2022年7月8日金曜日

日本とアメリカは、同じ土俵で為替を議論ができない

前々回:「貿易サービス収支が赤字でも、経常収支が黒字ならOK」ではダメなんです、何故なら・・・・

前回: 為替が下落した、、、それだけでは悪くありません


貿易サービス収支の赤字、財政収支の赤字、為替レートの劣化に関して、日本とアメリカは同じ土俵では比較&議論ができない。

それは、アメリカは覇権国家であり、日本は従属国家である、という国家の経済運営の条件(=使える道具)が異なるからだ。


覇権国家の特徴は、軍事とか経済で他国を圧倒するパワーを持っており、それを使って他国を指導・恫喝できることだ。

経済面の圧倒的パワーの源泉は、

1:経済規模が圧倒的に大きいこと

2:多数&他分野にわたる先進技術を保持していること

3:国際貿易決済に関する手段やルールに関してデファクトを保持していること

などだが、現代経済社会の置いては、3:国際貿易決済に関するデファクト手段の保持が格段に重要だ


クレジットカードの決済、国をまたいだ銀行間の資金移動の仕組み&ルール、株式や債券の売買ルールなどを考えれば、その多くがアメリカに右に倣えが多いことを認識するだろう。そして、これらの仕組み&ルールはアメリカを害さないように決められており、他国はアメリカ以上の手間暇がかかることが多い。


さらには、国際間の貿易決済に使われるモノは、「USドル」だ。売り手はUSドルを受け取るように事実上強制される。

買い手は、輸入品の代金支払いに際して、自国通貨で支払う事が出来ず、手持ちのUSドルを使わざるを得ない。

手持ちがない場合は、自国通貨をUSドルに交換してUSドルを入手するか、他人からUSドルを貸してもらって、輸入品の支払いをすることになる。


USドルはアメリカ政府が発行しているが、アメリカ政府は極端に言えば「印刷するだけで(=対価を支払わずに)USドルを作り出せる」という特別な地位にある。

アメリカ以外の国は、お金を払ってUSドルを入手しなければならない。

この「覇権国は貿易決済に使うお金を印刷できるが、他国は対価を払って入手しなければならない」という点にこそ、覇権国家の優位性がある。


なお、覇権国の金融パワーに関しては、次の覇権国を狙っている中国ですら苦渋をなめている状況だ。
ルール違反をして米国市場の上場を廃止されようとしているが、何としてでも、嘘をついてでも米国市場にしがみつこうとしている

下記は、2022月7月9日のBloomberg記事


それほどアメリカの金融市場から追い出される不利益を認識している中国なのだ


続く

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