしまい、その後の長い株価の上昇を取り損ねる。
これらは将来展望に関する判断ミスがもたらした残念な結果だ

そもそも、
1:将来展望を考えたか?
2:どんな推移をたどるかに関して、一定の結論(将来展望判断)を保持したか?
3:それを随時チェックしているか?
・・・・という投資に必須のプロセスを実行しない人が多い。

単なる当てずっぽうや、その場の雰囲気で、買ったり売ったりする人が過半数を占めている。
これが投資家の全体像である。
だから、少しでも上記プロセスを実行すれば、勝率は徐々に上昇し、勝ち組になれる。

将来展望は、投資家自信の判断結果である。
当たる時もあり、ハズレる時もある。

その判断力は、その企業に関する情報にとどまらず、いわゆる雑学や常識を含めた多くの知識や経験をバック・ボーンしている。
投資の世界は、知識と経験が物を言う。
鉛筆を転がすのとは別世界のリスク・テイク・ビジネスだ。

判断力を鍛えるには、
1:議論しろ!
2:会話しろ!
3:文章を読め!
、という基本動作の実践が有効だ。

判断力(最終判断)のベースとして、考える力(複数の思考をする、ケースの想定)が必要だ。
考えるとは、人間の場合は、言葉で考える事である。
言葉を使わずに考える、という行為は成立しない。

判断力を鍛えるとは、考える力を鍛えることだが、考える力を鍛えるには、豊富な言葉を上手に効果的に正しく使いこなすことが必要になる。
だから、議論し、会話し、文章を読む、という基本動作の量と質を高めることが望ましいのだ。

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2013年8月18日日曜日

株と心

儲けようと思って株を買う。
誰でもそうだ。
その時、心は大きく揺れ動く。

< 現金は心の自由 >
現金を持っている時は、どの株に投資するか、現金のままにするか、100%の自由を持っている。
自由とは、選択の自由、この自由は迷いと隣り合わせだ。決められない迷い、たじろぎだ。

多くの人は決められない。
失敗を恐れるからだ。
現金を持っている限り、財産の金額は減らない。
100万円財産が増える喜びの量よりも、100万円減る痛みの方が、数倍大きいのが一般人だ。

< 現金を株に変えると、強欲と不安 >
意を決して現金を株に投ずる。
投ずる直前までは、この株なら儲かるだろうと思っている。
色々考えた末に下した判断だからだ。

しかし、現金が株に変わった瞬間に、自信は急速に薄らいでいく。
現金を保有していた時に持っていた「自由な心、選択の自由」を失ったからだ。
代わりに得たものは、自分の選択に対する自信の揺らぎ、不安感だ。
その他の選択肢を捨ててしまったことに対する未練だ。
何もかもが不安に変わる。買った翌日に株価が下がろうものなら、何と馬鹿な決断をしたのだろうと後悔にさいなまれる。

反面、購入後に株価は上がれば、自信満々で自分は株の天才だと思う。
強欲と自己への過大評価は表裏一体であることには気づかない。

このような心の変化は誰にでも起こる普通の出来事だ。
よほどの鈍感か、百戦練磨で心の変化を乗り越えたか、どちらかでない限り、99%の投資家の心は上記のように変化する。

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儲け話を知った事の意味


良くあることだが、『これはすごいぞ!!』という儲け話を発見したり、聞いたりする。


しかし、その儲け話は多くの場合、ずいぶん前から出回っており、雑誌、ネット、新聞、ラジオ、テレビで既にに紹介されている。
メディアが知って報道・掲載したという事は一定の評判がたっており、メディアが「その評判を報道する価値がある」と判断した情報だ。

その情報に業務上詳しい人、好きもの、オタク、彼らをここでは、彼らを内輪と呼ぼう、は数年前からその事に関心を持って色々トライしている。

だから、我々が『これはすごいぞ!!』と思った多くの投資ネタは、内輪から一般人の目に触れるようになったニュースだと判断すべきだ。

そして重要な事は、私は情報が回ってきた最後に位置するという事だ。

だから私は、『これはすごいぞ!!』という話を見たり、聞いたりしても、瞬間湯沸かし器のように熱くならずに、週末をはさんで頭を冷やすようにしている。
そうやって時間を経過させると、エセ投資ネタにだまされる回数が減る。

特に最近はネット上に、『これはすごいぞ!!』という風説の流布的な書き込みが増えている。
気の弱い私は踊らされないように注意している。

つまり、私が知ったうれしい話を第三者が観察すれば、
1:知った多くの人達の列の一番最後に並んでいるのが私
2:私より前の人は、私より安い値段で、その株を買っている
という現実が見えてくる。

さらには、儲け話を教えてくれる人がいる。
何故、彼彼女はわざわざ教えてくれるのだ?
頻繁に投資情報を相互に交換している仲間内ならいざ知らず、まずは変だと思うべきだ。

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2013年8月17日土曜日

二つの銘柄の選定方法

< 概略 >

私の投資する銘柄は、2つの分野・観点から選定される。

一は、サイクルに投資する手法。
景気サイクルと株式サイクルの連動を利用して投資銘柄(投資セクター)を順次乗り換えていく手法だ。極端に単純化すれば、『景気敏感株=>安定成長株=>現金』というサイクルで順番に投資企業を入れ替えていく。

企業特性はそうは変わらないから、相場のサイクルを3回も経験すれば、企業(もしくは、セクター)A、B、C、Dはこういう順番で上下する、ということを経験で学んで記憶できる。

だから、サイクル投資は簡単だ。
正確に言えば、買うのは簡単で、売って次へ乗り換える難易度が高い。
買った銘柄が順調に上昇すれば、もっと持っていたいと思うのは人情だが、そこを割り切って次へ行かねばならないのがサイクル投資のコツだ。

二つ目は、Special Situationに投資する手法。
いわゆる『テーマ投資』。どんな時でも特別な投資テーマが出現する。その他大勢の株価サイクルの動きには影響されずに、グイグイと株価が上昇する銘柄が出現する。それを見つけて投資をする手法だ。

これは簡単ではない。普段から様々な事(雑学も含め)に興味を持って調べる習慣を持つ必要がある。つまり常時アンテナを高く広げておいて、入ってきた情報をふるいにかけてゴミ企業、ゴミ投資ネタを捨てる作業を毎日するのだ。良い企業に遭遇したとして、良い企業だから株価としても良いかは別問題だ。今買うのが良いか否かの判断には、過去の経験がものを言う。


< 少し詳しく説明 >

新規投資銘柄の発掘の秘訣・・・それに関する教科書は無い。私が師と仰ぐ天才ファンド・マネージャーから頂戴した考え方を紹介しつつ、それに私の考え方を少々付け加える。

株で儲けるためには、安く買って高く売る(または、高くカラ売りして、安く買い戻す)ことができるチャンスを利用する。
その『安く買うチャンス』とは、『投資チャンス(安い株)が落ちているのを発見した。→拾いに行った。→儲かったので現金化した。』という流れの中にある。

Valueとか、Growthとコンサルが言うような区別は全然関係無い。投資家に見捨てられており、今後株価が大きく上昇する可能性を持った株はすべて『割安な株=Valueのある株』だし、業績が市場平均よりも伸びていくことから株価が他よりも大きく上昇する可能性を持った株はすべて『将来性のある株=Growthのある株』だ。
ステレオ・タイプ的なValueとか、Growthとかのおかしな区別は、「株式投資で儲ける」という目的にとっては、百害あって一利無しだから無視するべきだ。特に、Valueを投資の王道とし、Growthを軽視する投資評論は読まない方が良い。彼らの信奉するPERやPBRなどは、ここに書いたことができるようになってから習得すればよい枝葉末節な事だ。

サイクルに投資する手法では、
(1)景気サイクルを認識すること、
(2)景気サイクルに少し(半年程度と言われる)先行して動く種々のセクターの株価変動タイミングを的確に捉えること、
の2点がポイントになる。

お先真っ暗の不況の真ん中で景気敏感株を買い、景気が良くなり新聞に『企業業績が過去最高を更新』という記事が掲載され、人々が安心するようになったらさっさと売却する。人の先を行く投資だ。
景気サイクルは継続的なマクロ指標の観察という『簡単だが、地味で継続的な作業』が必要だ。私は、自分で決めたマクロ統計を週一回観察することを基本にしている。定点観測の継続が重要なのだ。
ここでの新規投資銘柄の発掘は、特別な捜索活動は不要だ。各セクターに存在する既存の企業の株価が景気サイクルをどこまで織り込んだかを観察判定することが唯一重要だ。新たな発見ではなく、今そこにある株の観察に徹すれば良い。

Special Situationに投資する手法では、投資テーマの発見がポイントだ。投資テーマは普段の生活の中に転がっている。株式市場から離れて、日々の生活で、『最近流行ってきた事、変化してきた事、必要とされていた解決策が見つかりそうな事』などを、ちょっと深く調べる。これで通常の投資テーマの90%は見つかる。投資テーマは落ちている。それを発見できるか否かだ。

当初は誰も教えてくれない。証券会社のアナリストは買い推奨などしない。多数の同意を得られないからだ。だから発見すれば大きな投資の成功が待っている。
株価が上がって1年以上も経過すれば、投資評論家や証券会社のアナリストの買い推奨が始まるので、発見は容易になる。反面、得られるリターンは時間の経過とともに低下する。

1995年以降はWebを使えるようになったので、個人投資家でも投資テーマの発見が容易になった。私自身Webで調べて、発見した投資テーマが過半数を占めている。また、いろんなセミナーや展示会に積極的に参加することも役立つ。好奇心は、投資テーマの発掘の最強の武器である。

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メモの蓄積は、正しい判断力&忍耐力の源泉

株式に投資するとは、個別の企業に投資することだ。
(インデックス(日経平均などの指数)やファンドに投資する場合は、ここでは除外する。)

株式に投資する時には、投資する企業に関する知識が必要だ。
その知識には、一定の幅と深さが必要だ。

例えば、その会社に関して、
1:歴史、そもそも何をやってきて、今に至っているか、
2:創業者はどんな人で、今は何代目か
3:現在のビジネスは、単一製品製造企業か、多岐にわたるコングロマリットか、
4:その企業が属している業界事情の状況は、今は、今後は
5:業界に影響を与える日本と海外の経済状況はどうか、100%国内向けか、輸出中心か、特定国に集中しているか、世界に分散しているか
6:借金が多いか、設備投資などのために増資が必要か
7:経営者は、買収好きか、お門違いに進出するリスクは

3日で売ってしまう投資家なら、もっと短期の株価形成ファクターで売買すべきだが、数か月から数年間の投資期間を基本とするなら、上記のような事を少しずつメモに残して、企業に関する知識を増やしていけばよい。
プロなら担当者が1から6を一気に調査して投資の可否を判断するのだが、個人投資家は時間をかけてコツコツやればよい。それで十分だと、過去の経験から認識している。

投資の関して残しておく、メモ、記録する、書くとは、『投資する理由(しない理由)を書く』ことだが、例えば以下のようなメモもOKだ。
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****製作所(2013年8月17日)
2年程前から出荷を始めた***という商品がある。数歩前を行く先進的な商品であったが、先進的過ぎる事、そのため価格が高いこと、ユーザーの要求がそのレベルに達してはいなかった為に、売れ行きは芳しくなかった。
しかし、昨今の***という事件や、****に対する要求の高まりから、この商品に対する需要が顕在化してきた。同時に企業努力と部材の半導体の能力アップと価格低下が、能力3倍価格半値という状況を作り出した。また、継続的な改善努力で、より使いやすくなったことで、売れ行きが月を追うごとに増加している。そもそもビジネスのインフラとして必要なものであり、ライバルが追いつくのに数年を要すると思われる。1年以上は優に投資する価値がある。
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こうしたメモが残してあれば、投資した企業の株価が、意に反して下落したときに、自分の書いた投資理由を読み直せば、『狼狽売りを踏み留まったり』できる。
逆に、メモした事が『勝手な思い込みだった』と判断して、キッパリと損切りするの決断もできる。

このように徐々に蓄積するメモの効果は意外に大きい。
私の業としての株式投資でも確実な効果を生んでいる。

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2013年8月16日金曜日

何故、株式に投資するのか?

生活の糧を得る為に働く。
働いて金を稼いで、豊かな生活を目指す。

同じ働くなら、一人ではなく多数の人間を組織化してビジネスを遂行する会社を経営したほうが良い。

その究極は、国家を経営する19世紀まで地球上に多く存在した王様だった。
民主主義が標準的な考え方になった現代社会では、専制君主、王様にはなれない。
その代り、誰だって一国一城の会社の社長にはなれる。
金が無くたって、信用があれば、お金は貸してもらえる。

ただし、会社経営の能力は必要だ。
読み書きそろばん、コンピュータ・プログラム作成、スポーツ選手、芸能タレント、すべて誰でもチャレンジできるが、成功するには能力が必要だ。

さて私には、会社を経営する能力は無い。
自分の性格から考えて向いていないと判断しているし、ダメだよ、やめといた方が良いとアドバイスされたこともある。

会社経営はできないかもしれないが、素晴らしい会社の経営に共感することは、私にもできる。
共感して、その会社の株式を保有すれば、その素晴らしい経営者が創造する利益のおこぼれにあずかることができる。

経営者が一番の金持ちになれるが、株式投資を通じて、その経営者が私をいくばくかリッチにしてくれる。
これこそ、私が株式投資をする本来的な理由である。