2020年1月4日土曜日

弱すぎるサウジ

スンニ派の親分=サウジという状態は最近のことだ。
少し前まではエジプトだったが、2010年のアラブの春、エジプト革命でムバラクの強権政権が崩壊し、その後の政治と経済の混乱&弱体化で盟主の地位を名実ともにサウジに譲ってしまった。
その辺の経緯はブログ(宗教の呪縛から抜け出せないムスリムたちの国々)に書いているのでお読みいただきたい。

また中東の警察官の地位は、第二次世界大戦までは英国だった。
覇権の行使は経済的に大幅な持ちだし(=財政負担)であるが、第一次&第二次の世界大戦で疲弊し、植民地も失った英国にはその負担が不可能になってしまった。
そして、第二次世界大戦後にその警察官の地位をひきついだのが米国だった。

その米国もベトナム戦争、イラク戦争、アフガン戦争という長期の巨額の財政負担を経て、負担の縮小フェイズに移行せざるを得なくなった。
その縮小が正式に決定されたのが、ブッシュ政権時の2006年1月の一般教書演説だった。


上記は、「7:アメリカの中東政策の推移は?」より抜粋コピペ

その後の推移を見れば
1:米国内のシェール・ガス&オイルの開発により、米国は2019年にエネルギー資源の輸出国になっており、中東オイル依存を脱却した。
2:イラクをイランの傀儡政権国家にしない(=シーア派とスンニ派の緩衝地帯にする)ための軍事的な活動をシリアとイラクで実施してきた。
その最新行動が2020年1月3日のソレイマニ司令官の殺害だが、これも「緩衝国家イラク」の維持の一連の流れとして続いている。

その過程で露呈した難点は「弱すぎるサウジ」という現実だった。
金持ち国家だが、戦争を遂行する実力を持たない国家、米軍がいなければ金持ちは全員が国外に脱出し、サウジは無秩序の混乱に陥ると推定される状況なのだ。
全く働かない王族が約2万人もいて財政負担は大きい。しかも人口の増加により原油収入を庶民にバラまいて王族の支配を正当化する毎年の財政負担も、200ドルを超えると想定された原油価格の反落の過去10年によって怪しくなってしまった。



そんな状況の中で、オバマ政権、トランプ政権が必要最小限の軍事的な活動をシリアとイラクで実施してきた。
それが2019年、2020年も続いているのだが、それは次回に・・・・

1 件のコメント:

  1. イランをイラクの傀儡政権国家にしないは逆になってますね

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