2023年12月22日金曜日

持ち込み案件に飛びつくから失敗するM&A

M&Aの成功確率は3割だと言われている。何故、3件に2件は失敗してしまうのだろう?

最大の理由は、業者が持ち込んだ案件に飛びつくからだ


常日頃から次の買収先を物色している企業は、それ専門のチームが様々なターゲット企業を分析して、フェアな、損をしない、失敗しない買収価格を計算している
だから、「これどうです? 今売りに出ているのですが」という業者の持ち込み案件に際しても、冷静に対応できる。おいそれとは言い値で買わないし、こちらから様々な条件を出すことが定石だ

しかし、常日頃から買収先を物色していない企業が、M&A業者から突然「こんな企業が売りに出ています。滅多にない出物です」などと甘言をささやかれると、判断のガードが下がってしまい失敗買収を契約してしまう。

M&A業者の常套手段は、
1:時間が迫っている、と買い手を焦られて、時間をかけて冷静な判断ができないようにする

2:買い手企業がいなくても、ライバルが複数いるから今決めないと買収価格が値上がりする、と噓をついて焦らせる
とい作戦を実行する。

これらは自社の売却も経験し、その後は数々のM&Aを成功させてきた高名なPrivate Equity投資会社の経営者の書いた有名本にも書かれている。

そして、買い手側にも売り手側にもアドバイザーと称するM&A業者(銀行や証券会社の専門部隊)がおり、彼らは案件が成立した方が多くの報酬を貰える仕組み(買収価格の**%等)になっている。だから、買収価格が高い方が業者は儲かるし、巨額M&Aを成功させた業者として名前を宣伝できる。
その結果は、買い手企業に過大な買収価格、将来の経営負担となって決算数値を下方修正させるのだ

2023年12月17日日曜日

アンフェアな安値を求める人は自分の首を絞める

 ビジネスは、趣味や寄付ではない、持続的な活動ができる利潤が必要だ
にもかかわらず、多数が不当な安値を求めると、そのエリアではビジネスが縮小する

品質と価格は正比例する、黒線がフェアな人間活動だ
それが長期的に商品やサービスを提供する条件だ

しかし、品質と比べて低価格を要望する人が多いとビジネスが成立しないので、その品質帯でのビジネスが縮小する。
アンフェアな安値を求める人は、結局は自分の首を絞める結果になるのだ。趣味や寄付、もしくは税金による商品やサービスだけが存在する世界に陥ってしまう
紫の線は成立しないのだ

この数年はこのようなアンフェアな安値を求める傾向に対して、企業が撤退を始めているように思う
品質に見合う価格、ビジネスが成立する領域に企業活動がシフトを強めている
従業員にフェアな賃金を払い続けるためにも、企業はアンフェアな安値を求める領域から撤退を強めるだろう

2023年12月8日金曜日

地銀がゼロ金利政策を終了しろ、と言っている

 地銀がゼロ金利政策を終了しろ、と言っている

昨年12月以降の長期金利の事実上の自由化は長短金利差を拡大させた



融資が伸ばせるメガ銀には朗報だ

しかし、融資が伸ばせず、縮小傾向と戦っている地銀にはメリットが小さい



地銀は貸し出しに使われない余剰資金を、融資資金が足らないメガ銀に貸している

その貸出金利が短期金利であり、いまだに「ほぼゼロ%」が続いている

地銀はメガ銀への貸出金利の大幅アップを望んでいるのだ






2023年11月24日金曜日

後日になって判明する、当日と後日の時間差を忘れてはならない

その時に判明している事実に反応するしかないのが当日の相場

歴史を参考にする時に注意すべき点は、5年後に本当のことが分かり、10年後に相場を解説した本が書かれる時、本の作家は投資家・市場が真実を最初(=その時)から知っていたという誤解で書いてしまうことだ

経済指標も、1年後に正式なものが確定するモノ、2か月後に発表されるモノ、様々な時間差がある。

データに基づいてと相場を分析する人も、上記作家のような過ちを犯す人が多いので注意した方が良い

2023年11月6日月曜日

読書メモ:中世ヨーロッパ全史

 6世紀の欧州、フランク王国が王権をキリスト教によって権威付けし、その後の王権神授説への流れを作って行った。キリスト教側も王権は神が与えるが、神とは実質的にローマ法王であるという体制を確立していった。



政治と宗教がwin&winの関係で相互に強化を図り、双方の勢力拡大を推進した

異教徒のモノは奪っても殺戮しても、キリスト教を布教したり、異教徒をキリスト教に改宗させることが目的である限り、罪ではない

殺人OK、領土侵略OK、財産強奪OK、という軍隊と宣教師の二人三脚活動が推進された。これが、アメリカ大陸はキリスト教徒が奪う権利がある、という考え方になっていった。


フランク王国の政治と宗教の合体強化プロセスを学んだムハンマドは、最初から宗教と政治軍隊が合体した社会的な組織としてイスラム教を発明した

侵略した地域の異教徒に改宗を強制せず、高額の納税者とすることによって、イスラム帝国の財政基盤の強化に役立てた

侵略を続ける限り財政が強化できるので、侵略にはインセンティブがあった。侵略が限界に達したときに、財政基盤も限界に達し、内部分裂が始まった

2023年11月5日日曜日

時間給で働く人は睡眠時間が短い

時間給で働く人は睡眠時間が短いのは、帰宅時間が遅いからだ

本人のやるべき課題が終わっても、誰かが残業していると帰宅ができず、ただ居るだけの無駄な時間を過ごすことが強制されるからだ


ちなみに、恒常的に残業が2~3時間ある企業の場合、企業側は残業込みで全体の労働力を計算する。

だから能力のある人が定時で帰宅すると、能力不測で処理が終わらない人の分を、能力が高い人がお助けする、という時間給労働体制のメリット(=寄付労働)が消えてしまうので、能力のある人を定時で帰宅させたくないのだ




アプリが主役

 PCの停滞は長期化している、スマホも1年近く低迷している

両者は「ワクワクする何かをするための道具」であり、「ワクワクする何か=やりたい、遊びたいアプリ」だ

旅行に行くための車、荷物を運ぶための車、という関係に等しい

2000~2017年ごろは、魅力的なアプリが多数出現した

2018年以降、目立ったアプリを列挙できない

旅行もしない、荷物も運ばない、、だから新車を買おうと思わない、、そういう事だと思う

INTC, QCOM, ARM, NVDA, AMDを考えるうえで読む価値がある記事

2023年10月23日月曜日

胆力の無い投資家が多数派である事を前提に投資行動した方が安全だ

 10月初旬にFBにアップし、秋の定点観測セミナーでも使った図の再掲&説明です

1:2024年2月頃までは、US株のパフォーマンスが他地域よりも好調になる傾向がある

2:相場が軟調になると、それまで好調だった銘柄ほど利益確定売りを浴びやすいが、胆力があれば復活の恩恵を享受できる


日本の個別銘柄の最近の動きは、上記2に符合していると思う

株価が好調な時は「▼10%や▼20%という下落に耐えられる、長期投資だから」と思っていた投資家の多くは、▼10%の下げが来ると、「これはダメになった、相場が終わった」と不安になって売りを出してしまうものだ

10月の日本株の動きは正にソレだと思う

10月~2月は結構な長さであり、その間のダレダレ期間を耐えられなくなる投資家が多くなる。多くなれば下落幅も想定以上に深くなる。胆力を持っていない投資の方が多数派という現実はパワフルだ。

だから、再掲図にあるように「日本ゼロもあり」と10月初旬に判断したのだ


なお、下方修正を食らった銘柄は別次元の話しであり、ペナルティ・ボックスが長期化する

2023年8月11日金曜日

1995年の平民に対するインターネット開放が、お上と庶民の下剋上をもたらし、その後の格差は拡大傾向

 昔は、お上が情報を独占していたから、平民は正しい選択が困難だった
1995年のWindows95、そしてそれに続くGoogleの検索の一般公開が、平民の情報へのアクセスを解禁した

それ以降は、
お上は依然として「おい、情報を持って来い!」という上から目線のまま
平民は、どん欲に情報を収集して、「何をどうするのが適切か、リスク&リターン的には何を選択すべきか」を過去よりも正確に判定できるようになり、起業活動も増加の一方だ

今や、役所、学校、病院が、ネットから遠いダメ集団だと言われるようになった
この三者に共通することは、「センセイと呼ばれる人々だったり、上から目線的の人々だったり、一般社会と隔絶された領域だったり」という非平民的な集団だという事かもね

2023年6月25日日曜日

春山ルール : 目次

投資に関するルールは、作ろうと思って作れるものではない。
痛い思いを何回かして、「あー、こうしちゃイケナイノね」と徐々に思い知るものだ。
それは個人の性格や癖による部分も多いので、万人に共通ではないかもしれない。
小技みたいな領域のものから、そもそも論的な大きなものまで、雑多だ。

1.2Q連続でダメ決算、失望決算なら離脱する
2.6ケ月待て
3.PERは60倍が限度
4.パフォーマンスの足を引っ張るのは「後ろ髪」銘柄
5.不正を働いた企業には投資しない
6.べき論を排する
7.不調なら休む
8.現状を受け入れ、ゼロ・スタートする
9.自分の目標と競争しろ、他人と競争するな
10.何で儲けても百万円は百万円である
11.そういう事だったのね、株価は織り込み済み
12.変節点
13:失って初めて思い知る
14:気持ち悪くなったら脱出しろ
15:25%ルール
16:ペナルティはしっかりと受け入れる
17:計画通りに実行し続ける
18:飛び乗ったら、飛び降りろ
19:得意技で勝負しよう
20:金持ち喧嘩せずは相場のリズム
21:条件反射の「反対&disり」は損失への一本道
22:前回バブルの主役には触ってはならない
23:焼けボックイの深追いは無用
24:迷ったら大きい方へ
25:楽観と悲観の非対称性を知って売買する
26:ネガティブ思考人を避ける
27:リズムが合わないものを売る
28:何か発表するらしい = 悪い事
29:目的と手段を逆転させるな!
30:心やすらかな投資のためには、タイミングが重要
31:定点観測の意味
32:定点観測時のご法度
33:証券会社、販売会社に文句を言わない
34:怒りと嫉妬を排してバカになる
35:部屋が散らかっている人は金融詐欺に騙されやすい
36:個別判断の徹底
37:自分のスタイルを維持する
38:若い相場を見つけよう
39:株価の賞味期限は早く来る
40:決断直後の返り討ちに惑わされない
41:兎の売りと亀の買い
42:なんとなくを捨てる
43:難易度の高いチャレンジ、1回 < 簡単な事、毎日
44:100万円ルール
45:苦しくても後講釈を聞かない
46:ポジション構築ルール
47:下げ局面での買い出動を三分類(ファンクラブ、モリモリ、スマート)
48:現金比率のコントロール(第六原則)
49:投資家は順張りが好きだ
50:暴落時の銘柄選択
51:ファンクラブの買いは「一回限り」
52:暴落後の株のポジショニング
53:上手な人は実践家、下手な人は評論家

春山ルール56 : 現金が持つ決定の自由

個別銘柄の売却を決断する時

代わりに何を買おうかと考えてはいけない

売る、それだけを実行して、数日は静かにすべきだ

売却によって得られた現金が投資判断をパワー・アップしてくれる

そのパワーは現金を保持する時間に比例して大きくなる


個別銘柄の購入を決断する時

何かを売却して、その資金で買おうと考えてはいけない

売却済みの資金、できれば売却後の経過時間が長い方が良い、そんな資金で買う方が成功する

現金がある状態だと冷静に銘柄判断ができるが、現金が無いと色眼鏡で新規銘柄を探してしまう。それはポジション・トークと同じようなものだ

現金は自由で冷静な心理状態をもたらす、そういう強力なパワーを持っているのだ





相場が小休止している時に頭の体操をする

次の行動を複数個、頭の中で練習しておく

これを実行する人と、ボーッと過ごす人の差が初級・中級の差になる

頭の体操に関しても、現金を保持している時の方が頭が早く正確に回る

フルポジションだと、ポジション・トーク的な偏った思考になる傾向がある

2023年6月21日水曜日

PERの決まり方_5 : バブルの拡大&崩壊とPER変動

 最初に書いたように・・・

平時は、

EPS成長率が、10%なら、PERは10倍

EPS成長率が、20%なら、PERは20倍

EPS成長率が、30%なら、PERは30倍

相場が温まると

EPS成長率が、10%なら、PERは15倍

EPS成長率が、20%なら、PERは30倍

EPS成長率が、30%なら、PERは45倍

のようにPERが上昇する

そしてバブルになると

EPS成長率が、10%なら、PERは30倍

EPS成長率が、20%なら、PERは80倍

EPS成長率が、30%なら、PERは150倍

といった理解不能なレベルまで達する


PERは下図のように動態的に判定するものだ



発生したバブルが崩壊するキッカケは決算ミスだ

売り上げ高、利益、利益率、増益率、ユーザー伸び率、何か一つでも強欲な投資家の期待をミスすれば、バブルのお立ち台から追放される


バブルのお立ち台から追放されると、非バブル銘柄のPERに向かってPERが下落する

算数で理解できるPER水準まで下落が止まらない

そこまでPERが下落するのに、半年の場合、1年の場合、3年の場合、それは時と場合によって様々だが、下落が長期間続くことは避けられない


PERの下落フェイズでは、利益・EPSが最高益を更新し続けても、PER下落の悪影響の方が大きいので、株価の下落が止まらない


下図はZoomのバブル崩壊の様子だ

崩壊は有料ユーザーの伸びが強欲投資家の期待を下回ったことだった


2020年10月のバブルの頂点の時、

EPS:1.18 x PER:500 = 株価:588

という株価形成だった


それが、2021年10月には、

EPS:4.81 x PER:53 = 株価:255

利益が4倍になっていても、株価は▼43%という下落となっている


そして、バブル崩壊の第二段階は業績が下方集成される

2021年12月には、

EPS:4.385 x PER:43 = 株価:192

と株価はピークから▼70%という下落となっている


2023年6月21日現在の状況は,循環株にふさわしいPER:10~20倍の真ん中、16倍台となっている
バブルが終わったのだ


-

2023年6月19日月曜日

PERの決まり方_4 : 全体はダメだが、ここだけはOKの時、ここだけ局地バブルになる

 2回ブログで、大多数の投資家は、業績変動による心配をしたくない。そのため、業績の安定したB社に投資する資金が多く、業績が不安定なA社に投資する資金は少なくなるので利益は同じでも、株価は「B>A」となる、と書いた


利益が同じなのに株価が異なる、それは割り算の答えとしてのPERに格差がつく、ということだが、下図のような状態だ


株式市場では上記のようなPER格差が常時存在してる。

かなり稀にだが、常時存在するPER格差を大幅に上回るトンでもPERが付与される銘柄が乱立する時がある


それは下図に示したようなバブルの時

バブルの時、市場の全ての銘柄のPERが跳ね上がるわけではない。これらは特別だと投資家が思った銘柄だけ、ぶっ飛びPERになる




3回ブログで、ビジネスの将来性が高い、その投資テーマの賞味期限が長く、顧客やユーザーが多いと投資家が思えば、業績の伸びが同じであっても、PERが高くなる、と書いた。

バブル銘柄はその特別中の特別な銘柄だと誤解された結果、PERが跳ね上がるのだが、誤解だと思い知るまでの時間は結構長いのが問題だ


最近でも、そのような誤解が起こり、そして崩壊した。

2020年に起こったコロナ騒動だが、経済は不振が続いたが株式市場では、2020年3月以降は「ほとんどの企業はコロナでボロボロだが、これら一握りの企業はコロナ恩恵銘柄だ」と囃されて2021年2月16日まで暴騰した。

Cathie Woodバブルと呼ばれる局地バブル発生したのだが、1年足らずで崩壊した


そして2023年の前半、経済には懸念があるが、Chat GPTなどのAI関連だけはOKだ、といって関連銘柄が独歩高している

これが、バブルなのか?
まだ3か月程度しか経過していないので判定不能だが、特別中の特別な銘柄だと認識されて、PERが跳ね上がっている

2023年6月18日日曜日

PERの決まり方_3 : 将来性、賞味期限の長さ、天井の高さ

 前回ブログで、

業績の伸びが高く、その伸び率が安定してれば、PERは非常に高くなる

業績の伸びが低く、その伸び率が不安定なら、PERは非常に低くなる

・・・と書いたが、PERに関してもう一個重要なファクターがある。

それは、ビジネスの将来性、その投資テーマの賞味期限の長さ、顧客やユーザーの最大値(=天井の高さ)というファクターだ


A社とB社の増益率が同じ15%であっても、

A社のビジネスは100年以上も前からあるようなビジネスで産業としては成熟している、例:鉄鋼・自動車、と投資家が認識している

B社のビジネスは新しいテクノロジー関連のビジネスで未来が限りなく広がっている、例:1990年代以降のIT産業、と投資家が認識している

このような場合は、増益率が15%同じであっても、PERはB > Aとなる

その理由は、A社の15%増益の持続性は低いが、B社の15%増益の持続性は高く、しかも20%もしくは30%にまで上昇する可能性があると考えるからだ






PERの決まり方_2 : 業績の安定性との関係

 前回ブログを読まれた方は、個別企業においても、業績の伸びが増加すればPERが上昇し、業績の伸びが鈍化すればPERが下落することを認識したと思う。

業績の伸び率、業績成長率はPERと関係が大きいが、それ以外にも同程度にPERと関係が深い要因がある

それは、業績の安定性

AとBの2社があり、どちらも5年で利益が2倍になった
しかし、その間の業績の変動制は、A社は上下動が大きく、B社は小さかった


大多数の投資家は、業績変動による心配をしたくない。そのため、業績の安定したB社に投資する資金が多く、A社に投資する資金は少なくなる

その結果、利益は同じでも、株価は「B>A」となる。これは古今東西に共通の法則だ



業績の伸びが高く、その伸び率が安定してれば、PERは非常に高くなる

業績の伸びが低く、その伸び率が不安定なら、PERは非常に低くなる


これがPER、業績、株価の基本的な関係だ

2023年6月17日土曜日

PERの決まり方_1 : EPS成長率との関係

 EPS成長率が、10%なら、PERは10倍

 EPS成長率が、20%なら、PERは20倍

 EPS成長率が、30%なら、PERは30倍

 EPS成長率とPERの間には、このような正比例の関係がある


この関係は静止していない、常に動いている

相場が温まってきて投資家が楽観的になり、ガードが下がる

 EPS成長率が、10%なら、PERは15倍

 EPS成長率が、20%なら、PERは30倍

 EPS成長率が、30%なら、PERは45倍

のようにPERが上昇する


反対に、相場が冷えて来て投資家が悲観的になり、ガードが上がる

 EPS成長率が、10%なら、PERは7倍

 EPS成長率が、20%なら、PERは14倍

 EPS成長率が、30%なら、PERは21倍

のようにPERが下落する


ちなみに、バブルになるとPERが極端に上昇するが、

 EPS成長率が、10%なら、PERは30倍

 EPS成長率が、20%なら、PERは80倍

 EPS成長率が、30%なら、PERは150倍

のような平常時と比べると理解不能なレベルまで達する



上記を図にすると下図のようになる

市場、もしくは投資家が楽観方向に動いているのか、悲観方向になっているのか、それを認識しつつ、個別企業のPERを動的に判定する事が投資判断には求められる

2023年6月11日日曜日

solution型の脳 & communication型の脳

solution型の脳エリア

communication型の脳エリア

誰でも脳は、この2個のファンクションを持っている


時と場合によって、この割合は変化する

誰を相手にするかによっても、この割合は変化する

時間と共に、経験を重ねるごとに、この割合は変化する

個人によって、この割合は異なる、個体による相違はすべての生き物に存在する

男性脳、女性脳という言い方は、シンプル過ぎて間違いだ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

solution型の脳エリアは、課題を解決、目標を達成する、それを目的とする

communication型の脳エリアは、レーダーのように常時活動し、何がどうなっているかを把握理解するのを目的とする


solution型の脳機能は、課題・目標の解決・達成に集中する。その時、それ以外の事は眼中から消える

communication型の脳機能は、広範囲を常時観察し理解しようとする。何かに集中せず、広く浅く活動を続ける


solution型の脳機能は、課題が解決されたり目標を達成すると、別の課題や目標を求め始め、終わったことからは興味がなくなる

communication型の脳機能は、淡々と長期間にわたって広範囲を観察し理解しようと努力する。終わりと言うモノがない


solution型の脳もcommunication型の脳も、承認欲求を持っている

solution型の脳は、処理した実績を評価してもらうことで満足する

communication型の脳は、今やっていることを認識してもらい、認識し続けてもらうことで満足する


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

株式投資の基本動作は、淡々と継続する定点観測だ

communication型の脳エリアの仕事だ


初心者は、面倒だ、そんなことをやっても速攻で儲けが出ないし、やらなくても損も出ない、チェレンジ精神が沸かない、などという理由で三日坊主で辞めてしまう

communication型の脳エリアの仕事能力が欠如しているのだ

やらないのではない、できないのだ、能力が無いのだ


中上級者は定点観測を継続する訓練を自分に課して、その能力を習得しているので継続的な基本動作ができる


~~~~~~~~~~~~~~~~~~

判断はできても実行しない、そう思ったけど実行しなかった、多々あることだ

人間は、判断したことを実行するか否かを、別の心が決める

その別の心の能力を実行力と言う

solution型の脳エリアの仕事だ


初心者は、そうじゃなかったらどうしよう、やらなくても損得が速攻で明確にでるかは不明確だ、今やらなくても良い、などという理由で実行しない

solution型の脳エリアの仕事能力が欠如しているのだ

やらないのではない、能力が欠如しているからできないのだ


中上級者は判断したことを実行する訓練を自分に課して、その能力を習得しているので実行できる


~~~~~~~~~~~~~~~~~~

投資の基本動作は、知らない事や疑問を調べて徐々に知見を増やしていくこと、知識と経験のビッグデータを構築していく事だ

solution型の脳エリアの仕事だ、しかも放置しない意思が必要

知らない事や疑問の処理は、短時間でもしくは一日で終わらせる必要はない、数日から数か月にわたって時間のできた時に少しずつ、ジグソーパズルのピースをはめ込んでいくように完成させればよい


初心者は忘れたり飽きたりして、知らない事や疑問の処理を投げ出して未完成のままに放置してしまう

solution型の脳エリアの仕事能力が欠如しているのだ、とくに放置しない意思能力が欠如している


やらないのではない、能力が欠如しているからできないのだ


中上級者は定点観測を放置しない訓練を自分に課して、その能力を習得しているので時間をかけてでもやり遂げることができる

2023年4月6日木曜日

読書体験 vs 現実体験

 経済や市場の歴史を本で読むと・・・

10年間で3回も将来を示唆するような事件が起こり12年目に大事件になった。

この12年間はずーっとあたふたした12年間だったのだろう

・・・・と思ってしまう。



しかし、現実の12年間は・・・・下記のように何もない時間が長い12年間なので、あたふたしている時間も短時間なのが現実世界だ。

これが読書だけをベースに今日の経済や市場を予想する時に陥りやすいミスだ


**年1月:特になし

**年2月:AA企業が不祥事を起こし、2週間ほど市場が調整した

**年3月:特になし

**年4月:特になし

**年5月:特になし

**年6月:特になし

**年7月:特になし

**年8月:特になし

**年9月:特になし

**年10月:特になし

**年11月:特になし

**年12月:特になし

**年1月:特になし

**年2月:特になし

**年3月:BB企業が不祥事を起こし、3週間ほど市場が調整した

**年4月:特になし

**年5月:特になし

**年6月:特になし

**年7月:特になし

**年8月:特になし

**年9月:特になし

**年10月:特になし

**年11月:特になし

**年12月:特になし

**年1月:特になし

**年2月:特になし

**年3月:特になし

**年4月:特になし

**年5月:特になし

**年6月:特になし

**年7月:特になし

**年8月:CC企業が不祥事を起こし、今月は市場が調整した

**年9月:今月も市場が調整した

**年10月:特になし

**年11月:特になし

**年12月:特になし

**年1月:特になし

**年2月:特になし

**年3月:特になし

**年4月:AA、BB、CCに融資してたXX銀行が破綻し、金融業界は混乱した

**年5月:今月も市場が調整した

**年6月:今月も市場が調整した

**年7月:今月も市場が調整した

**年8月:ようやくボトムに達し、回復へ向かった

**年9月:回復した

**年10月:特になし

**年11月:特になし

**年12月:特になし

2023年3月20日月曜日

2023年金融危機への対応は、過去とは異なる

 FRB、ECBから発せられるコメントを読んでいて、2023年金融危機への対応は、過去とは異なる、と春山は感じている
現状で認識できることは・・・・
1:預金者は保護する
2:投資家(=銀行の株主、銀行の発行した債券の所有者)は保護しない。美味し過ぎる話(株であれ、債券であれ、仕組み商品であれ)に乗った投資家(銀行であれ、機関投資家であれ、富裕層の個人投資家であれ)は損失を被るべき
・・・・である


過去は、2に関しても、損失負担が極端に少なかった。

税金を投入して損失が起こらないような救済措置を講じていたからだ。
そんな救済が行われた背景は「損失負担を銀行、機関投資家、富裕層に対して要求するのは金融村の利益を損なう」という既得権益保護だった


1998年のLTCM破綻に際する救済は投資家保護(=USの投資家、大口機関投資家や富裕層の損失補填)だった。

預金者保護や弱者救済、危機を起こしている国の救済ではなかった


自己責任で投資したはずだ、特に機関投資家は、、、だから、下記は当然の結末なのだ




2023年のFRBとECBは、SIVB、Credit Suisseの危機対応に際して、これまでの投資家の権益保護にメスを入れようとしているのかもしれない

2023年3月19日日曜日

パウエルの考える中立的な金利体系を推定

パウエルはFRB議長に就任した時から「バブルを起こさない金利水準」を模索するという言動があった。


低すぎる長期金利はバブルを起こす
バブルを起こさない長期金利の水準は?

それは投資家がファイティング・ポーズもりもり状態にならない金利水準だ


それを勘案して、パウエルの考える中立的な長短金利の水準を春山なりに考えると、以下のようになる。

FF金利:2.5~3.0%

10年金利:4%

金利差:1.0~1.5%


その状態に達するプロセスをお絵描きすると下図のようになる



今後の金利の動きは・・・・
FF金利はインフレの鎮静化に呼応して下落が続く
一方、10年金利はFF金利の低下で多少は金利低下を見せるものの、景気の改善に伴う資金需要の増加に呼応して上昇する
・・・・・というプロセスが想定できる

おそらく、2024年にそのような状態になるだろうと考えている

ちなみに、パウエルがFRB議長に就任後、「バブルが起こらないレベルまでの炉上げが必要だとして」利上げを継続し、FF=2.5%で利上げを止めた


当時はインフレは無かった。
現在はインフレがある。
2.5%を上回る部分が、インフレ対応の利上げだと推定することも可能だろう
その意味で、2.5%は参考になるかもしれない



2023年3月18日土曜日

FRBの悩み

 民間の借入金利が低すぎるとバブルを引き起こす。その金利は長期金利だ


FRBがコントロールできるのはFF金利で、その影響は短期金利(1month、3month金利など)には及ぶが、長期金利は民間の借金の価格だから借金需給で決まるので、FRBがコントーロールできない


短期金利を引き上げても長期金利が上がらないと、長短金利が逆転してしまい、銀行の資金調達金利がローン金利を上回ってしまうので、銀行は苦境に陥る

ダメ銀行を懲らしめる際には有効だが、数的に圧倒的に多い優良銀行も苦しめてしまう。抗がん剤が正常細胞も痛めつけてしまうというジレンマに似ている


FRBの悩みは、どうしたらバブルが起こらない程度の長期金利水準を維持できるか、しかも景気に配慮しながら、という点だ

そして現状では妙案が示されていない

2023年2月4日土曜日

ネット広告ビジネスの高マージン時代の終焉

 ネット広告ビジネスは、3期連続で不振だった
巣籠需要の反動減だと甘く見るのはマチガイだと感じている

Web1.0が2.0になり、今では3.0だと言われるが、その推移はネット空間が全員共通の一個から、分裂した複数のグループになる多様性の方向だった

最大公約数、共通項目が縮小している、とも言えるのだが、このことは「ロング・テールが生かされるのがインターネットの本質だ」というWeb2.0以降に顕著になった事象であり、SNSの伸長が加速させている。この状況は反転する事はないだろう


個人情報の秘匿化によって、広告効率が劣化していることや、ネット広告ビジネスの競争激化も、ネット広告ビジネスの高マージン時代の終焉を感じさせる



META, GOOGLは守る側に立たされているので、2023年も苦しい戦いを強いられるだろう



2023年1月5日木曜日

「読む本」を見つけるための「聴く本、Audible」

読む本は、目で読む、声を出して読む

聴く本は、目で読めない、声を出して読めない


目で読んだり、声を出して読む時、その前後の文章を俯瞰した「全体」と今読んでいる文章である「部分」を同時に相互認識&相互比較しながら本を読んでいる
それができるのは、自分の理解のスピードに応じて読む速度を自在に変化させられるからだ。その変化は理解の速さや正確さに応じて無意識でなされている


一方、聴く本はTVやラジオのようにpushされる音声を受け身で聴いている
理解が不十分でも次へ次へと進んでいく傾向が強くなる
Audibleは途中で止めたり30秒刻みで戻ったり、速度を変化させることはできるが、現実的にはラジオの視聴のように受け身で聴く場合が9割以上になってしまう

だから、Audibleはその本をしっかり理解する姿勢で聴くよりも、とにもかくにも聴いてみて面白いのか、有用なのか、を感じれば良いと思う

面白ければ、有用だと思えば、その筆者の別の本も聴いてみる、というプロセスになる

そして、これは!と感じれば、紙の本を購入してしっかり理解する読み方をする、線を引く、声を出して読む(特に英文の場合)、というプロセスになる


読書するための本に出合うためのAudible、だと春山は考えている

2023年1月2日月曜日

一歩でも前進すれば良いのです

 2022年の市場を振り返ると下図のような状況だ

このような状況では損をしないことが重要だ
1:マイナスを回避できれば、100点
2:年初に定めた目標を達成できば、200点

と判断するのが妥当だろう


春山は、今回は高い所で売れなかった。

米国株5銘柄という年初の状況から、年末には米国株3銘柄+日本株2銘柄というポジションに変更することはあっても、年間を通じてフルポジションを維持したので、苦しかった

ドルの高値圏で日本株にシフトして、ドル高の恩恵の一定部分をポケットに入れ、2023年に向かって恩恵を受ける日本を購入したり、そんなやりくりでマイナスを回避し、多少のプラス・リターンを確保できた。

2023年は昨年よりは良い年になるだろうが、年の前半は懸念が払しょく出来ずに暗中模索という不安感の方が強いだろう。
それは、安く買える株がゴロゴロしているという事でもある

特に米国株式は、大統領サイクルの統計では、冴えない2年目から好調な3年目になるのが2023年だ

一寸先は光だ!

そう思う正月の春山です