2013年9月30日月曜日

景気サイクルは、心のサイクル

景気が、良くなったり、悪くなったりするのは何故だろう?
何故、変動やサイクルが起こるのだろう?

景気は、良くなったり悪くなったり、変動する。
この変動のことを『景気の波』とか、『景気サイクル』と言う。

経済が適度なレベルでとどまらない理由は、喜怒哀楽を持つ人間の心にある。
一つの商品を例にとって話してみよう。

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(1)モジャラという商品がある。女子高生の間で人気になったので、多数の小売店から「わが社にも売らせろ!」と注文が殺到する。人気のモジャラは値引き無しで売れるから儲かる。

そんなに儲かるのなら!とモジャラ製造に参入する同業者も現れるが、需要は旺盛で生産は追いつかない。小売店は割増し金を払ってでも、人気のモジャラマをライバルよりも早く入手しようとする。製造会社は臨時工を雇ったり、工場や設備を拡張して、増える注文への対応で大わらわだ。

(2)時間がたつと、モジャラは一定の範囲に普及して、さすがの異常人気(=中古がネットで新品より高値で売買される)も収まり、普通の人気商品程度になる。
しかし、新聞・雑誌・テレビでは依然としてモジャラの特集のオンパレードだ。
倍々ゲーム的な需要増加はなくなったが、注文の絶対量は増えており、造れば十分に儲かるので、製造業者は強気の姿勢を崩さない。増強した最新鋭の大規模工場も、まだフル生産体制で、在庫も増えずにドンドン売れる。

(3)さらに時間が経過したある日、女子高生の間でモジャラの人気が下がり始める。
ポリクラの製造会社は人を雇い、借金して生産能力を拡大したばかりで、モジャラを大量に販売しようと努力する。

一方、モジャラの注文は増えなくなった。とは言え、注文の絶対量は高水準であり、売れば儲かるので、多少の値引きをしてでも量をさばいて儲けを増やす作戦に転じる。モジャラ製造会社は強気の姿勢を崩さない。

同業者も製造販売拡大路線を採用したので、次第にモジャラは市場でダブツキ気味になり、店頭では値引き販売も始まる。

最新鋭の大規模工場の生産を維持しなければ、工場拡張の借金を返済できない。値引きを拡大してでも、生産水準を維持しようとする。同業者も値引き拡大で頑張る。全員が生産を減らさない。

(4)ついには、お互いの工場には、売れ残った在庫が増え始める。
こうなると、価格は下がる一方だ。しかも、在庫はますます増加する。
結局、こんな価格で売っては損失になるというレベルまで値下がりする。
さすがに、赤字操業は続けられず、生産が縮小される。中には倒産企業も出る。
こうして、モジャラの栄枯盛衰が完結する。

(5)その後しばらくして、となりの工場では、、、
『社長、これ"メダマッチ"という妙なゲームなんですけど、、、』
『えー、こんな物が売れるんだ。よーし、、、、、』

景気が良くなったり悪くなったり、変動を繰り返すのも、基本的にはモジャラの栄枯盛衰と同じだ。
経済学的には、『需要と供給のバランスの変動』が景気・経済のサイクル・波を形成している。

上記(1)~(5)は、
(1)景気回復前半
(2)景気回復後半
(3)ピーク・アウト期
(4)景気後退期
(5)景気回復前半
という位置づけになる。

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2013年9月23日月曜日

宝の地図の作り方

毎日100通以上のメールが来る。
毎朝約2時間かけて「read or delete」の選別する。読むのは15通~20通だ。
そのうち保存フォルダーに格納されるのは、一週間で3~5通。
保存メールも定期的にチェックするが、年を超えて保存されるのは、年間で片手ほどだ。

賞味期限が短い情報は、新聞・雑誌・TVと同じような『事実の転送』物だ。
売りまたは買いという分析・判断まで踏み込んだ内容なら、賞味期限は長くなる。

アナリスト、エコノミスト、ストラテジスト、彼らは毎日の顧客向けレポートの作成を要求される。レポートの数が給与に比例するとも聞く。私の友人で自動車のアナリストは年間200本もレポートを作成する。数量評価基準もレポートが粗製濫造される要因だろう。

しかし!
レポートは投資の地図の出発点だ

1:レポート作成者は、質問や感想などの反応を待っている。
質問や感想から、両者の会話が深い議論へと発展する。
それがレポートの賞味期限を伸ばし、レポート作成者と読み手の双方が付加価値を得る。

BLOGを始めて思うことだが、過去の記事と最新の記事が有機的に結合することによって、価値が倍増する。まるで脳細胞のニューロン結合のようだ。この有機的な結合作用は、他人との間の情報のキャッチ・ボールでも妥当する。

レポート情報は、お互いのやり取りで、単なる情報から『宝の地図』に変身する。
宝の地図は、共同作業で作っていくもの。これが私の信条だ。

2:何をポイントに情報のキャッチ・ボールをするか?
(1)大きな部分
Potential、終着点を見極める
このビジネスがどこまで大きくなれるのかを判断する。
ライバルが参入して価格競争が始まる可能性を判断する。

(2)小さな部分
タイミングの善し悪しを判断する
収益モメンタムを織り込んで(=先読みして)、株価上昇のモメンタム発生の判断

(1)(2)いずれも、世間的に「懸念が残っており、反対する投資家が多い」状態が望ましい。
彼らが徐々に「弱気に白旗」をあげて「嫌々ながらも強気陣営に参加する」プロセスが期待される。

3:分かり易い事ことが、何にも増して大切だ。
異才・天才でない普通の投資家には、『分かり易い』ことが重要だ。

これは良さそうだ、これは儲かりそうだ、これいいんじゃない、これらは判断だ。
判断は、自分自身の能力の範囲内、つまり"知識・経験に基づく脳内に蓄積された判断ソフトウェアの処理能力範囲内で行われる。

買った株をその後どうするか(買い増し?、売却?)という判断は、買うことよりもさらに重要な判断だが、この判断もやはり、自分自身の能力の範囲内でしかできない。

自分が充分理解できた事(投資テーマ)なら、自信を持って投資できる。
その後その会社に発生するニュースも落ち着いて判断できる。

反対に、自分の理解・判断ではなく、他人の意見・判断に乗ったような投資では、その後その会社に発生するニュースに対して、どう判断してよいか分からず、追い詰められて、売買して失敗する。

自分の理解・能力の範囲内だと、儲けが少ないだろうが、逸脱して損失を重ねるよりはマシだ。

A progress in thinking is a progress toward simplicity.
広瀬さんのコメントにあった言葉だ。
偉大な投資銀行家のシグムンド・ウォーバーグが口癖のように言っていた言葉で、実に含蓄のある言葉だ。

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2013年9月11日水曜日

冷酷であること

株の銘柄選択は人事配置と同じだ。

人的資源を最適配分するには、冷酷でなければならない。
冷酷とは情に流された判断決定を排除することだ。
冷酷とは最もフェアな判断である。

情はアンフェアである。
だから情が入ると非最適な布陣になって失敗する。

アンフェアでは誰もついてこない。
冷酷な判断には人を圧倒する迫力がある。

そして、冷酷な銘柄選択には、ライバルを圧倒する迫力のパフォーマンスがある。

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文字的には、冷酷よりも、冷徹のほうが正しいのだろうが、彼の行動を見ている他人は「冷酷」と感じるだろう
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2013年9月6日金曜日

投信の回転売買は業界の宿命

美味しい販売手数料がある限り、口で何と言おうと「企業経営的=収益獲得」には、買転売買はビジネス戦略としては正しい選択だ。

フロントの販売手数料を禁止すれば多少は変わる。
多少しか変わらないのは、表面上販売手数料が消えても、投信会社からのキック・バックとして販売手数料が地下に潜るからだ。

むしろ販売手数料(投資家が最初に負担)を大幅に引き上げて、乗り換え売買に「投資家が痛みを感じる」ようにした方が良い。
そうすれば、投資家も何を買うべきかを真剣に考えるようになる。

単純に販売手数料を大幅に引き上げるのではなく、年間の信託報酬の徴収方法と組み合わせれば、さまざまな工夫が可能だ。

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