2013年8月24日土曜日

逆張りと中間点

逆張りとは、将来多数派になるモノに、それが少数派に留まっている時に参加して、十分に多数派になったら離脱することだ。
将来多数派になるモノとは、時には「薔薇色の将来」であり、また別の場合は「困窮する未来」かもしれない。

理想的な投資家は、逆張りが上手であると言われる。
正確に言えば、彼らは鍛え抜かれた判断力を習得したのであり、順張りも逆張りも、信用の買いもカラ売りも上手だが、今日は逆張りに関して記述する。

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みんなが“嫌いだ!、いやだ!、もうダメだ!”、という時に、静かに買い、みんなが“これを買わなきゃ、何を買う!”的にワーワー言っている時に、人知れず売る。

多くの投資家は、そのような冷静な心理状態になれず、株価が上昇すれば嬉しくなって根拠なき自信が倍増して強気になる。値段が下がると全てに自信を無くし、心配だらけになって弱気に陥る。
今が、その株の栄枯盛衰のどこに位置しているか、そのような考察・判断など考慮せずに足元の上下動で回りが見えなくなる。

株価の上下動、栄枯盛衰の中の、どんなフェイズで強気になったり、弱気になったりするのか?
投資家心理の変化する中間地点は、株式投資では「時間や株価の真ん中」ではない。

一般的な投資家は、相当値段が上がって、相当時間が経過しないと、納得しない。
行動を起こすのは、値段の上下動の真中よりも上のレベルだし、経過時間という観点でもかなり後半だ。
そのフェイズに至らないと、自分の行動を心理的に正当化できない。
これまで弱気で相場に参加できなかった自分の判断ミスを素直に認めて反省し、強気に変化させることができない。
人間の弱さから来る自然の摂理である。

そんな心理的なプロセス(葛藤と呼ばれる)の後に、投資家の心理は、弱気から強気に変わる。
残された弱気投資家は、「自分が少数派になる」恐怖感から、徐々に、そして最後は雪崩を打って強気派に転向する。ただし、そこには熟考は無い。群れの行動心理に支配されているのだ。
それを裏付けるように、株価の動きは、そのフェイズを起点に上昇が加速する。

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下落の場合は、上昇よりも複雑だ。
買いの場合の弱気とは、「相場に参加していない」だけであって、財産が減ったわけではない。
しかし下落の場合は、株の保有者の財産は日に日に目減りする。
上昇フェイズよりも、投資家の冷静さは低く、恐怖に支配されやすい。
心の葛藤も、上昇フェイズより大きい。

ちょっとでも株価が下がると“普通の人間は心配性である。”という法則が市場を支配する。
一気に買いの手が引っ込む。
一部の人のわずかな売り注文で大きく株価は下落する。
早く売りたくても、買いの手が引っ込んでいるので、思った値段では売れない。

そうなると不思議なことに、『株を持っている自分を正当化する心理状態(根拠なき自信)』が頭をもたげる。
“今よりも株価が高くなる時がしばらくしたらきっと来るハズだ。”と勝手に思い始める。

この“元来心配性”という事と、“根拠なき自信”が、行動(=売り)を妨害する状態(金縛り状態)を発生させる。
だから、株価下落の初期に売らない。
普通にみられる人間の心理と行動だ。

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こんな失敗を戒めるために、『買いはユックリ、売りは脱兎のごとく』という格言ができたのだろう。

なお、上記は、個別株に関する話である。
インデックスには別のファクターも加わるので、違ってくる。

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