2022年5月6日金曜日

政経一致の時代は長期化するので、グローバル化の後退も長期化する

1~2月のセミナーで話したことを、サプライチェーンと言う観点から、企業への影響を考えます。


今は政経一致の時代です。

政経一致とは、政治的な価値観、宗教的価値観、民族的価値観が、経済的な損得よりも上位概念だと言う事です。



トランプが、政経一致の扉を開けました。彼は「America First !」という言葉を使って、それまでの「グローバリズム」の時代を終わらせました。
グローバリズムとは、政治家が色々主張するけど、お金がないと何もできないのだから、経済的な価値判断の方が政治的な価値判断よりも優先する、という考え方でした。


アメリカが政経一致へと宗旨替えした後も、中国は「我こそは自由貿易の守護神だ」という態度でグローバリズムを標榜していましたが、2020年10月24日にJack Maが共産党批判をした事を契機に政経一致の仲間入りしました。



米中は、今後しばらくは政経一致の時代が続くでしょう。
しばらくとは、1~2年ではなく、10年ほど、つまり2020年代は政経一致の時代だろうと春山は判断しています。
春山がそう考えている理由ですが、・・・・
経済問題は数字の話ですから妥協点を見出すことが可能です。しかし、政治・宗教・民族に関しては感情の問題なので数字上の妥協点とは別世界、つまり「民主主義は絶対に守るべきもの、領土は1㎡たりとも渡さない、我が神が唯一最上だ」などと、一切の妥協も許されないという性格を持っているからです。
~~~~~~~

政経一致の2022年を新冷戦時代と呼ぶとすれば、その特徴は、相手信じない相互不信の時代です。
相手に依存せず、自前を増やす状況が進みます。20世紀の冷戦時代と同様に、東西陣営が重複投資をする時代になるのです。


グローバル時代は、世界中で最も最適(最安価)な場所で資金を調達し、最適(最低コスト)な場所で製造し、それを世界中に販売する、という低コスト大量均一生産へと突き進みました。

しかし、相互不信の時代ではそうはいきません。政経一致の時代は、様々なモノとサービスの原価が上昇し、小売り価格も高くなるのです。



製造販売業者も苦しくなります。各地域、各国で様々な規格や仕様が乱立するので、(1980年代までは、それが当然でした)、低コスト大量均一生産ではなく高コスト少量多種生産になるからです。これまでの考え方ではペイしない状況に直面するのです。

現在、熊本県で計画が進んでいる半導体工場も純粋の民間ベースでは採算が取れないと言われており、政府の半額補助となっています。



 1990年代以降、グローバル化を推進し、それに最適化してきた企業は反対方向に進むことが困難です。コストが上昇し、利益が減少する、そんな事をするインセンティブが見えないからです。


多くの企業は、「今の反グローバルの動きは1~2年の短期の動きだから、何もせずに堪えていれば、再び明るい未来が来る」と思って、思考停止状態だと思います。


春山は、ロシア・ウクライナ戦争は10年程度のイザコザだと判断しているので、その間はグローバル化の恩恵を受けた企業ほど、特にサプライチェーンを世界中に分散した製造業ほど、困窮が続くと考えています。


2020年代と言うのは、その辺を避けて上手に立ち回る、もしくは安全運転に徹する、そういう10年間だと思っています

20世紀の冷戦の時代でも、株価は上昇していたのですから

また、重複投資の時代では製造設備が増強されるので、その分野で恩恵を受ける企業もあります。

0 件のコメント:

コメントを投稿