2015年12月11日金曜日

2016年を考える_4_第二部:世界共通の投資環境_2:スーパーサイクルの後遺症

*** 2016年を考える_4 ***

第二部:世界共通の投資環境_2:スーパーサイクルの後遺症

(1)期待裏切の副作用は多岐にわたる
2000年代中盤、商品はスーパーサイクルだ。
原油の$300、ゴールドの$3000は通過点に過ぎないなどと言われた。

特に原油は、枯渇するのだから価格は青天井だというフィーバー状態になった。


しかし、経済が低迷し需要が後退すると価格は大幅に下がった。経済の法則が機能したのだ。
当てが外れてダメージを受けた人は多い。
1:開発業者は、資金はいつでも集められると安易に考え、30年の開発案件を4-5年の短期資金に依存して着手した。

2:投資家は強欲に目がくらみ、少々採算があやしい案件でも、将来原油価格が上がれば採算は問題ないと解釈して、開発案件に投資した。

3:産油国は、もう原油価格が$100以下になることは無いと考えて、大盤振る舞いのばらまき予算を策定した。


しかし、経済の需給の法則で下落した原油価格を目の前に突き付けられた。
投資家は短期融資のロール・オーバーを拒否し始め、開発案件は頓挫しつつある。産油国は、財政危機に陥り始めた。

(2)産油国以外も原油価格下落の余波を受ける
産油国の国家財政破綻は、先進国の株式市場にも悪影響を与える。

これまでの産油国は、原油の輸出代金で得た貿易黒字を先進国の株式市場に投資して、将来の産油量の低下や枯渇という事態(財政赤字)に備えて資産運用してきた。

 

今や、想定外の原因ではあるが、財政赤字になってしまった。
そして、その
赤字を埋め合わせるために、これまで投資した株や債券を売却する動きが始まっている。サウジの動きはメディアでも取り上げられた。

一気に売却することは無いだろうが、原油価格が低迷する限り、産油国のファンドが換金売りをする事態は、長期間継続するだろう。
売らないまでも、これまで「産油国=投資する国」と思われていた常識が、新規の投資が消えてしまう新常態を迎えている。