(1)原発事故と円安が二年間のインフレを起こした
1999年以降、日本ではインフレが消えて久しい。
下図に示されたように、日本では世界でも稀にみるデフレが続いたが、震災後の原発停止に起因する高価格の化石燃料の大量輸入が引き起こした電気ガス料金の値上げと、アベノミクスによる円安政策に起因する輸入物価の上昇よって、2013年、2014年とインフレが生じた。
しかし、2015年5月の浜田内閣委顧問と黒田日銀総裁の円安牽制発言を契機に、7-9月期以降は円高トレントに反転し、同時に始まった原油価格の急落が、国内の物価の押し下げを引き起こし、2015年の消費者物価指数は、+0.2%に留まった。
年明け以降は、円高と中国景気の低迷継続を受けて、大企業輸出セクターの業績下方修正が相次ぎ、雰囲気を悪化させている。
そのようなメディア報道や日本株の大幅な下落を受けて、個人消費も引っ込みがちになり、デフレ・マインドに戻りそうな気配が生まれている。
そのようなメディア報道や日本株の大幅な下落を受けて、個人消費も引っ込みがちになり、デフレ・マインドに戻りそうな気配が生まれている。
(2)何故、インフレが起こるか
景気が回復し一定の時間が経過すると、景気が徐々に過熱するので、インフレが起こると言われてきた。
インフレが生じるプロセスは、下図に示したように、人(従業員)、物(製品サービスを作るための資材)、金(ビジネス拡大に必要な資金)を増加させる競争、つまり「人、物、金の取り合い」が起こり、その結果として人・物・金の価格(賃金、資材価格、金利)が上昇するのだ。
その背景は、「今後もビジネス環境はOKだ!」と強気の判断をする企業経営者が増えるからだ。そして、その傾向は景気サイクルの後半になると顕著になる。
最初の景気回復から1-2年目は「もう、これ以上の回復は無理だ」と懐疑的な人でも、回復が3年も続くと「このトレンドは強い」と感じる人が増えるのが一般的だ。