2015年12月12日土曜日

2016年を考える_6_第三部:米国株式の投資環境_1:住宅と雇用

*** 2016年を考える_6 ***

第三部:米国株式の投資環境_1:住宅と雇用

(1)住宅と雇用が顕在な米国経済
米国のマクロ経済指標はまだら模様だ。良い指標もあるし、芳しくない指標もある。経済が片肺飛行なのだから、それは仕方がないところだ。
しかし最も重要な指標である住宅と雇用は堅調を維持している。


住宅は米国経済を支える最も重要な経済の構成要素だ。
これが崩壊した時にリーマン・ショックが起きた。
それほど住宅は重要ということだ。

上図は、住宅価格推移だが、ゆっくりとした回復ペースを維持している。
一直線ではなく、上がっては少し休む、このイライラするようなペースゆえ、住宅バブルにならずに住宅価格の上昇が維持できるのだ。

下図の住宅販売もゆっくりと回復している。
9・11テロ事件以降、移民に厳しい態度に変わったことから、それ以前のような移民が牽引する住宅需要は弱まっており、今後もゆっくりとした回復ペースが続くだろう。


なお、米国の住宅販売は中古市場(新築の約5倍の取引)が中心だ。
中古住宅販売をより注目すべきだろう。


(2)失業率的には、好景気
5%台の失業率が、米国経済や米国株式市場にとっては好ましい。
4%台に突入すると、通常は金融の引き締めが始まっていた。
引き締めの開始は、その後の景気の持続的回復に対する懸念を生じさせ、株式市場は不安定になったのが過去の通例だ。


11月の失業率は5%であり、2015年12月に16日には「超緩和の終了」が予想されている。


(3)恵まれた地理的環境にある米国
ラッキーという言葉が当てはまるのが米国経済だ。
シェール革命によって「自国の安価な化石燃料」が豊富に使えるようになったことが大きい。
30年先はわからないが、3-5年先までは問題がないだろう。

難民問題に困惑する欧州や、不安定化する中東アフリカ情勢の混乱の影響から地理的にもっとも遠くにある国という点も、政治経済の安定に寄与する。
その安定は、世界の株式の中で米国株のPERが割高グループに入ることを正当化するだろう。