2019年12月8日日曜日

ポジション・トークは相場の体温計

ポジション・トークには、2種類ある
1:株を保有している人が発するポジション・トーク
2:株を持っていない人が発するポジション・トーク

ポジション・トークを発するのは人間だ
人間は感情の生き物だ。そして人間は心配性だ。
いまでこそ人類は地球上を我が物顔で闊歩しているが、地球上に人類が生まれてからの大部分の時間は小さくて弱い哺乳類だった。だから人間のDNAには、「死ぬな、生き残れ、逃げろ」という兎にも角にも(経済算数を度外視して)危機を回避する行動をとるように脳に刻み込まれている。

その結果、生きるか死ぬかとは無関係な投資の世界であっても、投資家の全体像を俯瞰すれば、「平時は何かと心配してポジションを持たない」という心配派が多数を占めている。(下図参照)



だから、平時に良く見られるポジション・トークは・・・
株を保有している人が発するポジション・トークは、「少し心配だけど、もう少し保有を継続してみよう」という言動になる。
一方、株を持っていない人が発するポジション・トークは、そんなに株価が上がっていないにも関わらず「もう高くなった、これはバブルだ、崩壊するリスクがある、下がったら買おう」という言動(=買いたい弱気、と業界では定義されている)に陥る傾向がある

春山が受け取るメッセージや質問を観察していると、下図にあるような推移をたどることが多い。
相場初期:何だこれ、、、でも無視、軽視、、自分では調べようとしない
中期:まだ買っても大丈夫でしょうか?
熟れ頃:これっきゃないですよね!

相場が進むにしたがって、心配派が徐々に強気に変化するので、株価の上昇角度は徐々に急角度になっていく



ポジション・トークの相場に与えるインパクトと言う点では・・・
株を持っていない人がいくら心配しても相場には影響がない。株を持っていない人からは売りが来ないからだ。(空売りはこの場は除外・・・・)
株を持っている人が心配すると相場に影響がある。売りが来るからだ。

相当数の心配派が強気になって株を保有した後に何か悪いニュースが出ると、「にわか強気派=旧心配派」は一気に心配派に逆戻りする。
株を持っている「にわか強気派=旧心配派」の心配は一気の売りを呼び、相場は急落する。
だから、下げは上げの三倍速になる。



相場のピーク付近では、心配派の強気への転換が急速に進む。
これを買っていれば安全だ、みんなも買っている、これっきゃない!という雰囲気、つまり投資に対する安心感がまだ投資をしていない心配派に急速に広がるからだ。
この安心感は、まさに株を持っていない人が発するポジション・トークであり、相場のピークで出現する。
まさに相場の体温計が急上昇するのだ。

そういう相場の体温を観察しながら株の保有を続けていた元祖強気派は、徐々に利益確定の気持ちを持ち始める。彼らのポジション・トークの代表的なものは「ちょっと心配だから、ポジションを軽くしたい」である

2019年12月5日木曜日

米国経済&米国企業の強さが維持されている

トランプは何かディール(成果)を達成したか?
過去の政権が行ったディールを壊したり、壊すために大声で喚き散らしたり、そういう言動が際立っている。

国際政治の分野では、北朝鮮、中国、イラン、シリア、メキシコ経由の移民問題、いずれも自画自賛の言葉はあれど達成の事実は見えない
NATO問題では欧州でフランスと喧嘩状態だし、世界中にある米軍基地の税制負担の大幅な増加(3~5倍)を基地の所在国に求めている。

国際経済の分野では、世界中で摩擦や混乱を引き起こしており、その収拾の目途が立っていない。米中貿易戦争の悪影響は長期にわたって世界経済を減速させている。

それでも米国経済や株式市場が堅調に推移しているのは、米国経済や米国企業の潜在力の強さが発揮された状態が維持されているからだ。



そして春山が重要だと思う点は、トランプのまき散らす懸念があるので、世界経済も株式市場も前のめりのイケイケ経営やバブルにならずに腹八分目(=余力を残した状態)で巡航している、ということだ。

この不思議なバランスは2020年も続いていくと思われる。