2016年2月27日土曜日

2016年1-2月の相場下落_3:第三部:中国の現状と将来

(1)非製造業が主役になった中国
多くの人が経済の崩壊を懸念する中国だが、現在の中国経済を支えるのは
昔の世界の工場というイメージのような製造業ではない

下図の上段に示されたように、既にサービス産業・非製造業が経済の最大要素になっている。
しかも、図の下段に示されたように、DGP成長全体は6-7%程度で製造業はマイナス成長に陥っているが、サービス産業・非製造業は約10%の成長が続いている。

 

上海証券取引所の上場企業は、資源エネルギー重厚長大産業と金融セクターに偏っており、最新の中国経済の姿を反映していない。


(2)移行期の苦難を背負った習近平
習近平政権の10年間は、移行期の10年間だ。
経済成長という点で見れば、
胡錦濤政権時代(2003-2013年)は、バブル要因を除けば、7-8%という高成長時代
習近平政権時代(2013-2023年)は、7%→4%という中成長に向かう経済構造の転換期
そして次のリーダーと目される胡春華の時代(2023-2033年)は、3-5%の安定成長の時代となり、この時代が日本の昭和50年代のような最良の時代となると推定している。

 

習近平は時代背景もあるが、辛い役割を担当する運命を背負った中国のリーダーだと言うことになる。
何故、辛いか?
経済の構造改革をやらねばならない。それは国営企業改革を意味するからだ。

中国において、国営企業改革とは「政治闘争を意味する
国営企業、地方銀行、地方政府、そのすべてに共産党組織が存在する。
共産党員の関心は党内出世だ。
改革されるという事は、失敗の烙印を押され、その後の出世が遅れることを意味する。

重厚長大産業の国営企業を担当する共産党員は好き好んでその企業を担当しているわけではない。多くの共産党員は自分が担当する数年間だけは逆風環境であっても「無難に、事なかれ」で過ごして、新任地に向かいたいと願っている。

そういう党内の政治的な抵抗は非常に強力である。日本の小泉&竹中コンビの時代の「抵抗勢力」よりも何倍も強力であり、現在言われる岩盤規制のような存在だ。


それを押して改革を進めようとする習近平だが、彼は過去の誰よりも実行していると現状では評価できる。