1:若者は、お金も自由も持っている
バブル時代の若者よりも、現在の若者のほうが所得が多い
バブル時代の若者よりも、現在の若者のほうが所得が多い
インフレ率で割り引いた実質所得は、務省データによれは二桁の増加になっている。
詳細は後述するが、モノ価格のデフレと若者向けサービスの無料化を加味すれば、若者の所得増加の実感値はさらにアップする
現在の若者世代は、中年世代(既婚者が多い)よりも、可処分所得も自由時間も多い
子育て養育の負担が小さいことが要因だと思われる
2:若者は、豊かな消費をエンジョイしている
長期間続いたデフレにより「モノの値段」は下がった。
モノは簡単に手に入るようになった。
同じものがたくさんあるので、「私も、ソレ欲しい!」は簡単に実現する。
持っているモノを基準に考えるような昔的な価値基準で言えば、若者は豊かな消費をエンジョイしている。
持っているモノを基準に考えるような昔的な価値基準で言えば、若者は豊かな消費をエンジョイしている。
一方、人との関係、ふれあいの値段は上がった。
他人の素晴らしい人生、それを私も!
残念ながら、それは決してできない
恋人、友人、パートナーは、同じ人になり得ないから「私も、ソレ欲しい!」は今も昔も実現不可能のままである
モノへの欲望の多くが可能になった分だけ、人との関係、ふれあいに対する渇望度合は相対的に増し、物質的なモノではない人間関係の「こと」に関する値段や価値が上昇した。
若者の豊かな消費を支えているのが、各種サービスの無料化だ。
特に若者が使うサービスで、過去は全て有料であり若者支出の大きな部分を占めていたもの、それが無料化された。
電話は無料のインターネット電話やSNSチャット・サービスに置き換わり、手紙はインターネット・メールに、写真はスマホで撮ってSNSで交換する。
車やバス電車を使って実際に合わないと不可能だった男女交際の一定部分(選別作業)もSNSで可能になった。
つまり、若者生活に必須のサービスが無料になったのだ。
特に若者が使うサービスで、過去は全て有料であり若者支出の大きな部分を占めていたもの、それが無料化された。
電話は無料のインターネット電話やSNSチャット・サービスに置き換わり、手紙はインターネット・メールに、写真はスマホで撮ってSNSで交換する。
車やバス電車を使って実際に合わないと不可能だった男女交際の一定部分(選別作業)もSNSで可能になった。
つまり、若者生活に必須のサービスが無料になったのだ。
その結果、昔よりも少ないお金で昔と同等以上の豊かな消費が可能なのだ。
おそらく若者的には、統計上のCPi以上に若者生活物価は下がっていると思われる。
おそらく若者的には、統計上のCPi以上に若者生活物価は下がっていると思われる。
現にアンケート結果では、若者の生活、所得・収入に対する満足度はより大人世代よりも高くなっている。
お気楽独身、子育てのイライラなし、夫婦間のまたは親戚との面倒な付き合い、」そういうことから疎遠であることも要因だと思われるが、それを割り引いても「現代に若者はかわいそう」とか「昔はよかった」とい評価は事実とは異なると言えよう
3:出生率ではなく、出生数が重要だが、その前に結婚
そもそも「出生を担う親」になる人数が絶対的に少ないので、人口減少防止という観点では若年夫婦の数の増加が重要だと思われる。
そのためにも結婚の減少と晩婚化を反転させる必要がある。
そもそも「出生を担う親」になる人数が絶対的に少ないので、人口減少防止という観点では若年夫婦の数の増加が重要だと思われる。
そのためにも結婚の減少と晩婚化を反転させる必要がある。
結婚に関して言えば、SNSなどを通じて交際候補者の素性や性格、行動特性などの見える化がすすみ、誰が自分の希望にフィットした異性なのか、誰がより良い相手なのか等の情報が得られやすくなった。
しかしその結果、高い要求基準を満たす「良い相手」は簡単には得られない、という現実に直面することになった。
昔も今も、良い相手、自分の希望に合致する相手はそもそも多くは存在ないのが普通だ。
昔は事前調査が乏しいままに結婚して、実は自分にとって良くない相手であることが事後的に判明しても我慢していた、というのが真実だろう。
今は事前選別が一般化したので、「まあ、これで良いとしよう!」という妥協の決断できなくなってしまったのだ。
上記アンケートにある「適当な相手」とは、要求基準を満たす異性、自分が人生で楽ができるパートナーという意味らしいが、・・・
女性の視点では、「自分は働かずに専業主婦になれるような高所得の男性であるか、育児を対等に負担することにコミットする男性」ということになる。
男性の視点では、「結婚後も働いてくれるパートナー、子供べったりにならない配偶者」ということになる。
なお、結婚願望が低下したわけではない。一緒に暮らしたい、家族をもちたい、という欲求は20世紀よりも増えている。
モノはあふれているけど、愛情は希少だと正しく認識しており、そのために必要なコストは払う覚悟はあるのが、今の若者だ。
4:軽く出会い、簡単に分かれる21世紀型のSNS男女交際
ネットが普及する以前は、出会いのチャンスが少ないうえに、現実に異性に会うのは大変なプロセスだった。会わないと相手の素性を確認できないが、会うには車、電車、有料電話など手間暇コストが高かった。
ネットが普及する以前は、出会いのチャンスが少ないうえに、現実に異性に会うのは大変なプロセスだった。会わないと相手の素性を確認できないが、会うには車、電車、有料電話など手間暇コストが高かった。
現在は簡単になった。
無料SNS、無料電話、相手の素性を知る手段は増えた。
軽いノリで簡単に会う傾向が強まり、それゆえ別れに関しても「LINE一行メッセージで別れる」ようにもなっている。
数多くの相手をチェックして最善を見つけようとしている、と解釈することもできる
無料SNS、無料電話、相手の素性を知る手段は増えた。
軽いノリで簡単に会う傾向が強まり、それゆえ別れに関しても「LINE一行メッセージで別れる」ようにもなっている。
数多くの相手をチェックして最善を見つけようとしている、と解釈することもできる
合わずとも相手を値踏みできるようになった結果、リアルの交際に関するスキルは劣化した可能性がある。
下記のアンケート結果にも現れているが、男性は恋愛の仕方が分からない、女性は面倒、というような回答が目立っている
VRで練習して交際術が上達したら実践デビューという時代がすぐそこに来ているのかもしれない
VRで練習して交際術が上達したら実践デビューという時代がすぐそこに来ているのかもしれない
5:出産は義務ではないし、必要でもなくなった
全員が農業に従事していた時代、生命を維持する農産物生産に従事する労働力の確保が重要だった。
それを得るには出産&育児しかなかった。
平均寿命も短く、幼児死亡率も高かったので、農業労働力を生産する出産&育児は重視され、女性の地位も高かった。
それを得るには出産&育児しかなかった。
平均寿命も短く、幼児死亡率も高かったので、農業労働力を生産する出産&育児は重視され、女性の地位も高かった。
しかし、商工業が盛んになり農村と都市が分離するに従い、「多くの国民が農業生産労働力を生み出す義務を負う」という状況は消えていった。
都市化と工業化が促進したのが「武力行使、戦争による国家の勢力拡大」であったが、武器生産を支える工業や商業を発展させる必要性が国家的に認識された。
その結果、商工業に従事する都市住民への優遇政策が実施された。
その結果、商工業に従事する都市住民への優遇政策が実施された。
当時は余剰な労働力はいくらでも農村部にいた。公衆衛生の改善により幼児死亡率が減少するとともに農機具や肥料の導入による農業生産性が向上した。両者相まって、より少ない農民で多くの人口を養えるようになっていたのだ。
依然として高かった農村部の出世率により余剰となった農村部の人口を吸収したのが都市の商工業セクターだった。これは好循環だった。
農民人口が大幅に減少し、かつ戦争による労働力の棄損が起こらなくなった今日、自分たちの生命維持のために労働者を再生産する必要性はなくなった人々が大多数になった。
子供を持つことは、そもそも義務ではない。
子供を持つことは、そもそも義務ではない。
しかも、その前提となる結婚の必要性も低下し、結婚の法的な義務も存在しない。
そのような時代においては、出生は頼むかお金を払うかしかなくなったと思われる。
なおフランスでは、親に対して子供の養育義務を厳しく課しつつ婚外子を積極的に容認することで出生数を減らさない方針が機能している。日本においても事ここに至っては、そういう考え方に変えるのが現実的な解かもしれない。
6:若者の結婚しない理由のひとつは安定的な所得、特に男性
現在の若者は、お金も自由も持っており豊かな消費をエンジョイしているが、将来に対する不安は昔よりも大きくなっている。
現在の若者は、お金も自由も持っており豊かな消費をエンジョイしているが、将来に対する不安は昔よりも大きくなっている。
結婚に関してだが、男性は家族を養うものという考え方が残っている
だから所得が低く、しかも不安定だと結婚に踏み切れない
男性が、自分一人で家計の負担をする代わりに自由を謳歌するという意識を捨てて、男女平等の育児負担を受け入れる一方女性にも生涯働くことを要求するという世界に飛び込めば世界は大きく変わると思われる
300万円を超える所得が恒常的に得られるという安心感が欠如する非正規雇用の男性は、結婚に消極的だ。
「共働き夫婦が自然な状態」という考え方がコンセンサスになれば出生状況は変わるだろう。それは男性が育児を分担して引き受けるのが当然という事も意味する。
「共働き夫婦が自然な状態」という考え方がコンセンサスになれば出生状況は変わるだろう。それは男性が育児を分担して引き受けるのが当然という事も意味する。
残業は基本ゼロが大多数、公然と残業を命じるブラック企業には就職者が来ない、もしくは残業には300%の時間給支払いの法的義務がある、そんな姿が将来像なのかもしれない。
近年では、男性に依存しないで生活が継続できる女性が増えている
金銭的に自立した女性は趣味やライフワークに興味を示し、現在の日本社会では負担の多い出産と育児から遠ざかる傾向もみられる。
金銭的に自立した女性は趣味やライフワークに興味を示し、現在の日本社会では負担の多い出産と育児から遠ざかる傾向もみられる。
7:若者の不安の背景は世代間の不公平に起因
若者の将来に対する不安の背景は、年金、医療、介護の世代間不公平負担という問題だ。
これは、経済の発展段階と少子高齢化という日本国全体の起承転結に起因しており、若者の努力では解決不可能なのだ。だから陰鬱な不安が多数の若者に重くのしかかっているのだ。
若者を低賃金で収奪するブラック企業は問題だと言われる。
その意味では、日本はブラック国家かもしれない。
若者は「自分たちは収奪される世代」という事実認識を持っている。親子で通算すれば良いではないか、お前が負担する代わり国家が払うだけだ、、、とはならない
国家の計算と個人の計算は別次元だ。親世代の年金と医療費を子世代が負担するのは国家経済上は「解」であっても、家計的には「強制役務、無賃労働」である
1955年以降に生まれたものは、団塊世代に収奪されるという経済的な計算結果が事実であることを否定できない。
自分たちも年を取りいずれば年金・医療・介護のお世話になるのだが、それは若者にとっては遠い将来の事であり、そこに到達するまでの長い期間にわたって団塊世代に収奪され続けると認識しているのだ。
8:人出不足なのに賃金が上がらないと言う人が多い?
不満足な上昇だという意見は正しいが、上がっていないという表現は間違いだ。
一部の大手企業の高給取りのサラリーマンの給与は横ばいだろうが、客観的なデータは「一般労働者もパートも時間給は3年連続で上昇している」ことを示している
一部の大手企業の高給取りのサラリーマンの給与は横ばいだろうが、客観的なデータは「一般労働者もパートも時間給は3年連続で上昇している」ことを示している
上記チャートでも明らかだが、非正規雇用の時間給の上昇が大きい
そもそも日本の正規と非正の賃金格差(100:60)が世界的の平均的な状況(100:80)に比べて、はるかに大きいことから、非正規雇用の賃金を多少増やしても正規雇用よりも安上がりであるという実態ががる。
正規雇用とあまり変わらない業務をこなしているなら、解雇が簡単な非正規の賃金を増やしてでも非正規労働者を囲い込んだ方が、その企業にとっては得策なのだ。
企業の論理としては、正規+非正規の合計で支払う賃金がコストであるから、非正規の賃金を大幅に増やすなら正規の賃金上昇は抑え込みたいと考えるのは当然だ。
現状の正規・非正規格差では正規労働者が離職することはあり得ないからだ。
正規雇用とあまり変わらない業務をこなしているなら、解雇が簡単な非正規の賃金を増やしてでも非正規労働者を囲い込んだ方が、その企業にとっては得策なのだ。
企業の論理としては、正規+非正規の合計で支払う賃金がコストであるから、非正規の賃金を大幅に増やすなら正規の賃金上昇は抑え込みたいと考えるのは当然だ。
現状の正規・非正規格差では正規労働者が離職することはあり得ないからだ。
8月21日の日経新聞朝刊記事にもあるが、非正規の時間給の上昇は止まらない
9:賃金が上がらないメディア報道
正規も非正規も時間給は3年連続で上昇しているのに、一人当たり賃金(全体の平均)では正規雇用賃金はほとんど上がっていないというメディア記事が散見されるが、それは統計のマジックである。
退職する人の時給・賃金は高く、新卒採用の時給・賃金は低い
両者が同数なら、平均賃金は統計計算上下がる
しかも、アベノミクス以降急増している新規雇用者の大半は非正規労働者が占めている。
新規に採用される非正規労働者の時給・賃金も低いので、一人当たり賃金(全体平均賃金)はさらに下がる
正規労働者の賃金が微増、非正規が大幅上昇という環境では、サラリーマンの声を掲載することが多いメディアは「賃金が上がらないアベノミクス」という記事を書いてしまうのだ
現実に起こっていることは、雇用者の数量増加、正規労働者の賃金微増、非正規の大幅上昇、それらを合わせてれば「年率2%以上のペースで増加している国内支払総賃金の増加」になっているのだ。
また、増加した雇用の中で最も大きな2カテゴリーが「医療・福祉」の分野だが、ここは他のカテゴリーよりも平均時給が低い。
これも、統計上の平均時給を押し下げる要因になっている
これも、統計上の平均時給を押し下げる要因になっている
10:企業の負担する人件費とサラリーマン受け取る実額のギャップ
企業は人件費(賃金など)を大幅に増やしている。
しかし、増やした大半は雇用主に対する隠れた人件費と言われる「社会負担」だ。
しかし、増やした大半は雇用主に対する隠れた人件費と言われる「社会負担」だ。
賃金からは年金、税金、そのた社会保険料が天引きされてしまうので、サラリーマンの大半は受取金額で給料が増えたか減ったかを判断してしまう。
このため、企業からは人件費アップが大きくて苦労しているという発言が出るし、サラリーマンからはちっとも給料は上がらないという愚痴が出るのだ
もし全額を雇用者が受け取り、自分で税金や社会保険料などを払いに行くのであれば、給料は増えているのに「増えた分のほとんどがお国に召し上げられている」という実態を正しく理解できるだろう。その実態は、下記の2010年~2014年データを見れば明白だろう。
11:賃金は上昇するか?
アベノミクスが始まり景気が改善した結果人出不足が大きくなった。
雇用者数は大幅に増加し、パートやバイトといった非正規雇用者の時間給は大幅に上昇している。しかし正社員の時間給の上昇は鈍い。
今後もそのままなのだろうか?
失われた20年間の低迷経済が蓄積した「60歳未満の労働者予備軍」と「安価な労働力として登場した60歳以上の再雇用」が、アベノミクス以降の人出不足への対応で、企業が、雇用者の数は増やすが、既存の正規雇用の賃金の上昇を封じ込めること可能にした。(下図の橙色部分)
この状態は、もうしこし続くだろう。(下図の赤部分)
しかしその後は、「60歳未満の労働者予備軍」は払底に近づき、「60歳以上の再雇用」も65歳の退出者と60歳の参入者がイーブンになって費用低減効果は消える。
そうなれば、既存の正規雇用の賃金の上昇が始まることになる。(下図の青部分)
雇用者数は大幅に増加し、パートやバイトといった非正規雇用者の時間給は大幅に上昇している。しかし正社員の時間給の上昇は鈍い。
今後もそのままなのだろうか?
失われた20年間の低迷経済が蓄積した「60歳未満の労働者予備軍」と「安価な労働力として登場した60歳以上の再雇用」が、アベノミクス以降の人出不足への対応で、企業が、雇用者の数は増やすが、既存の正規雇用の賃金の上昇を封じ込めること可能にした。(下図の橙色部分)
この状態は、もうしこし続くだろう。(下図の赤部分)
しかしその後は、「60歳未満の労働者予備軍」は払底に近づき、「60歳以上の再雇用」も65歳の退出者と60歳の参入者がイーブンになって費用低減効果は消える。
そうなれば、既存の正規雇用の賃金の上昇が始まることになる。(下図の青部分)
12:円高デフレが経済が生んだブラック雇用に依存する安値産業
上記の、既存の正規雇用の賃金の上昇が始まる時に困難に直面するビジネスはかなり多い。
上記の、既存の正規雇用の賃金の上昇が始まる時に困難に直面するビジネスはかなり多い。
低賃金の非正規雇用が消えないのは、非正規レベル賃金(ブラック雇用)でなければ成立できないサービス業が多数存在するからだ。
特に、飲食業(利用者要因)と介護ビジネス(政治的な価格統制要因)に多い。
介護は、介護担当者の賃金を引き上げると介護保険料の値上が必要という政治問題なのでここでは触れない。
飲食業の場合は、
雇用者の賃金上昇 → 値上げ → 一部は「家飯」に撤退するが大半は利用せざるを得ないので値上げを受け入れる、という経済算数になる。
現状は、飲食業はライバルが多すぎるので、値上げを受け入れてもらう前に顧客が他店に流れて、値上げした店が倒産する事を恐れて値上げが抑制されている。
しかしブラック雇用が困難になるに従い、弱い飲食店から倒産し始める。
その結果、ライバルが適正水準まで減り、業界一斉の値上げが始まることになるだろう。
要は、過剰な店舗数、過当競争とブラック雇用は密接に関連しているのだ。
下は、8月24日の日経朝刊だが、すでに上昇が始まっているのかもしれない
飲食、小売をやっておりますが、まさに値上げすればいいのに怖いという状況が何十年も続いています。
返信削除提供するものに自信がないからだといわれれば耳が痛いです。
過当競争が終われば状況は激変すると思います。
削除お金はあるけど、欲しいものを提供する店がない、という事になるからです。
安けり、何でも良い、内容は問わないという消費者が多すぎます