2023年3月20日月曜日

2023年金融危機への対応は、過去とは異なる

 FRB、ECBから発せられるコメントを読んでいて、2023年金融危機への対応は、過去とは異なる、と春山は感じている
現状で認識できることは・・・・
1:預金者は保護する
2:投資家(=銀行の株主、銀行の発行した債券の所有者)は保護しない。美味し過ぎる話(株であれ、債券であれ、仕組み商品であれ)に乗った投資家(銀行であれ、機関投資家であれ、富裕層の個人投資家であれ)は損失を被るべき
・・・・である


過去は、2に関しても、損失負担が極端に少なかった。

税金を投入して損失が起こらないような救済措置を講じていたからだ。
そんな救済が行われた背景は「損失負担を銀行、機関投資家、富裕層に対して要求するのは金融村の利益を損なう」という既得権益保護だった


1998年のLTCM破綻に際する救済は投資家保護(=USの投資家、大口機関投資家や富裕層の損失補填)だった。

預金者保護や弱者救済、危機を起こしている国の救済ではなかった


自己責任で投資したはずだ、特に機関投資家は、、、だから、下記は当然の結末なのだ




2023年のFRBとECBは、SIVB、Credit Suisseの危機対応に際して、これまでの投資家の権益保護にメスを入れようとしているのかもしれない

2023年3月19日日曜日

パウエルの考える中立的な金利体系を推定

パウエルはFRB議長に就任した時から「バブルを起こさない金利水準」を模索するという言動があった。


低すぎる長期金利はバブルを起こす
バブルを起こさない長期金利の水準は?

それは投資家がファイティング・ポーズもりもり状態にならない金利水準だ


それを勘案して、パウエルの考える中立的な長短金利の水準を春山なりに考えると、以下のようになる。

FF金利:2.5~3.0%

10年金利:4%

金利差:1.0~1.5%


その状態に達するプロセスをお絵描きすると下図のようになる



今後の金利の動きは・・・・
FF金利はインフレの鎮静化に呼応して下落が続く
一方、10年金利はFF金利の低下で多少は金利低下を見せるものの、景気の改善に伴う資金需要の増加に呼応して上昇する
・・・・・というプロセスが想定できる

おそらく、2024年にそのような状態になるだろうと考えている

ちなみに、パウエルがFRB議長に就任後、「バブルが起こらないレベルまでの炉上げが必要だとして」利上げを継続し、FF=2.5%で利上げを止めた


当時はインフレは無かった。
現在はインフレがある。
2.5%を上回る部分が、インフレ対応の利上げだと推定することも可能だろう
その意味で、2.5%は参考になるかもしれない



2023年3月18日土曜日

FRBの悩み

 民間の借入金利が低すぎるとバブルを引き起こす。その金利は長期金利だ


FRBがコントロールできるのはFF金利で、その影響は短期金利(1month、3month金利など)には及ぶが、長期金利は民間の借金の価格だから借金需給で決まるので、FRBがコントーロールできない


短期金利を引き上げても長期金利が上がらないと、長短金利が逆転してしまい、銀行の資金調達金利がローン金利を上回ってしまうので、銀行は苦境に陥る

ダメ銀行を懲らしめる際には有効だが、数的に圧倒的に多い優良銀行も苦しめてしまう。抗がん剤が正常細胞も痛めつけてしまうというジレンマに似ている


FRBの悩みは、どうしたらバブルが起こらない程度の長期金利水準を維持できるか、しかも景気に配慮しながら、という点だ

そして現状では妙案が示されていない