2018年9月24日月曜日

読書メモ:皇帝フリードリッヒ二世の生涯


2014年11月3日
古代ローマとルネサンスの間に横たわる1000年間=中世
中世は、「ムスリム国家 > キリスト教国家」という時代
ゆえに(何故か)日本では歴史教育でも軽視される
特に新生ローマ帝国のことは、社会科でもほとんど教えてもらえない

2014年11月8日
夢を共有する
徹底的に信頼し、徹底的に任せる

2014年11月10日
剣は、抜かなければ効力はない、というものではない。
差してるだけでも、効力は十分に見込める。
これを現代では抑止力と言う。

2014年12月20日
耕作地から収穫される12分の一は税金と決められたが、新規の耕作地を開拓する際は、新耕作地に関しては、10年間は免罪された。
春山感想:起業後10年間は無税という「起業促進」政策だ。起業=雇用を生む(税収を生む)から、免税・減税はあっても良いだろう。

2014年12月21日
皇帝や王が他の人と異なるのは、地位では無く、より遠くを見透す能力と、より適切に対処する判断力である。

2014年12月21日
リーダーに必要な資質は、
1.力量
2.運
3.時代の要求に答える才能
と、マキャベリは言う

2014年12月24日
外交とは軍事を使わない戦闘だが、それが成功するのは「交渉相手が価値観を共有する」場合に限られる。
春山感想:宗教や民族が絡んだ紛争の背景には「価値観の相違」があるために、会議や交渉では解決できないのだ。

2014年12月24日
古代ローマの人口は、約200万人
中世ローマは、3万人
中世最大の都市パリは、12万人、2位がミラノで9万人弱
古代欧州は、ローマの中央集権統一国家
中世欧州は、地方分権の群雄割拠
古代ローマには、13本の水道
中世ローマでは、1本で事足りた

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2014年12月20日 
秩序ある平和な国家を維持するためには「法治」だけでは片手落ちだ。
発展する経済が重要だ。
空腹に耐えられなくなれば、庶民は容易に暴徒化するものだ。
肉体的な暴徒だけでなく、思想的にも暴徒化する。

2014年12月20日
法治国家の実現を目指してメルフィ憲章作成に着手していたフリードリッヒには、キリスト教会を排斥する考えはなく、責任分担を明確にした上での共生だった。
しかし、それでは中世ではなくなる。キリスト教会が精神面だけでなく、日々の生活も律する(立法も行政も裁判もする)のが神の意志の実現であると信じて疑わなかったのが中世キリスト教会だった。
自分の考え方だけが正しいと信じている人に、別の新しい道を示すのは、中世に限らず、いつの世でも難事である。
春山感想:現在のムスリム国家のいくつかは、まさにキリスト教におくれること800年の中世イスラム教会という状況から抜け出していないと思われる。

2014年12月21日
平和とは、関係者全員が一堂に会して胸襟を開いて話し合えば実現できるものでは無い。
平和が実現するのは、「平和」の前に「平定」がなされた場合だ。関係者の一人が、他の全員に対して、軍事的にしろ他の何にしろ、圧倒的に優位に立った時だ。
恒久的な平和は、平定と言う段階を経た後で、初めて手を付けることができる。
春山感想:
平和とは秩序、秩序とは価値観
価値観は多様である。
それゆえ、関係者の一人の価値観が、他の全員の価値観に対して圧倒的に優位に立った時にのみ、平和が達成できる。

2014年12月24日 
常設軍事力の概念は古代ローマにはあったが、中世では消滅していた。
中世の戦争とは、王や諸侯に臣従の近いを立てた少数の騎士を除けば、兵士は必要な時にカネを払って集める(=傭兵)ものとされた。
この考えが決定的に変わるのはナポレオンの登場を待たねばならなかった。

2014年12月25日
最も成功する女の操縦法とは、隠さない、捨てない、不可能なことはできないが可能なことならばすべてやる、という普通のフェア・プレイしかないのだ。
ある人は、これを「正直」という言葉で表現している。「正直」に振舞われては、恨んだり怒ったりすることはできないではないか。
カエサルも、あちこちで愛人を造りながら、その誰からも恨まれなかったという、稀有な才能の持ち主だった。
カエサルも、相手が男の場合と違って、相手が女だと、常に正直に振舞った男だった。
女は月並みの男たちが考える程には、バカにできていないのだ。

2014年12月25日 
女にとって対処しやすいのは、何をやりたいかワカラナイで迷っている男よりも、彼がやりたい事がハッキリしている男の方だ。

2014年12月25日
11人もの女から、7人の男子と8人の女子を得たフリードリッヒだが、11人の誰一人も問題を起こさなかった。
ローマ法王に訴えたり、敵方の誰かと通じたり、息子を説き伏せて反父親の蜂起をさせたり、何も起こらなかった。
フリードリッヒは生涯を通じて、正妻も愛人も、隠さなかった。誰もが彼女らの存在を知っていたから、周知の事実では問題にするまでもなくなるから、スキャンダルにならなかった。

2014年12月29日
欧州の下水道のレベルや技術が、古代ローマ時代の水準を回復するのは、中世では起こらなかった。
古代ローマの技術は、イスラム世界に伝承され、それが1200年代になってイスラム経由で輸入される。

2014年12月29日
経済に限らず政治でも外交でも、永続を重視すれば現実的にならざるを得ない。
それには何よりも、正確な数字と、全体を把握するに必要な広い視野が求められる。

2014年12月29日
古代ローマ時代には存在したが、中世になって消えたもの
1:「市民」の概念
2:「法」の概念
どちらも実践的、実利的、フェア、合理的、という世界の産物
しかし、中世では、キリスト教という一神教が、人間の実生活に不都合、非合理な事を、「神の意思」、「不都合、非合理は、そう思うお前の神を信じる心が少ない証拠」と主張し、理不尽を押し付け、非聖職者がそれに反抗できなくなったからだ。

2014年12月31日
中世は、文字、文章が、非簡潔&非明快になった時代だ。
共通語であった古いラテン語による非簡潔&非明快な言い回しを解釈するスキルは聖職者など一部のものであった。
聖職者には都合が良かった。
彼らには、キリスト教を理解されるよりは信じてもらうほうが利益になり、都合が良かったのだ。
簡潔&明快な言葉で説明し理解してもらう、、これでは様々な矛盾を指摘されるので、困るのだった。

2015年1月2日 
人間が不安の虜になるのは、現に持っているものを失った時ではない。
いずれ失うのではないか、と思い始めた時である。(byマキャベリ)

2015年1月6日
聖職者とは、俗人以上に執念深いものだ。
春山の感想:さもなくば、あのような常識では信じられないような話を他人にしつこく話して、改宗などさせられない。また武器を持たないがゆえ、執念で対抗するしかないのだ。

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