2015年10月19日月曜日

2016年を考える (2)為替

日本株の動向は、為替レートに左右される度合いが高い。

2011年3.11の震災以降、原発が停止したことから、価格が高止まりしていた原油や天然ガスを大量に輸入することになり、貿易収支が急速に悪化した。

2011年末までは、民主党政権の円高デフレ政策によりドル円は無反応だったが、貿易収支の急速な悪化を反映して極端な円高が修正され始めた。

2012年11月以降はアベノミクスの円安政策を織り込む形で、急速な円安が進展した。

2015年に入ってからは、前年10月以降に急落が始まった原油価格を受けて、貿易収支の改善が始まり、5月には安倍首相の経済ブレーンの浜田氏と黒田日銀総裁の両氏から過度の円安を牽制する発言が出て、8月からは円安が止まった形になっている。



現状は、原油価格は低位で安定し、貿易収支の赤字は消え外人観光客の急増や対外投資の収益の増加も相まって、日本の対外収支は「外貨の受け取りが増加」する局面になっている。

単純な図式化すれば下記のような構図になる。

2016年に関しては、

1:イランの原油の増産による価格下落圧力はあるものの、米国のシェールによる価格低下圧力はピークアウトしており、原油価格はボックス圏で上下動すると思われる。

過去に原油価格が急落した1985年の後の価格動向(下図)と似たような動きを想定している。




2:貿易収支に関しては、原油やガス価格の急騰がない限り、赤字の拡大は無いだろうし、一方徐々に増えてくる原発の再稼働もエネルギー要因の貿易赤字を縮小させる。

3:外国人観光客の増加は2016年も継続すると思われるので、これに起因する「外貨の受け取り」は、さらに増えるだろ。

1、2、3を考慮すれば、日本側の要因としては、円安要因は消えてしまった状態が継続することになる。

以上から推定されることは、130円という円安トレンドではなく、115円から120円のボックス、あるいは110円程度までの円高を想定しておいた方がよさそうだ。


===追記===
円高デフレを少々容認する安倍首相
円安にして大儲けさせてやったのに、設備投資や賃上げで吐き出さずに、内部留保に溜め込むだけの輸出製造業に業を煮やした安倍首相
デフレ脱却は良いけど、物価が上がるのは拒否する。中国が尖閣に来るのは防いで欲しいけど、安保は嫌。
そういう女性が安倍非指示に回ったのを取り戻したい。
ならば、多少円高に戻して、内需産業に恩恵を与えながら、物価を抑制した方が、選挙には有利だ。
そういう判断は政治的に正しい


facebookコメントヘ