*** 2016年を考える_14 ***
第六部:資産配分
(1)一足先にデフレ懸念を脱出した米国経済
米国FRBは、「米国経済がデフレの危機から脱出し、正常な状態に向かいつつある」と認識し、超緩和政策の終了に移行しつつある。
一方、欧州・中国・日本は、デフレ克服の道半ばであえいでいる。
株式相場のサイクル的に言えば、米国株式は金融相場から業績相場に移行する。
業績相場では、上昇する金利を背景に、徐々にPERが切り下がるので、「EPS×PER=株価」を反映して、EPSの上昇ほどには株価が上がらなくなる。
また、金融相場では「中央銀行の緩和」が主たる株価形成要因であったものが、業績相場では個別企業の業績予想に投資家の注目が移る。
欧州・中国・日本の株式は依然として金融相場の中にあるが、日欧は既に大幅な緩和を実施しており、今後の追加緩和の糊代は限定的である。
一方、中国の金利レベルや銀行の預金準備率は依然として高止まりしている。また通貨安も微々たるものに留まっている。
2016年の金融緩和は中国がもっとも大きくなるだろう。
欧州・中国・日本は金融相場の中にあるが、緩和ファクターからすれば中国株の上昇余地が大きいと考えられる。
(2)お金は余っているが、先進国内でぐるぐる回っている
世界のお金の流れという観点では、金余りの先進国から資金不測の新興国へ資金が循環せず、先進国内に留まっているのが現状だ。
上図の下段は、新興国指数の先進国指数に対する相対パフォーマンスだが、2010年9月をピークに相対劣後が始まって現在に至っている。
新興国株・資源エネルギー&重厚長大産業の壮大なバブルの崩壊にともない、資源エネルギー、農産物といった商品市場や新興国から大量の資金が逃げ出した。
その資金は、先進国の株と債券の中をグルグル回っている。
「新興国で大きな設備投資を実施するために先進国から巨額の資金が新興国に流れ込む」というフェイズには程遠い状況だ。
上図は、経済と投資の活動の進捗を図示したものだが、①金融緩和の開始、②低下する金利環境の中、投資家が残っている高金利に群がる、③通常の投資案件では金利やリターンが低すぎるので、リスクの高いハイ・イールド債券に資金を投じたり、M&A、IPO、未公開株投資などがブームになる、という推移になる。
現在は③まで進んできたが、なかなか次のフェイズである新興国への投資には踏み切れない状態でとどまっている。
現在は③まで進んできたが、なかなか次のフェイズである新興国への投資には踏み切れない状態でとどまっている。
(3)パフォーマンスの鈍化が予想される2016年
先進国の株式パフォーマンスは、2009年以降は比較的好調であり、2年連続で不振になることはなかった。
しかし、11月末の状態のまま年末を迎えることになると、2014年、2015年と連続で冴えないパフォーマンスになる。
2015年は米国の緩和終了による米国経済の腰折れ不安と、中国の経済鈍化が世界経済に及ぼす悪影響懸念、そして中東の不安定化とISのテロの拡散という投資家を不安にさせる環境から抜け出せないままの1年だった。
株式市場は「知ってしまえば、好材料であれ悪材料であれ、織り込み終了」となる。
その意味では、米国の緩和終了と、中国の経済鈍化は投資家全員が机上で確認できる事実となったので、2016年はこの2点は悪材料としては後退するだろう。
(4)資産配分
これまで記載した事実と推定をベースに考えると・・・・
これまで記載した事実と推定をベースに考えると・・・・
(1)世界の株式市場は、米国の緩和の終了を契機に2009年からの平均パフォーマンスよりも低い可能性がある。
(2)債券の金利は低すぎる
(3)円安は望めなくなってきた。
という3点を基本判断としたい。
下図が、2016年に向けての推薦資産配分だ。
2015年9月11日から変更はない。
という3点を基本判断としたい。
下図が、2016年に向けての推薦資産配分だ。
2015年9月11日から変更はない。
ポートフォリオの骨子は、
1:円建て:50%、外貨建て:50%
2:債券の代わりとして、Jリートを25%
2:債券の代わりとして、Jリートを25%
3:アジアと新興国に関しては、金融緩和余地の大きな中国香港株以外は慎重に考えたい。
である。
推薦資産配分
過去の配分推移は以下のようになっている。