2020年3月17日火曜日

春山ルール 51 : ファンクラブの買いは「一回限り」

2020年3月16日現在、市場はファンクラブ領域にある。
非常に安い状況なので、ここが最安値だと感じて買い出動したくなる。
しかし、春山ルール47で述べたように、最安値だと思って買いを入れても、その後にさらに下がるとナンピンしてポジションを増やす、もっと下がると、また買う、結局大底のかなり手前で資金を使い果たしてしまうという状況に陥ることが多い。
中上級者でない限り、ファンクラブ領域での買いは一回だけにした方が良い。
そうすれば、自分の最安値判定能力もわかるし、大切な資金も温存できる。そして、モリモリ・サインが出た時に自信を持って買う資金的&精神的なゆとりも維持できる。

2020年3月15日日曜日

春山ルール 50 : 暴落時の銘柄選択

暴落中は、景気敏感銘柄や高いリターンを投資家が期待しているような高PER銘柄などのハイリスク・ハイリターン銘柄はインデックス以上に大幅に下落する。
投資家が一斉に逃げ出そうとして我先にと売却を急ぐからだ

一方、電力・ガス・通信などの高配当銘柄や生活必需品関連の安全銘柄の下げは軽微にとどまる。

暴落はどこかで大底に達し、その後は反発相場に転ずる。
それを合図に、パフォーマンスの優劣が逆転する。



だから、大底を過ぎたら、下図に示されたような対応をした方が、その後のパフォーマンスが改善する。
ノンビリ・ペースでしか上昇しないような安全柄を持っていたら、大幅に下落したハイリスク・ハイリターン銘柄にシフトするのだ。




ただし、話はそれほど単純ではない。
ハイリスク・ハイリターン銘柄が大暴落したのは「ビジネスがボロボロに崩壊する」という懸念を投資家が抱いたからだ

大暴落の時は、全てのビジネスがボロボロになってしまうという恐怖にかられるので、何でもかんでも売られてしまう。
しかし、大底をつける頃から投資家は徐々に冷静になり、「コレはダメだけど、アレは大丈夫」という選別作業を始める。同時に企業からも被害状況の有無が発表され始める。

その結果、大幅下落したけども「それは杞憂に終わる」と投資家が判断した株は、急速に反転上昇を始める
一方、「大幅下落したのは当然だ、被害の現状と将来を推定すれば現状の株価は妥当だ」と判定された株は横ばいで推移してしまう



だから、投資家はしっかりと情報を判断して被害株から杞憂株にスイッチしなければならない。
暴落株のすべてが急速リバウンドするわけではないのだから。
なお、通常は被害株は少数で杞憂株が多数であることが多い





2020年3月14日土曜日

暴落したら頭をリセット

暴落したら、頭をリセットする必要がある 人間の脳は「現状から少ししか変動しない」前提で思考する仕組みになっている 大変動時には投資戦略の基本部分を組み替える必要が生じる場合がある だから、全てを白紙から再検討して、新戦略を練る必要がある

~~~ 現状から少ししか変動しないという習性があるので、大幅変動(大幅な上昇や暴落)を想像することすらできない。このような傾向は心理学的にはアンカリングと呼ばれている 参考:ウィキペディア、アンカリングhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0

消費に懸念が生じた中国

コロナ・ショックによる株の下落を比べると香港・中国は日米欧よりも小さい
そして、コロナ・ショックから最初に回復する中国香港株が世界をけん引するという期待も聞かれる



2020年初来の下落率は低いのは確かだが、この数年を見ると香港中国は低迷が続いているのだ。長期低迷の背景は業績の低迷
下図に示されたように、2015年以降上海インデックスのEPSは低迷が続いているのだ。
業績が改善しない限り、株価の上昇は短期の間欠泉で終わる。
2015年3月でピークアウトしたプチ・バブルが、まさにそれだった。




中国経済をけん引してきたのは個人消費だ。その背景には賃金の高い伸びがある
下図にあるように沿海部の賃金は+8%で安定的に伸びてきた。



その賃金の安定上昇に懸念が生じている
賃上げを抑制して雇用を守る、という政策を実施することに北京政府は舵を切ったようだ。
これは、「全員貧乏で平等なら不満は無し」という共産主義の考え方なので中国的には問題が無いのだろう。

賃金の低下で最も悪影響を受けるのが裁量消費分野(=非生活必需品)である。
自動車、住宅と大型家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)が代表だ。既に保有している自動車や大型家電をもう少し長く使い続けたり、今の住宅からの住み替えを先延ばしするという行動(=買い控え)が起こるのだ。




株式市場は不満だろう。
賃金低下は消費の低下を通じて業績の下方修正につながるからだ。

しかも、現状の株価水準はフェアより「やや高い」可能性があるのだ。
北京政府の暗黙の指令による「株式の買い支え要請(90年代の日本のPKO)」が存在するだろうし、HMA(香港の中央銀行)もリーマンショック時の大量の株式購入を契機に、以降は株式投資に熱心であることも有名だ。
90年代の日本を知れば、意図的な買い支えは無力だと言うことは明白だろう。

なお、コロナ・ショックが終われば、米中貿易戦争の交渉が再開する。
既にトランプは行動を開始しているのだ。


以上のようなことを考え合わせれば、中国香港株の上昇を2020年の運用戦略の中心にすることは避けたいと春山は思う。
無論、個別株の話は別次元だ。低迷する市場であっても大活躍する個別株はどこの市場にもあるのだから