2013年8月31日土曜日

バブルは、あなたの心に生まれる

経済に周期的な変動があるように、株式市場も周期的に変動する。

株価が大幅に上昇し、PERなどの指標で見て非常に割高なレベルが長期間継続すると、その後大幅な下落に見舞われる。
下落後に、あれはバブルだったと言われる。
株価の暴落は、経済を苦境に陥れる。

バブルとは何だ? 
何故、発生するのか?

株価は、企業利益の現在水準、将来の方向性と安定度で決まる。
また、他企業との相対関係も重要だ。他社と比較して、『A社がこの値段なら、B社はこの程度だ』という相互比較が機能し、複数銘柄の株価がバランスする。

複数銘柄間の裁定機能が働けば、個々の株価は一定の範囲内に留まり、突飛な下落や上昇が抑制される。企業Aの株価が適正株価レンジをハズレたら、その他企業B、C、Dとの裁定売買が発生し、短期間でもとのレンジに戻る。

しかし非常に希に、適正範囲を超えて上昇しても、裁定が働くどころか、その他の企業の株価も引きずられて上がる事がある。
その現象がほぼすべてのセクターに広がり、多くの株のPERが過去のレンジを上に突き抜けてしまう。この状態が数か月で終わらずに、年単位で続くと、これがバブルだ。

バブルは人間の心から生まれる。
景気が良くて、しかも近隣諸国よりも、自国の状態が『うらやましがられる』ような時にバブルは発生する。
80年代後半、日本や海外で日本を賞賛する本が多く出版された。景気が良くて、しかも近隣諸国よりも、自国の状態が『うらやましがられる』ようなこの国の株価は、近隣諸国よりも高くても当然であると考えてしまう。
これは思い上がり、自己過大評価だ。あなたの心に生まれたバブルの芽だ。

自己過大評価がドンドン上昇し、連動して株価も上昇すると、投資家全体の気持ちが良くなる。
この喜びは優越感だ。最初は、いつかは終わるという不安と同居するが、時間の経過とともに、この状態は当然だと思うようになり、最後は「ずーっと、続いてほしい」と思うようになる。

気持ちが良い時代には、株や不動産で儲かったという話がメディアに溢れる。
自分の回りでも儲かったと言う人が散見され始めると、欲望や嫉妬が心に同居する。
特別な才能など持たない同僚が儲かったと知ると、いてもたってもいられない。

1:彼彼女に金儲けができるのなら、自分にもできる。
2:自分より馬鹿な連中は、もっと値上がりした割り高な株価でも買ってくれる。
3:だから自分は損をせずに売り抜けられる。

この思考パターンを「より馬鹿理論」と言う。
人類数千年の歴史で絶えることなく繰り返してきた。
より馬鹿理論はおかしい。後々子供たちの時代には笑われるハメになる。

困ったことに、バブルの初期は「より馬鹿派の勝ち」だ。
思い上がり、自己過大評価のグループに加わる人がジワジワと増加し、株価を押し上げ続ける。
現状を正当化する「特別な理論」が登場し、更なる投機へとお金を吸い寄せる。
思い上がり、自己過大評価の程度が、ドンドン上昇する。
そしてバブルが完成する。

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