2017年9月23日土曜日

思い出:ベルリンの壁

この日、私はロンドンにいた。

フランクフルトから、西ドイツの証券会社に勤務する日本人女性から電話が来た。
春山さん、私の職場のフロアのドイツ人みんな歓声を上げてる!
ねえ、聴こえるでしょ! 受話器を通して!

その少し前にBloombergにニュースのヘッドラインが流れた。

それは、1989年11月10日金曜日の夜、、そろそろ帰宅しようかという時間だった
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On the fateful evening of November 9, Lt Jager assumed command of the checkpoint at about 6pm after his superior officer went home.

Although he knew of the wave of anti-government demonstrations that had erupted in East German cities in the previous weeks, he had no inkling of what was to come.


His world was turned upside down less than an hour later when Gunter Schabowski, the normally assured spokesman for the ruling politburo, announced on television that travel restrictions would be eased and East Germans permitted to cross the border “effective immediately, without delay”.

2017年9月22日金曜日

春山ルール40:決断直後の返り討ちに惑わされない

何か変更を決断する時の状況は、「from側が冴えず、 to側が好調」である

変更の判断は長期的には正しくても、判断を実行した直後は短期的には「from側が盛り返し、 to側がスピード調整する」事が多い
返り討ちに会てしまい、判断が間違いではないかと困惑する

それを見てバタバタしてはイケナイ
じっくり調べて決めたことは、足元の付和雷同の思惑よりも、ほとんどの場合は正しいのだから

事前に判断していても、決断と行動をするには最終的なトリガーが必要だ
そのトリガーは、「from側が冴えず、 to側が好調」の状況でやってくる事がほとんどなのだから

2017年9月20日水曜日

佐藤CEOスピーチとQ&A ( September 2017 Mizuho Investors Conference )

佐藤CEOスピーチとQ&A ( September 2017 Mizuho Investors Conference )を聴いた春山的な拡張解釈です。

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1:既に見えているだけでも、フィン・テックの利用で年間500億円のコスト削減効果がある。
2:AI,ロボ・アドバイザーなどのフィンテックは対顧客戦略のメリハリを促進する。

3:富裕層勝ち組アラフォー以下の世代(20%の彼らが金融資産の80%を保有する)には、リッチな環境の対面サービスを向上させる。
それ以外の少額金融資産保有者にはネット&AI&ロボ・アドバイザーを使って非対面化で低コスト化を推進する

4:内外のフィンテック・ベンチャー企業とは、対等の立場(50:50のJV)で接してスピード第一で決断実行し続ける。

5:925日にローンチする新型ローンはフィンテックの成果の一つ
みずほ50:ソフトバンク50の「J.Score」が提供するが3個の特徴がある
(1)将来cash flow予測による査定、スコア・レンディング、従来のBSベースのリスク判断による貸し付けではない
(2)個人情報をユーザー自身の意思で入力することにより、貸出金額と金利が改善する
(3)Big Data + AIによる完全ネット・ベースのサービス

ターゲットは、今は資産を持たないが将来は高い確率で資産を形成する層を先んじて取り込むことだ。
勿論、現在サラ金が対象とする顧客層も対象にできるが、みずほのメイン・ターゲットではない
他行は参加にサラ金を抱えているので、このような新型ローンは既サラ金顧客から優良層を流出させてしまうインパクトをもつので、グループ内で異論が出る。だから導入の決断が遅れるだろうし、導入しても限定的にとどまるだろう。

今は資産を持たないが将来は高い確率で資産を形成する層とは、主として40代前半よりも若年で、積極的な人生、積極的なリスク・テイクの精神を持ち、資産を形成する確率が高い層を指す。
しかも彼らの親も勝ち組である確率が高いので、相続と同時に地銀・信託からの資金が流れ込んでくる確率が高い
  
6:電子マネーの活用が進むと、クレジットカードの利用と合わせて、現金を引き出すためのATMという役割がミニマムになるだろう。

また順次投入予定の高機能ATM(公共料金、税金の払い込みなどが無人で可能)の出現で、支店業務のほとんどが人の手から解放されると予想している。

それは、支店の場所という概念の根本的な再編を意味する。
利益に大きく貢献する人には深く広い対人サービスを提供し、利益にあまり貢献しない人にはATMで完結してもらうという峻別に適応した銀行が総合的な顧客の信頼を得るだろう。

「ATM支店」は多くの人が集まる利便性の高い場所に設置されるだろうし、コンビニATMで済ませてもらうことでも十分だろう。
一方、「対人サービス支店」は顧客のいる場所(オフィス街と富裕層の多い住宅街)に設置されるだろうが、目立つ必要がないので、ビルの2F以上の場所で高級な店構えになるだろう。

7:AI + Big Dataベースのアルゴ・トレーディングは、東大の松尾教授と共同開発しているが、実験段階を終えて、現在実装中だ

またブロック・チェーンを活用すれば、様々なトランザクション・コストが、20分の一になる事が判明しており、実用化に向けて検討している。

PER&PBRに関連する周辺的なこと、でも重要なこと

ニュースを見て「売りたい、買いたい」と思う理由
メディアに流れる情報を見たり読んだりした時に、「おー、これは買いだ!」とか、「えーだめじゃん、これ売りだ~」などと気持ちが一喜一憂する。
ニュース気持ちの間にあるものは、株価形成要因の変化
例えば、A社が伸び盛りの分野に新製品を投入する、そんなニュースを読んだ時に「おー、これは買いだ!」と思うのは、新製品の売り上げ増加が寄与して予想EPSが上方修正されて株価が上昇するハズだと心の中で判断したのだ。

一方、経営者の不用意な発言や従業員の不祥事が報道された時に「えーだめじゃん、これ売りだ~」と思うのは、その会社に対する信頼性が棄損することによりPERが低下して株価が下落するだろうと心の中で判断したのだ。

大量に流れるニュースに反応して株価がピクピク反応するのは、意図するか意図しないかに関わらず、投資家が予想EPSとPERの変化を察知して売買行動を起こした結果なのだ。

売買は影響力
1億株の発行済み株式数の大企業で
株主数が10万人という膨大な数を要している企業の株価であっても、たった一人が売ることによって株価が1%下がれば、他の9万9999人の財産価値も下がる
または、「1株だけ」買いたい新参者に、一人の株主が1%高く売れば、他の9999万9999株の財産価値も上がる

売買は価格変化という影響力を発生させる
たった一人、たった1株であっても、価格変化という影響力は全員に適応される


儲け(=利益)を観察するのが株式投資の王道
儲かっているか否か
儲かっている=利益が増えている
利益が株式投資に於ける最重要観察項目
だから、利益に関する指標であるPERが投資に重要なのだ

儲かっている時は付随現象として、売り上げが増える、稼働率が上がる、投資が増える、コストが下がるなどもあるが、あくまでも付随現象である。

これから儲かる、赤字が黒字転換する
これから儲けが増える、利益の増大
これから儲けが減る、利益の縮小
これを見極めれるのが、株式投資の王道

(1)儲かっている時は、売り上げが増えますか?
普通はそうである。
しかし、ライバルとの競争が熾烈で「値下してでもシェアを維持する」状況になれば、コスト割れの赤字販売に陥る場合もある。利益は急減し、ひどい場合は赤字決算になる。

だから、売り上げを株式投資の判断材料にするにしても、あくまでも付随的な位置づけになるのだ。

(2)儲かっている時は、稼働率があがりますか?
普通はそうである。
工場でモノづくりをするような産業は、その工場の最大生産量を生産する「フル・キャパ」状態ではない。
顧客からの注文増加や新規顧客の獲得に備えて、余力を残して生産している(=稼働率は100%では無い)のが一般的だ。
だから、顧客からの注文が増えると「同じ工場、同じ設備、同じ従業員」で生産量を増やすので、稼働率が上昇する。
しかし、一個前に書いたように、ライバルとの競争が熾烈で「値下してでも工場の稼働を維持する」状況になれば、コスト割れの生産増大に陥る場合もある。利益は急減し、ひどい場合は赤字決算になる。
また、投資家は稼働率が上がってくると「この工場はこれ以上は生産が増やせないから利益の増加も終わる」と判断して株を売却するので株価もピークする。

だから、稼働率を株式投資の判断材料にするにしても、あくまでも付随的な位置づけになるのだ。

(3)儲かっている時は、設備投資が増えますか?
儲かっている時は、受注が増えて、工場の稼働率が上がる。
製造キャパがもっと大きければ、さらに受注が増える可能性がある。

しかし、経営者は概して慎重だ。
景気が好転して受注が増え工場の稼働率が上がってきても、おいそれとは工場の規模を拡大したりはしない。
景気は上下動を繰り返すので、工場の規模を拡大した直後に景気の下降で完成した工場がぺんぺん草状態という「設備拡張が裏目に出る」事態を恐れるのだ。

経営者が強気になって設備拡張を決定するのは、景気サイクルの前半を超えて後半になってからの事が多い。
だから、設備投資の拡大を買いサインとして使うのは、賞味期限の短い投資になる確率が高いと春山は思う。

景気の改善を見越して先んじて工場を拡張したり従業員を追加採用するような先見の明を持った経営者は稀有である。

(4)儲かっている時は、従業員の採用が増えますか?
儲かっている時は、受注が増える。
営業担当や製造担当の人数がもっといれば、さらに受注が増える可能性がある。
しかし、経営者は概して慎重だ。景気は上下動を繰り返すので、採用を増やした直後に景気の下降すれば、「増やした従業員を遊ばせる」事態になることを恐れるのだ。
経営者の従業員に関する行動パターンは、
1:まずは残業を増やしてビジネスの繁忙に対応する。
2:それでも不足なら、パート、バイト、派遣社員などの非正規雇用で対応する。非正規雇用なら、需要が減退に応じて速攻で減らすことができるからだ。
3:労働市場がひっ迫して、非正規雇用の時間給が大幅に上昇したり、人数の確保が困難になって人出不足が深刻化して初めて、正規雇用を増やす。
ビジネスが下降局面に入った時、機械は止めることができる非正規雇用は切れる、しかし正規雇用の従業員は雇用を維持しなければならない。
正規雇用は長期にわたって賃金や福利厚生コストを払う「超長期の設備投資」のようなコスト・アップ要因なのだ。
設備投資と同様に採用増加の決定は、ビジネス・サイクルの後半になってからの事が多い。

だから、従業員採用拡大を買いサインとして使うのは、当たり確率の低い投資判断だと春山は思う。

株式投資も民主主義も心髄は参加主義
「今の株価は割高だ/割安だ」と思っていても、その意思に基づいた売買を実施しなければ、株価に影響を与えることはできない
longまたはshortのポジションを構築したあとは、待つ時間になる。
ポジション構築後の待つ時間は、自分の判断を信じてじっと待つのだが、「自分の判断を検証するためのアンテナ」を高くして待つのだ。
ポジションを構築したら、それを忘れて旅に出ればよい、、などと言う人もいるが、99%の投資家はそれでは成功できない。
自分の判断のすべてが正解とは限らない。
間違い判断は、早期に発見して、早期に撤収(=損切り)すべきなのだ。
株式投資と民主主義は似ている部分がある。
株式投資は「売買」、民主主義は「投票」という行為で意思表明を実行する。
株価や与野党議席に影響を与えるのは、売買や投票の瞬間だけだ。
しかし、投資の世界も民主主義政治も売買や投票に「至るまでの意思決定の過程」が重要なのだ。
様々なことを熟慮したうえで判断してから、売買や投票をするのだから。
そして、売買や投票を実施した後の観察が重要なことも似ている。
思った通りの株価動向になっているか、思った通りに政治家が行動しているか、、、それを事後チェックで監視するのだから。
意思決定までの過程、判断、実行、事後チェック、、この一連の過程が株式投資や民主主義政治に「参加すること」だと思うのだが、その底流に流れる心髄は似ていると思う。

証券アナリストの上方修正のパターン
アナリストがEPSを上方修正する、目標株価を引き上げる、それに反応して株価が上がる。
その様子を観察すると一定のパターンを認識できる。

(1)最も強気の数人のアナリストが常に先に上方修正し、それに呼応して株価が大幅に上がる。
例えば・・・
昨日終値:100
目標株価変更:110→120
本日株価動向:100→105、+5%
(2)少し遅れて、例えば一日遅れで、普通のアナリスとも上方修正するが、少ししか上がらない。
昨日終値:105
目標株価変更:105→110
本日株価動向:105→106

(3)最後に弱気のアナリストも上がった株価を見ながら次のような苦渋の目標株価の変更レポートを書く
本日終値:106
弱気アナリストの目標株価変更:90→100
これに対しては、市場は無反応だ
ハズレているアナリストには市場は反応しないのだ。
上昇している時の株価とアナリストの関係は、上記のようなパターンが多い。

証券アナリストの下方修正のパターン
証券会社のアナリストは、なかなか下方修正をしない
正確に言えば、ダメだと思っても書面では直接的に売りという言葉を使って書かないように教育(?)されている。
その背景は、直前までセールス部隊が「コレ買いましょう!」と営業して客に買わせているのだから、「はい、今日から売りです」などとは、おいそれとは書けないのだ。
もっとも多いパターンが
1;buyを維持したまま、予想EPSと目標株価を少し下げる
アナリストとしては、「あんたら、証券会社の書くレポートの癖、決まり事ってわかるよね、知ってるよね、株式投資の初心者じゃないのだから」という気持ちだと思うし、春山も株式投資の世界はそういうルールだと認識して売買判断すべきだと、現時点では思っている。将来はわかりません。
2;buyをholdに格下げする
「holdなのだから売る必要はない」と顧客が判断(誤解)するのは、投資家の自己責任
証券会社のアナリスト世界の暗黙の常識では、holdなんて投資に値しないという意味だと春山は理解しているけどね
3;ダンマリ
起こっている事実だけを解説して終わり
これが最低のアナリストだね
4;下がったのは買いのチャンスだと、自分の主張を変えない
まあ、これは許せるね
下方修正は不要だ、、、それも投資判断なんだからね

現状では、春山は以下のように考えている
1;売りは誰も教えてくれない、少なくとも書面では
2;自分で判断するしかない
買いは、色んな人が、プロもアマも含めて情報発信している。
でも、売りの情報発信は皆無に等しい

2017年9月19日火曜日

目次:株価を形成する指標としての「PBR」&「PER × 予想EPS」

1:PBRを投資指標にする際の留意点
2:PERを投資指標にする際の留意点
3:PER x 予想EPS = 株価
4:PER&PBRに関連する周辺的なこと、でも重要なこと

関連する現実の動き
1:PERは信頼と安定の通知表

PER x 予想EPS = 株価

PERは状況に応じて変動する
 その企業自体の利益見通しの状況に変化がなくても、その企業の属する業界を取り巻く環境や見通しが変われば、その企業に対する投資家の見方が変化するので、その企業のPERも影響を受けて変化する
日本全体、もしくはその業界全体を取り巻く環境が楽観的であれば、その企業のPERも影響を受けて高くなる。悲観的であれば低くなる。
 
一方、日本全体もしくはその業界全体を取り巻く環境が不変でも、何らかの要因でその企業の独自要因で人気になれば、その企業のPERは高くなり、不人気になればPERは低くなる。

期待、失望などの心理的な側面(=思惑)が、PERを上下動させるのだ。

楽観・悲観はPERを上下動させるだけでなく、業績予想(予想EPS)にも影響を与える。
業績予想はその環境をベースにして計算されるのだが、将来環境が変化すれば算出される予想EPSも当然変化する。

日本全体もしくはその業界全体が楽観的、またはその企業が人気化していれば、予想EPSは上昇する。
反対に、日本全体もしくはその業界全体が悲観的、またはその企業が不人気化していれば、予想EPSは低下する。

つまり、ビジネス環境が好転し追い風が続きそうだと投資家が期待すれば、予想EPSとPERの両方が同時に切りあがる。だから株価は加速的に上昇する。
逆に、
ビジネス環境が暗転し逆風が続きそうだと投資家が危惧すれば、予想EPSとPERの両方が同時に下落する。だから株価は急降下する。しかも、下落は上昇の三倍速だから、下落は暴落的になる時がある。

予想EPSとPERの両方が同時に上下動するだけではない。
「予想EPS×PER=株価」の式の左辺の予想EPSのは基準時点がある。
2018年3月期とか、2019年3月期などがそれだ。

ビジネス環境の上下動は予想EPSの基準点をも動かしてしまう。
2017年3月末の実績EPS=100円、
2018年3月末の予想EPS=120円、
2019年3月末の予想EPS=150円

という状況で、今日が2017年9月30日だとして、

株価を形成する予想EPSは、
1:2018年3月期の予想EPS×PERなのか、
2:2019年3月期の予想EPS×PERなのか、
3:その中間的なものなのか、

そして、それがどう変化するのか?
10月15日の株価が1800円の場合、
実績EPS、100円×18倍=1800円
予想EPS,120円×15倍=1800円
予想EPS,150円×12倍=1800円
となるが、どの組み合わせが正解なのか?

その正解を決める「権威をもったモノ=お上」は存在は無い。
正解は、どこにも発表されない、誰も知ることができない
「こういう組み合わせで株価を認識すれば現在の株価の説明として納得できる」と各投資家が意識してもしくは無意識に考え判断して売買オーダーを出しているのが市場だと春山は考えている。

春山は、1年後の予想EPSを使う事を基本にして判断作業を開始することを基本にしている。
1年後とは今日(例:2017年9月30日)から1年後(2018年9月30日)だ。決算の3月末ではない。
2018年3月末の予想EPS=120円、2019年3月末の予想EPS=150円、という想定では、2018年9月末は、両者の中間点になる。
妥当株価を算出する時に使う予想EPSは、(120+150)÷2=135円となる。

株価が1800円であるなら、PERは1800÷135=13.3倍と認識する。
これはあくまでも春山方式であって、誰かに認定されたものでも多数意見でもない。春山は、これを起点にあれこれ調整を加えながら考え判断している。

そんないい加減なモノを投資の尺度にしてはならない。
人心を惑わすPERは業界から追放だ。
そんなことを言っても、それは間違いだ。
各種の投資手法の中で、もっともマシな指標がPERであるからだ。
PBR、PSR、配当利回り、は適応できる企業が少なすぎる
投資家なら、最もマシな道具を使いこなす、それが嫌なら自分は投資に向かないと考える方が良いだろう。


さて、織り込まれる予想EPSの「基準点が前後動」するとは、妥当な株価の判定に際して・・・・
1:楽観的な状況では、1年後EPSではなく、2年後EPSを使うという「より遠い将来」の予想EPSを使って妥当株価を計算する
2:悲観的な状況では、1年後EPSではなく、半年後EPSを使うという「より近い時点」の予想EPSを使って妥当株価を計算する
・・・・という事である。

どの程度、基準点が動くのか?
それは、
1:そのセクター、その企業の過去実績をベースにして
2:最近の株価の動き、およびそれが示唆するチャート的な観点での将来株価とのフィット感を確認する
・・・・
という作業を通じて合意が形成されることになる。
この作業を数学的と考えるか、アート的と考えるか、人それぞれだろう。
「数学が正しく、アートは間違い」とか「アートが正しく、数学は間違い」とか、そういう一方的には春山は考えない。算数的なアートだと思う。

<< ここまでのまとめ >>
1:株価が織り込んでいる予想EPSとPERの組み合わせに関して、その正解を知ることはできない、正解が誰かによって決められるものでもない。
唯一の正解というモノは存在しない。
2:1年後の予想EPSを使う事を基本にして判断作業を開始すると良さそうだ
3:予想EPSや織り込まれるPERは、経済や企業に対する楽観方向/悲観方向という環境の変化を受けて上下動する。
4:織り込まれる予想EPSの時間的な基準点も前後動する


一神教はダメ、郷に入っては郷に従え
ビジネスが異なれば、評価基準も変わる。
セクターが異なれば適正PERの水準が違うのが一般的だ。
にも拘わらず、すべてを同一基準で判定するのは、野菜と、肉を同じ基準で扱うようなものだ。
肉と野菜は、売り方、単価基準、利益率などが異なる
何でもすべてを同じ方程式に当てはめようとするのは一神教のような融通の利かないやり方であり、投資では失敗一直線だ。
ビジネスが異なればそれを律する神も異なるのだ。投資の世界は多神教、郷に入っては郷に従う生き方でなければ、多くの投資成果を得ることはできないだろう。


金利の上下動は、言われるほどにはPERを動かさない
金利の上下動はPERを上下動させると言われるが、春山はかなり小さいと感じている。
金利の上下動は将来収益(配当+留保利益)の「現在価値に換算する際の割引率」の上下動だから、将来EPSの合計現在価値を上下動させる。
また、借金の多い企業の株価が金利上昇で下落するのは、金利コストの増加でEPSが減少する悪影響が株価に織り込まれるからだ。つまり、業績の下方修正が発生して株価が下落することになる。

バブル期とバブル崩壊期では金利の大幅な上下動が伴う事が多いが、このフェイズでは金利(大幅な緩和、もしくは急激な引き締め)がPERを上下動させる。
バブル期およびバブル崩壊期では、株式市場全体が強欲的楽観と恐怖心理に覆いつくされるために、個別株要因よりも市場全体の要因でほぼすべての株が上下動するが、それはPERの上下動によるものと考えてよいと思う。
こういう大変動の時は、金利の上下動は投資判断に際しては重きを置かなくても良いと春山は判断している、特に個別株投資に際しては。


PER一神教ではイケナイ
投資の世界は郷に入っては郷に従えであると書いた。
「PERよりもPBRの方が買い時/売り時を適切に判断できるセクターや企業」がある。そういう銘柄にPERを使うと失敗する。
一個の方程式ではすべての株を予想できないのが投資の世界の深さであり、面白さでもある。
例えば、赤字(=EPSがマイナス)の時は、PERが使えない。
その四半期だけ赤字で次四半期からは以前の状態に戻るような企業はPERで良いのだが、赤字と黒字を定期的に行ったり来たりするような性格の企業はPERで投資判断をするのは不適当だ。
PBRで投資判断をするような企業の多くは、「保有資産、その多くは工場や機械などの製造設備、をどの程度効率的に利用(=稼働率を高める)しているか」、つまり稼働率が毎回同じような上下動を繰り返すのだ。
だから、過去の稼働率の上下動を参考に、今のサイクルにおける現在の位置を判断して、これから訪れるピークを推定すればよいのだ。
この稼働率を反映したのが株価であるなら、PBRを見ていれば投資判断ができることになる。


空中戦銘柄は空中戦だと割り切ろう
近年のIPO銘柄の特徴は「赤字状態の時に上場する」のが常識になっている。
今後1-2年は赤字のままです、みたいなIPOも多くなっている。
IPOの常道だが、お化粧という問題がある。
直前の決算を良く見せるために違法すれすれの(中には架空売り上げなどの本当に違法の)利益かさ上げ行為が行われる。
お化粧によってかさ上げされた直前の企業決算を見せられた投資家は、「このペースだと急速に利益が改善してあっという間に黒字転換して、その後も利益が急速に増加する」と誤解してしまう。
その結果、IPOの初値はとんでもない高値になってしまう。
IPO後の直後決算はIPO時に事前のお化粧が工夫されることが多いので無難にこなせるが、その次はスッピン決算になって、化けの皮が剥がれる。
その辺を十二分に理解している熟練の投資家は、IPO直後の空騒ぎ(=空中戦)を楽しんだらさっさと足抜けしてしまう。
もみくちゃになった銘柄の常として、スッピン決算による失望以降はだれも見向きもしない銘柄になり出来高も急減してぺんぺん草状態に陥ってしまう。
ひどい場合は、経営者が「IPOゴールでゴール! その後の企業業績には興味が無く、インサイダーまがいのM&A合戦にご執心」という低品質のIPO銘柄もある。
近年のIPO銘柄は、鉄鋼・自動車・銀行などの枯れた世界の銘柄とは別世界の住民なのだ。
空中戦銘柄はあくまでも空中戦だけでまっとうな投資とは別だと割り切ることが大切だ。
IPOの全部が全部そうだと決めつけるわけではないが、そういうIPOもあるのだと十分に理解しておくことが「転ばぬ先の杖」になるだろう。


ROE&配当利回りは株価予想には使えない
ROEや配当利回りが高い銘柄はパフォーマンスが良いと言われるが、そういう銘柄を数多くパッケージ的に保有した場合の「好成績の後講釈」には使えるかもしれないが、個別株の株価予想には使えない。


最も株価が上昇する時は・・
株価が上昇するには、・・・
1:業績予想が上方修正される(=EPSの上方修正)
2:投資家の楽観度合が増す(=PERが拡大する)
・・・・が起こる必要がある。
ベスト・ケースは、1と2が同時に起こる時だ。
そんなことは滅多にない。

その滅多にないことが起こったのが、2016年のNVDA(↓)でした
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1418394368234086&set=a.138215109585358.29202.100001906080968&type=3&theater
 

最も株価が下落するのは、予想EPSとPERの双方が下がる時
順調だと信じていた投資家に、場が引けた後に突然「業績の下方修正」というニュースが舞い込んで来る。
ハシゴを外された投資家は愕然となる。
翌朝の株価は大幅に下がる。場合によってはストップ安する。
業績は、▼10%の下方修正なのに、株価は▼30%も下がる。
下方修正幅を大きく上回る下落の原因はPERの低下
例えば・・・・
直前 :  予想EPS 200円 × 15倍 = 株価3000円
下方修正直後: 予想EPS 180円 ×12倍 = 株価2160円

予想だにしていない状況での業績下方修正は、大幅なPERの低下を引き起こす。
PERの低下とは、投資家の信頼性の低下だ。
失墜した信頼は容易には元には戻らない。
信頼を得るのは長い時間を必要とするが、失うには一瞬で事足りるのだ。
大幅下落を経験した銘柄が長期低迷する理由がここにあるのだ。

業績が多少回復しても、PERは元には戻らないのだ。
直前 :  予想EPS 200円 × 15倍 = 株価3000
下方修正直後: 予想EPS 180円 ×12倍 = 株価2160円
その後業績回復しても:予想EPS 200円 ×13倍 = 株価2600
いかにPERという投資家の信頼指数が重要かがわかるだろう。
一方事前に「マズイね、この状況では」などと投資家が懸念していた場合は、下方修正が発表されても大きくは下がらない。
懸念した投資家がそれなりの売却をするので、事前に株価が下がっているからだ


より馬鹿ゲーム
空中戦銘柄に参加する投資家の多くは「より馬鹿ゲーム」をプレイしている。
より馬鹿ゲームとは、「私はこの値段で買う、そして別の投資家がもっと高い株価でこの株を買ってくれるから、私は売り抜ける」から儲かる。
「もっと値上がりした時でも、その値段はオカシイとは思わずに買ってくれる」ような私より馬鹿な人間がいる、という考え方だ。
自分の買う値段が安いから株価が上昇する、というのではない。
株価が安いか高いかは判別できないが、より馬鹿ゲームには勝てる、だから参加する、という心理状態だ。


投資家は安定を高く評価する_1
1:毎年ヒタヒタと5%ずつ利益が増える会社
2:過去3年20%超の増益で今年も+20%増益が期待される会社
3:赤字と大儲けを行ったり来たりする会社だが、今年は+20%の増益
4:赤字と大儲けを行ったり来たりする会社だが、今年は+40%の増益
1,2,3,4は、それぞれ何倍のPERになるか?
経済や市場など状況が変わればPERが変化するが、あえて「傾向」という事で回答すれば
1:利益の確実性が高いので、PER=30倍
とにかく世界の投資家は「安全、確実」が好きだ
株式であっても、減益とか赤字などが程遠い企業に対しては非常に高いPERを付与する。

投資家は安定を高く評価する_2
過去3年20%超の増益で今年も+20%増益が期待される会社
ヒタヒタ5%増益企業の4倍の20%増益だが、投資家はそんな状況が長く続く事を信用しない、ヒタヒタ5%増益よりも賞味期限が短いと考えるものだ。
過去3年は好業績だが、それより以前を振り返ると赤字だったこともあり、増益率は変動している。
しかし当面の勢いを評価するので、PER=28倍
つまり、ヒタヒタ5%増益企業よりも低く評価されてしまうのだ。
人間は、それほどまでに不安定さを嫌うものだ

投資家は安定を高く評価する_3
1:毎年ヒタヒタと5%ずつ利益が増える会社
2:過去3年20%超の増益で今年も+20%増益が期待される会社
3:赤字と大儲けを行ったり来たりする会社だが、今年は+20%の増益
4:赤字と大儲けを行ったり来たりする会社だが、今年は+40%の増益

3と4は、前述したようにPERではなく、PBRを使う方が投資判断的には適している
それでも、あえてPERで表現すれば以下のようになる
赤字業績の時:PERは存在しない、もしくはマイナスのPER になる
業績予想が水面上に浮上した初期:PER=60倍
これが、3に該当する
復活が明確になり上り調子の時:PER=12倍
これが、4に該当する
ピーク・アウトが始まる直前(頂点):PER=6倍

つまり、株価は稼動率とそれが生み出す将来利益を見ながら動いている。いくら景気が良くても工場のキャパという天井があるからだ。
だから、PERの推移を見れば最高の時(=ピーク・アウトが始まる直前の瞬)が、PERが最も低くなる
しかも、その時の株価は既にかなり下がっている、何故なら「過去の業績変動パターンを知る」投資家はピークの後に来るものを認識して売り始めるからだ。
重要なことは、1、2という企業と、3、4という企業は同じ投資尺度で測定するのは不適当だということなのだ
そんな使い分けなんて面倒臭い、誰かがルールを決めれば良いのに、、、というのは「お上に依存する」考え方で良くない。
市場は多くの投資家が切磋琢磨しながら「儲けたいという欲望」をぶつけ合っている生命体みたいなものだ。
株式市場は、各投資家の創意工夫で各自が投資判断を下して競い合うという意味で、フェアな場所なのだ

インデックスの問題点
世界の株式市場を横ぐしでPER比較して、USよりも日本は割安だ、もしくはその反対、などと論評する人がいる。
春山はナンセンスだと思っている。
各国市場の政治経済の状況、インデックスを構成する企業群の違いを無視して、単純に横並び比較して、割高/割安などと論じるのは不適当なのだ。
例えば、
A国;1、2類企業、80% 3、4類企業、20%
B国;1、2類企業、70% 3、4類企業、30%
上記のような2カ国をPERなどで横串比較ができないことは明白だ
一般的には、「1,2企業のPER > 3,4企業のPER」なので、自然体で計算すれば、A国のPER > B国のPER、ということになる。
しかも、3,4のPERが最も低いのは、頂点時である。つまり最も危険、一番割高な時である。
半面、1,2のような企業は、素直にPERの高い低いで考えてよいだろう。ただし同一市場内でだ。
市場、国が異なれば、似たような企業、似たようなビジネスでも異なるPERになるからだ。
たとえば、金利が低いC国(例えば、5年金利=2%)と高いD国(4%)の場合、経済算数的には、「高いC国のPER < 低いD国のPER」となる。
そして重要なことは、今後の金利動向が「C国は低下する、D国は上昇する」のであれば、D国は低いPERにも関わらず危険、割高なのだ。


2017年9月17日日曜日

ブラックはデフレの産物

デフレ期は企業の提供する商品やサービスの価格が下押し圧力を受ける。
マージンが悪化して企業の利益は減少する

一方、給料は業績連動で下げる事が出来ないので、高止まりする。
ますます企業は苦しい。

その結果、正社員の60%程度で活用できる非正規労働者を増やすことで、「全体としての人件費」をデフレ対応モードにする

いっそのこと全員を非正規にしたり、非正規レベルの正規職員(給与は正規だが、超長時間勤務を強いて時間給では非正規)にすることで、利益を享受する企業が出現する。
そんな企業(=ブラック企業)が出現するのは、デフレで企業が採用に消極的だからだ。安くても働いてくれる人が潤沢にいるからだ。

ブラック企業が存続できるのはデフレ期だ。
デフレが終わればブラック雇用は成立しない
そうなればブラック企業が提供しているような商品やサービスは消える。

つまりブラックはデフレの生み出した特産物なのだ
 

春山ルール39:株価の賞味期限は早く来る

株価の賞味期限は、企業の賞味期限(正確には企業業績の賞味期限)よりも短い

投資家は先を争って、他人よりも一歩でも先に、少しでも安く買おうと行動する。
多少フライングでも構わない、短期的には多少は割高でも構わない
株価は私の買値を超えて大きく上昇するのだから・・・
そういう意識が投資家の心を占有している。

実態よりも株価が先行するのは、投資家の欲望、推定、判断が背景にある。

半歩先に進んで、現実が追い付いて来るのを待つ
来たら、また半歩先へ進む




ダメそうな雰囲気を感じたら、悪化の事実の前に、投資家は投げ売りする。
だから、
株価の賞味期限は業績の賞味期限よりも早くやって来るのだ。

2017年9月16日土曜日

SNS、 悪貨が良貨を駆逐する

SNSは、disりサイト
うっぷん晴らし、不満のはけ口、そんな醜い面が急増し、知識や経験を高めあう良い面が目立ちずらくなっている。
そんな事をセミナー講師が漏らした

ネットとは全然違う世界で活躍する講師なのだが、どっちかというと彼の感想に春山は同感した。

SNSは当初は少人数のネット・リテラシーが高く自制心のあるユーザーで始まった。

その後、SNSの経営者は、あの手この手でユーザーを増やした。
ユーザーを増やすことが利益を生むビジネス・モデルであるがゆえだ。

多くのユーザーがオープンに参加する色彩が強まった段階では、SNS内で発言をする人同士の面識率は非常に低くなる。面識が無いので、何を言っても無責任を追及されないで済ませられる。
ネット・リテラシーが低く、投稿に際してモラルや自制心の無いユーザーが徐々にSNSに混入した結果、悪貨が良貨を駆逐する、そんな状態がSNSにも起こったのだろう。


SNSで不用意、不注意、不道徳、抽象的、ピンポン・ダッシュ的、、そんな投稿やコメントを書くのは、モンスター・クレーマーと同じように、一般人の
10倍以上も頻繁に過激な投稿やコメントを繰り返す。
困ったものだ。
 

春山ルール38 : 若い相場を見つけよう

相場が若い、、それは投資の安全性が高い事を意味する
少々の高値つかみでも、少し時間が経過すれば買値を超えて株価は上昇する
時間が解決してくれる、それが相場の若さだ

一方、相場が熟して老練な領域に達すれば、高値つかみは命取りになる
長期間、もしくは気の遠くなるほどの期間、含みポジションになる

なお、若すぎる相場(下の絵で言えば、赤ちゃん)もリスクが高い
IPO時点のPER等が非常に割高であることも、投資のリスクだし、
IPO時点では騒がれても、数年後に業績は低迷してしまう企業は結構多いのだ




今、若い相場は、どれ、どのテーマなんだろう?
それを考えながら投資判断をすれば心の安静を維持できる投資生活が過ごせるだろう

2017年9月15日金曜日

PERを投資指標にする際の留意点

PER_1:結局、利益予想
景気が上昇し需要が増えると、売り上げが増えて利益が上昇する。
景気が下落し需要が減ると、売り上げが減少して利益がが下落する。
利益の増加率が大きいと、P
ERも大きい

PER_2:適合&非適合
この考え方に適合するのは、利益が見込めるビジネス、
より適合度が高いのは、利益額が増加するビジネス

この考え方が当てはまらないのは、
万年赤字、もしくは赤字と黒字を頻繁に往復する非成長産業

PER_3:モメンタム株と馬鹿にされ続けてきたが
株の世界の歴史では割安株投資こそが王道、成長株とは名ばかりでそれらはモメンタム依存のチャラチャラした偽物という言葉が幅を利かせている。
日本では特にその傾向が強い

成長株とは「
Growth Stock」の翻訳だ

モメンタム株は
Value株にもGrowth株にも該当するものであり、成長株は所詮モメンタム依存というたぐいの揶揄は無視すべきだ。

PER_4 : 参入障壁
Growth Stockが活躍するビジネスは新分野が多い。
新分野は全員がスタートラインにいるような状態、そして新規参入を妨害する規制が無いか遅れており、参入障壁は低い。
競争は激烈だ

PER_5 : 時間が勝負
新製品、新サービスの競争が激烈だ。
ターゲットは一般人、消費者がほとんどだ。
「安く、簡単で便利な商品やサービスを、早く出す」ことが生き残りの条件だ。
時間が勝負である

PER_6 : 時間を買う
「安く、簡単で便利な商品やサービスを、早く出す」ことが人材や才能の不足で自社では不可能な時もある。
既に他社がそれを生み出している場合もある。
時間が勝負ゆえ、時間を買う(=その企業を買収する)のは合理的な判断である。

PER_最後
PBRのところに書いた事だけど、PERでも該当する項目は沢山ある。
そして何よりも、何でどう儲けても、100万円の利益は、同じ価値です

PBRを投資指標にする際の留意点

PBR_1:結局、稼働率
景気が上昇し需要が増えると、受注が増加して工場の稼働率が上昇する。
景気が下落し需要が減ると、受注が減少して工場の稼働率が下落する。
工場や人件費は固定費なので、稼働率の上下は”受注の上下動の率以上の急角度”で、利益を増減させる。

PBR_2:適合&非適合
この考え方に適合するのは、
新規参入の無い世界
製品が変化をしないビジネス

この考え方が当てはまらないのは、
新規参入が激しい世界
新製品開発競争が盛んなビジネス

PBR_3:PBRこそがと言われ続けてきたが
株の世界の歴史では割安株投資こそが王道という言葉が幅を利かせている。
日本では特にその傾向が強い

割安株とは「
Value Stock」の翻訳だ
しかし、誤訳だ
意図的な誤訳だ
証券会社が営業する時に「割安株」ですからと言えば、営業しやすいから、という理由だった

PBR_4 : 参入障壁
稼働率とは工場の稼働率だ
工場の新設には巨額の資金が必要だ
これが過去は参入障壁だった


PBR_5 : 工場はコスト
工場はいったん作ると維持が必要だ
受注が減っても、工場を縮小したり、工員を首にしたりは困難だ。
工場の維持コストは企業にとって重いコストだ


PBR_6 : 工場を持たない製造業
1990年代に工場の外注が進んだ
コストの外出しが目的だった
技術革新のない汎用品から始まった
VTRテープ、カセットテープは、同じ工場で作られて、最終的に
SONYTDKという別企業のラベルが張られた出荷された
シンセンの工場で春山も、そのまんまの光景を見た
 
PBR_7:困ったPBR_1
工場を持つA社、持たないB社、同じVTRテープ企業
PBRは、A社が低く、B社が高い
では、A社に投資すべきか? A社は安いのか?
PBRは、困ってしまった

PBR_8:困ったPBR_2
業界を代表する両社
売り上げ金額が同じ、50億円
工場を持つA社(200億円)、持たないB社(25億円)と資産規模が異なる
資産に応じた株価であるべきか?
利益に着目すべきか?

PBR_:困ったPBR_3
業界を代表する両社、利益金額が同じ(20億円)
工場を持つA社(200億円)、持たないB社(25億円)と資産規模が異なる
利益が同じなので、資産に応じた株価であるべきか?

PBR_10:自社工場の価値
設計と製造は連携している
製造しているから良い設計が可能だ

自社工場だから、新製品の秘密が守れる
委託工場だと・・・

自社工場だから、R+Dの成果としての技術(製造技術)を秘密にできる
委託工場だと、製造技術をライバル社の製品の製造に際して利用される

PBR_11:余談
製造委託と言うと、委託者(設計者)が上で、受託者(製造請負者)が下と思う人が大多数だ。
受託者から見れば、設計をアウトソースしているのだ、という言い方もできる。

PBR_12:設計者と製造者
どっちの儲けが大きいか
寡占が進んでいる方が、儲けやすい
とはいえ、アイディアの発見、それを実現する設計、売れる物にする製造、販売ができてこそ全員が儲かる「輪」になる

PBR_13:利益予想を放棄するDNA
利益予想なんて無理
政治経済の環境はコロコロ変化する
浮草的な利益予想を追いかけずに、かわらないモノ=企業の資産を基準に投資するのだ

PBR_14:安値受注
自社工場を持つ製造業であれ、生産を受注する受託生産企業であれ、工場は固定コスト
稼働させてこそ利益を生む

しかし、苦しくなるとコストぎりぎりでも工場を動かすために受注する。
利益など無くても良い、工場の維持費用だけでも賄えればよいのだ。

もっと苦しくなると、、、将来の正常価格での受注を期待して、赤字受注をする

PBR_15:R+Dの誤解
アィディアがひらめき、それが儲かりそうだから、起業する。
これが一般的な流れ
そして、儲からなくなったら・・・・
1:たたむ
2:もがく

成功した企業が連続で、次の儲かるアイディアを発見して事業化に成功することは稀だ。
普通は「一回休み」すれば「二回休み」になる。

「たたむ決断」が封印された企業は、R+Dすれば儲かる事業がうまれるハズだと信じる。
その成功確率が非常に低いにも関わらず
部門であれ、子会社全体であれ、会社そもののであれ、たためるのは創業者だけだ

PBR_16: 選択と集中の誤解
競争が厳しくなった時、選択と集中という言葉が流行る
正しい選択:3つの子会社から、2社を清算し1社に集中する
誤った選択:3つの子会社それぞれに関して、利益率の低い汎用品から撤退し、それぞれの高級品(利益率が高い)に特化集中する

その理由は、以前ブログに書いたとおり
http://haruyama-shoka.blogspot.jp/2017/05/blog-post_22.html
 
PBR_17 : 高価格帯、高機能品への特化
高級品への傾斜と並んで頻繁に出てくるのが、高価格帯、高機能品への傾斜&特化だ
日本企業が欧米企業に追いつき追い越せと頑張った1970年以降、そして日本企業がアジア勢に押しまくられ始めた2000年以降、いずれも攻める側は低価格品、普及品から攻めてくる。

購入するユーザーからしてみれば、実績のない企業の高価格帯、高機能品など買わないが、安価なものなら「お試し」で買ってくれる。
しかし、安価な分野を侵食されると二度とその陣地は取り戻せない
その結果、攻められる企業は非自発的に高価格帯、高機能品への特化をすることになる

PBR_18 : 高価格帯、高機能品への特化の罠
汎用品、普及価格帯の製品を含めて大量に生産するから、
1:生産技術が磨かれる
2:原材料の調達も大量購入ゆえに安価で調達できる
高価格帯、高機能品は少量しか売れないので、縮小した生産規模では上記の双方を失う可能性が高い

攻める側は、低価格品によって得た利益を武器に、高価格帯や高機能品の値引き戦略を遂行する。かつての日本企業が実行したように、今やアジア勢が同じことをしている。

PBR_19 :低い利益率が参入障壁
参入障壁が高く、業界の変化が少ない方が、同じ上下動が再現されるので、PBRが機能しやすい。
少額資本で高収益、そんなビジネスであれば、みんなが参入したがるので、競争が激しく、一度沈んだら二度と復活できない「万年割安に見えるだけ企業」に突き落とされる。
換言すれば、多額の資本を必要とし、しかも利益率が低いようなビジネスに今から新規で参入しようという企業家は稀だ。低い利益率が参入障壁になるのだ。

利益率が低いビジネスをやっている企業が景気の上下度によって利益が上下動する。そういうビジネスにはPBRが機能しやすい。
ゆえに、こういう企業は循環株(Cyclical Stockと呼ばれている。
景気循環で上下動する、という意味だ。

PBR_20:参入障壁の有効性は、チャレンジャーが決める
多額の資本を必要とし、しかも利益率が低いようなビジネスに今から新規で参入しようという企業家は稀だが、例外的にパワフルな新規参入が起こる時がある。

国家として、その産業が必要だから育成すると国策で決めて大規模な援助を実施するのがその代表例だ。
歴史的には、追いつきたい国である新興国・途上国がそういう政策を採用してきた。
古くは明治政府の富国強兵政策、
20世紀では中国の改革開放政策、そのたびに「新興国ブーム」が起こってきた。
 
新興国にチャレンジされる先進国はたまったものではない。
鉄、非鉄、造船、海運など新興国が国策で頑張る産業は、最新鋭の工場ほど低コストで高品質の製品が製造できるからだ。しかも最新鋭の製造設備を国家の補助金が後追いするとなれば、もう先進国は降参するしかない。もしくは輸入制限などで不自由貿易政策を実施することになる。
PBR_21:困ったら原点に戻る
原点とは利益だ
儲かる、利益が出る、だから投資をするのだから

利益が予想できないから、資産を使う、それは間接プレイだ
利益を使うのが直接プレイだ
直接プレイの難易度は高いかもしれないが王道なのである

PER_22 最後
どんな投資基準で判定しようが、その企業を分析するのが目的だ。
春山は、その企業が、「仕入れ、製造加工、販売」のどこで他社と差別しているかを理解することに最も力を入れている。

facebookコメントヘ

疑念を抱き始めた株式市場

金曜日のデータを見ると
絵襲うEPS(1414)× PER(13.77倍)=19470円
となっている



PERは投資家の株式市場に対する信頼性度合の変化で上下動する
上下動のレンジに関して、春山の理解では、

円高デフレだった民主党政権では、10~15倍
アベノミクスが始まり、日銀がETFを通じて株を大量に買い始めたので、12~17倍に上昇した。



それが年初来の、憲法優先(景気軽視)、北朝鮮の金正男暗殺以降のミサイル攻勢に打つ手の無い安倍政権の当事者能力の欠如、森友学園&加計学園問題による潔白性の失墜が重なって、投資家の株式市場に対する信頼や期待が劣化した。
おそらく、11~15倍というレンジに下がったのだろう


PERは信頼と安定の通知表

信頼とは、会社が予想する業績数値に対する信頼性です
安定とは、複数年にわって業績が安定的な成長を持続することです

信頼と安定が高い企業は投資家の人気を集めます
投資家の人気はPERに反映しますから、PERは高くなります

一方、信頼と安定が低いとPERは低くなります
信頼と安定が低いと安心して長期の保有ができません

低い会社は、ミスをして長期間低迷する傾向があるのです

信頼と安定は、株価変動にたいしても該当します
下記のような2社があったとすれば、A社のPERB社のPERとなります




株価変動に関しては、国にも当てはまります
下チャートは、今回の上昇相場が始まった2009年3月2日から直近までの、NYダウ30種日経225のチャートです



30個しかないNYダウ30種の変動性(=volatility)は、225個もある日経225の変動性を上回ると考えるのが普通です。
しかし、現実には30しかないNYダウ30種の方がはるかに小さな上下動で上昇を続けています。

変動性が高いと、買うタイミングによっては、長期投資と言ってはみても、なかなか利益が出ません。
これもあって、日本株のPERは、US株のPERよりも低いのです

2017年9月14日木曜日

春山ルール37 : 自分のスタイルを維持する

投資は魔物だ
生活や人生が目的であり、投資は手段に過ぎない。
自分の人生や生活にフォットする投資のやり方、スタイルをすべきだ。

頭ではわかっている。
でも、投資結果は数字で表現される。

自分の得意な株、セクター、国が冴えない。
一方、不得意な(もしくは、投資していない)株、セクター、国が好調。
こういう状況は時々くるものだ。

そんな時に、誰かが3億円儲けたとか、誰かは年間500%のリターンだ、とか見聞きすると、イライラしたり、闘争心が頭をもたげて他人と競争したくなる。

それを、ぐっと堪えてマイペースを維持できるようになるには、多少の「辛酸をなめる経験」を経ることが必要かもしれない。

目次:農業を考える

1:農業を考える_1:安全よりも安さを優先するデフレ中毒
2:農業を考える_2:安心と安全

3:農業考えるシリーズ_3  : チョット真面目に考えるぞ宣言!
これまでは株式投資には関連が限定的だったし、春山の九州の田舎が農家だったが、その実態が理不尽、非合理的、非生産的であり、嫌悪感を持ってきた。
ひょんなことで考える端緒ができた。コメント、メッセージも頂戴した。
冷徹に考えをまとめてみようと決めた

4:農業はビジネスだ
5:自分たちは選ばれるか?
6:農業従事者もビジネスマンとして、学び戦う存在
7:流通を支配する
8:IYの動き
9:大きいことは良いことだ
10:部外者の乱入と異端者の反乱が変革を生む
11:農業界の収益アップには企業化が必要
12:
13:


農業を考える_11:農業界の収益アップには企業化が必要

こういう動き、加速すると思う 消費者のためにモノは作られるのだ それに適応するためには「知恵とお金」が必要なのだ

2017年9月10日日曜日

御厨セミナー・メモ

Wiki:御厨 貴

1:安倍政権の強み
自民党に時々「お灸を据える」行動をする”コウモリ的な有権者”は、前政権(=民主党政権)よりはマシ、という「民主党嫌悪感」を現在は持っている。これが安倍政権尾支持率の高さの基盤となっている。

前党首蓮舫氏の二重国籍問題と党内混乱、そして最近の党首選後の幹事長候補、山尾志桜里氏の不倫疑惑で、コウモリ的有権者層はやはり民主党は・・・」という民主党嫌悪感を確認する格好になった。

自民党内にも安倍政権の長期化を望む潜在的な意識が広がっている。
安倍首相の後に政権を担当すれば、「前政権よりもマシ」という強力な支持率を失う。前政権が民主党ではなく安倍政権になってしまうからだ。
このまま可能な限り長く安倍政権が続くことが自分たちの利益に沿っているという認識が自民党内に広がっている。

内政では憲法改正宣言の後に噴出した森友学園、加計学園スキャンダルも、「官僚のあわれな姿=高級官僚ってこんな低レベルの仕事しかできないのか」が暴露された格好になり、現在では安倍政権を揺るがす要因ではなくなった。

外交分野では成績優秀だ。G7でも重鎮の立場で各国首脳をリードするような状況になっている。中曽根首相以来の快挙だと言える。
外交と安全保障を一体化して、日本を支持してくれる国を頻繁に訪問することで各国の信頼を維持している姿勢も欧米からは高く評価されている。日本のメディアが安倍批判だけに拘泥して、安倍政権の良い面を意図的に無視して報道する姿勢は困ったものだ

2:今後の政治関連の動き
日銀総裁は変わるのが普通だ
戦後一万田総裁だけが、GHQと吉田茂の強力なサポートを受けて二期務めた。
黒田総裁が二期目をやればサポートする安倍政権が途中でなくなるので、色々な困難の中で二期目を担当することになる。それよりも惜しまれつつ一期で辞める方が好ましいと判断するだろう。
 
また日銀の人事としても、総裁が変われば副総裁以下の担当も変わるので一銀の人事も流動性を維持できるので、好ましい。

衆議院は任期満了前に解散する。
野党に追い込まれて解散するのは最悪であり、自民党主導で解散する時期が検討されている。派閥の領袖から年末年始に解散というコメントが出ているが、それは民主党がガタガタな時に解散をしたいという意思表明でもある。

公明党との
20年超の同盟関係は、離れられない関係に達した。
厚生労働大臣や国土交通省大臣を公明党に差し出すことは「弱者保護の公明党」という路線芋合致する。
これは今後も継続されるだろう。

年初の安倍首相の憲法改正発言に際しては、事前に公明党と深いレベルの意見交換が行われたはずだ。それは国家機密に類する情報まで公明党に開示したことを意味する。そういう機密情報を共有する関係になったことは、簡単には同盟関係が崩壊しないことをを意味する。

ポスト安倍は、小池&小泉進次郎が重要なファクター
民進党の前原、枝野両氏は
15年前の国民新党時代に小池氏の配下で働いていた。小池氏が国政に再度参画する時は、民進党など怖くない存在だという意識で臨むだろう。
安倍首相のポスト安倍に関する意向は、スキャンダルまみれの現状を乗り越えて、国民が政治を再発見できるような人材を次期首相に選びたいという線のようだ。
風を読む力が抜群で選挙に強い小池氏、もしくは保守本流の小泉進次郎氏、安倍首相の心中には、この二人があるだろう。