2015年12月12日土曜日

2016年を考える_8_第四部:中国株の投資環境_1:国営企業改革

*** 2016年を考える_8 ***

第四部:中国株の投資環境_1:国営企業改革

(1) 地方政府の政治的圧力で温存されてきた非効率企業
中国企業の業績の低迷は、重厚長大産業が低迷しているのが主要因だ。

エネルギーや資源を多消費(=非効率経済)する時代が終わったにもかかわらず、過剰化した生産設備(鉄鋼など基礎資材)が温存されてきたのは、国営企業ゆえ赤字でも各企業の現実の責任者たる地方政府の命令一つで息のかかった銀行から融資を引き出せるからだ。

 

「ゾンビ企業+焦げ付き融資を抱えた銀行」の一蓮托生の解消には2020年ごろまでの時間が必要だろう。

一方、ネットをはじめ、消費は堅調が続いている。
消費統計には「政府の購入するモノ=先進国では「消費支出」に分類されるモノ」も含まれ、綱紀粛正運動の影響で役人の乱痴気騒ぎ的な消費が縮小した影響を受けているが、一般消費は好調である。

(2)重厚長大産業は引き起こしている「中国的デフレ」
企業の物価である生産者物価指数はマイナスを続けている。


この中国版デフレの背景は、過剰設備が続いている鉄鋼など基礎資材産業が、ダンピング生産しているからだ。

国営企業ゆえ赤字でも地方政府の命令一つで息のかかった銀行から融資を引き出せる状態に対して、北京政府は禁止措置を徐々に導入している。

国営企業の改革的リストラの進展によって、過剰設備の解消が見えた時に、中国版デフレは終了するだろう。

(3)国営企業改革は政治闘争
「ゾンビ企業化」した企業をリストラする「国営企業改革」は長年叫ばれてきた。

にもかかわらず、利益なき製品生産が行われてきた背景は、雇用の維持と役人の保身(倒産責任を回避したい)だ。

また、リストラに際して様々な調査が実施されるが、その時に役人の不正行為、賄賂、汚職が露呈することも恐れている。

国営企業改革とは、中国においては、政治闘争と同義語だ。