2022年7月11日月曜日

覇権国は貿易赤字構造になる

  1:「貿易サービス収支が赤字でも、経常収支が黒字ならOK」ではダメなんです、何故なら・・・・

2: 為替が下落した、、、それだけでは悪くありません

3: 日本とアメリカは、同じ土俵で為替を議論ができない

4:覇権の推移を復習してから、為替に戻ろう


パクス・ブリタニカ時代の英国、パクス・アメリカーナのアメリカ、双方に共通することは「覇権を維持することは、経済的な負担(=貿易赤字)を甘受すること」という苦しい実態だ


パクス・ブリタニカ時代の英国は貿易赤字に悩まされ続けた。特に対中貿易(=当時は清国)で英国は清に売却する(=清が購入したい)商品が無く巨額の貿易赤字が問題になっていた。そこでインドで生産したアヘンを清に売却して貿易赤字を解消しようとしたことは有名な話だ


パクス・アメリカーナのアメリカも、覇権国家になって約20年後の1970年代後半からは恒常的に貿易赤字が続いているが、その背景はアメリカの配下の国の商品をアメリカ市場に受け入れて(=アメリカが輸入)いるからだ。


覇権国家は覇権を押し付けることができない。覇権される側がそれを容認するメリット(=その多くは経済的なメリット)を感じなければ覇権を長期間行使できないというのが歴史の教えだ。

つまり覇権とは一定程度は持ちつ持たれつであり、しかも覇権国の持ち出し(特に経済的な持ち出し)が多いと言うのが過去の歴史の教えだ。


原油を買うにも、ゴールドを買うにも、鉄鉱石、小麦、を買うにも、価格はドル建てが基本であり、USドルを持っていなければ輸入ができないし、輸出側はUSドルを受け取ることになる。


特に、アメリカの貿易赤字は第二次世界大戦後の世界経済の基本的な枠組みを構成する基本ファクターでありつづけている。換言すれば、パクス・アメリカーナは貿易赤字によって世界に供給される(=垂れ流される)USドルによって、世界経済が成長を続けるという仕組みになっているのだ。


第二次世界大戦後の世界経済は欧州とアジアの生産設備は戦争で破壊され、アメリカの生産能力だけが維持された世界として出発した。

欧州とアジアは戦後復興(特にインフラ復興)のために大量の資材を必要としたが、それらはアメリカから輸入するしかなかった

しかも、輸入代金を支払いたくても手持ちのUSドルは無かった


当初は、アメリカは欧州やアジアに対して資材を無償で提供したり、USドルを貸し付けたりしていたが、それでは欧州とアジアの経済が持続的に成長することは困難だった。

結局、アメリカが欧州やアジアの製品を大量に購入して、その代金として(=貿易赤字として)USドルを世界に供給することで、欧州とアジアの国々が必要な物資(多くは生産に必要な資材)をアメリカから購入することができるようになり、持続的な経済復興が可能になったのだ。

それが、「世界経済の持続的な成長にアメリカンの貿易赤字によって世界にバラまかれるUSドルが必要だ」という意味だ

なお、中国の次の覇権国になれるのか、に関しては・・・覇権国家は覇権を押し付けることができない。覇権される側がそれを容認するメリット(=その多くは経済的なメリット)を感じなければ覇権を長期間行使できないというのが歴史の教えだ。・・・という条件を満たせるか、がポイントだろう

続く

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