2017年1月31日火曜日

2017年見通し : トランプ時代の株式市場


(1)大統領サイクル
下表は、1945年以降の大統領と株価(SP500指数)の関係だ。
「大統領サイクル」と言われる株式市場の統計だが、オバマ大統領の8年間は平均+12%超という良好な上昇率を記録した。

株式投資という観点からは、オバマは優秀な大統領だったことになる。

 

トランプ大統領は共和党の大統領だ。
統計的には、共和党大統領の一年目は冴えない。
「過去は過去、現在は別」かもしれないが、一応は用心したい。


(2)トランプ時代
トランプ大統領時代の特徴を列挙すれば・・・・

政治経済の先行きに対する「思惑」が不安定
トランプ大統領の発言内容はコロコロ変わる。
投資家は発言に一喜一憂する状況から脱することができない。
そんな投資家の右往左往状態が定常化する

不安定、先行きの不透明感、これらは株式市場が最も嫌う事だ。
株式の
valuationPERなど)に対して下方圧力を受け続けることになる。
株価の上昇率はEPSの増加分に限定され、バブルとは程遠い株式市場動向になる。

大山鳴動鼠一匹
トランプ大統領はメディア効果を狙って様々な大言壮語を連発する。
しかし、制度や仕組みを変えるには律法措置が必要なものが多く、大言壮語の一部しか実現しないだろう。
しかも時間を要する立法化の後、それが現実に効果を生むとしても、早くても2018年からになる。

口ほどは大きくない現実経済への影響」という現実を投資家は徐々に認識することになる。                                               


(3)経済状況
足元の景気や1月に発表されている企業決算状況は、トランプ大統領以前の政治経済環境の下での結果であり、トランプ効果を示すデータではない

現在の経済状況は、・・・・

米国経済は巡航速度での改善が進んでいる

(あ)労働市場は大幅な改善が進んだ状態にある
もっとも景気を良く表す体温計と言われる「新規失業者申請件数」は歴史的に見ても非常に低いレベルにある。
過去に倣えば、金融の引き締めが必須のフェイズに該当する。


(い)住宅価格も順調な推移を見せている
ケース・シラー住宅価格指数は程よい回復過程にある

 


米国経済の順調な推移(=正常化)に合わせ、金利の正常化が進展中
 短期金利は、FRBの金利引き上げ観測を反映してジリジリと上昇している


とはいえ、金利の絶対水準は非常に低いままであり、景気を腰折れされるレベルには程遠い


一方、世界全体を俯瞰すれば・・・・・・
「好調な米国と、長期的な成長率低下の中国」という組み合わせは「ぬるま湯程度の世界経済」という状態を生み出す

2000年代中盤のバブル景気からすれば、物足りない状態が続くだろう。



(4)株式市場
株式市場は、「トランプ=景気好転」という良い所取りで、トランプ勝利以降世界の株式は大幅に上昇した。

 

ドル円為替も大幅な円安となった


これらの株価の上昇やドル高に関しては、「アンチ企業」的だったオバマの政策が終了するという「Less Negative Factor」によるもので、経済算数的には妥当である。

就任式が終わり、投資家は先取りしたユーフォリアから、徐々に現実への頭の切り替えという状況に直面する。
冷静になる投資家は
市場を追いかけて買いあがることには躊躇するだろう。

2017年は楽観と悲観が振り子のように動くだろう
2回程度は、良いエントリー・チャンスとなるような調整局面が来るだろう。
それを上手に生かしたいと考えている。

 

ただし、米国株式を取り巻く投資環境は好転した・

1:金融が元気に活動する国=経済がOKな国
2:金融に制限を加え、金融が萎縮している国=経済に問題がある国
というのが大局的な構図だ。

米国は、オバマ時代は2であったが、トランプ時代は、1に移行する

米国株投資は儲かりやすい環境に移行するだろう

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