2018年1月29日月曜日

最強の矢が去る_2

前回の補足、加筆をしました
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1:
大胆な金融政策 by 日銀
2:機動的な財政政策 by 政府
3:民間投資を喚起する成長戦略 by 政府
という3本の矢の中で、1:大胆な金融政策by日銀が最強の矢だった。
日経平均は、約3倍に上昇した。
円高も是正された。


2:機動的な財政政策は、税収不足と膨れ上がる年金&医療費という2重苦の制約があり、思うに任せられなかった。
アベノミクスの成功による日本経済の復活により税収は大幅に増加したが、それでも年金&医療に必要な経費の膨張はとどめようもない規模で膨らみ続けている。

3:民間投資を喚起する成長戦略は、規制緩和と表裏一体である。
しかし、規制と保護に慣れ切った日本経済は、自己責任でリスクテイクして未来を切り開く意欲を失い少しでも苦しければ政府援助に依存する体質が染みついてしまった。
そのために規制緩和の多くは掛け声は大きくとも実効性に乏しいまで今日に至っている。

2108年は、日銀依存の株式市場がLess Positiveフェイズになる
昨年後半以来、国債の買い入れ、株式のETF形式での買い入れ、Jリートの買い入れの金額は横バイ状態である。横ばいが続くとは、インパクトが低減する事を意味する。

日銀は、米国FRBが2015年から採用している超緩和からのゆっくりとした離脱(下図赤枠部分参照)をお手本にしているのだ。
それは
景気回復を妨害しないように配慮した金融政策の微調整だ。


米国FRBと同じような金融政策の微調整をしようと意図しているのが日銀であるが、規制と保護に慣れ切った日本経済と同様に株式市場も日銀依存の体質が染みついている。

国債の買い入れ、株式のETF形式での買い入れ、Jリートの買い入れのインパクトの低減は市場全体のvaluationPERPBR)に下方圧力となるだろう。
そういう認識が市場コンセンサスであるから、123日の金融政策決定会合の内容とその後の黒田総裁の記者会見は、言葉は優しいが内容は相場に対しては厳しいものと受け止められたのだ。

ジンワリ・ペースだが、大胆な金融政策by日銀事実上の撤収始まっているのだ。日経平均を、8000円から24000円と3倍に押し上げた原動力が表舞台から去るプロセスが始まったのだ。

この金融政策の微調整は経済の実態に即したものだ。上図にあるように、テイラー・ルールに示唆される「あるべき金融政策」は「ゆっくりした緩和の縮小」であり、決して緩和の拡大ではない

3:業績ほどには株価が上がらないフェイズ(PER低下)
20162017年の世界景気は大幅に改善した。


日本の株式市場に上場されている株式の多くは世界基準で見れば「循環株、景気敏感株、value株」であるが、それらが好影響を享受した背景が過去2年間の世界景気回復のモメンタム上昇だった。

ただ、これ以上の景気改善スピードを望むことは、景気の過熱、ブーム、バブルを望むことになるだろう。企業経営者や市場関係者のなかには、2006年~2008年に発生したバブル経済のような活況状態を望む人がいるかもしれないが、、仮にそれが再現したとしても、その後起こることは「維持不可能なバブルの崩壊」の繰り返しになることは歴史が示している。
アメリカと中国の景気回復による需要拡大の好影響で日本経済は回復し企業利益も大幅な伸びを見せているとは言え、
アベノミクスの最強の矢が消えるネガティブ・インパクトは消し去ることはできない。
現在進行中の日銀の金融政策の微調整の実体経済への影響が軽微であったとしても、株式市場への影響は期待の剥落という意味で無視できるような軽微なレベルではないと思う。
日銀の株式ETFの買い入れによって日本株のPERは経済の実態以上に上昇している。その
実態以上部分の修正は「業績は上昇しているのに、PERが微妙に縮小しているので、株価がそれほどには上がらない」という状況を引き起こす可能性がある。特に「循環株、景気敏感株、value株」に関しては成長株よりもその可能性が高いだろう。

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