2017年9月20日水曜日

PER&PBRに関連する周辺的なこと、でも重要なこと

ニュースを見て「売りたい、買いたい」と思う理由
メディアに流れる情報を見たり読んだりした時に、「おー、これは買いだ!」とか、「えーだめじゃん、これ売りだ~」などと気持ちが一喜一憂する。
ニュース気持ちの間にあるものは、株価形成要因の変化
例えば、A社が伸び盛りの分野に新製品を投入する、そんなニュースを読んだ時に「おー、これは買いだ!」と思うのは、新製品の売り上げ増加が寄与して予想EPSが上方修正されて株価が上昇するハズだと心の中で判断したのだ。

一方、経営者の不用意な発言や従業員の不祥事が報道された時に「えーだめじゃん、これ売りだ~」と思うのは、その会社に対する信頼性が棄損することによりPERが低下して株価が下落するだろうと心の中で判断したのだ。

大量に流れるニュースに反応して株価がピクピク反応するのは、意図するか意図しないかに関わらず、投資家が予想EPSとPERの変化を察知して売買行動を起こした結果なのだ。

売買は影響力
1億株の発行済み株式数の大企業で
株主数が10万人という膨大な数を要している企業の株価であっても、たった一人が売ることによって株価が1%下がれば、他の9万9999人の財産価値も下がる
または、「1株だけ」買いたい新参者に、一人の株主が1%高く売れば、他の9999万9999株の財産価値も上がる

売買は価格変化という影響力を発生させる
たった一人、たった1株であっても、価格変化という影響力は全員に適応される


儲け(=利益)を観察するのが株式投資の王道
儲かっているか否か
儲かっている=利益が増えている
利益が株式投資に於ける最重要観察項目
だから、利益に関する指標であるPERが投資に重要なのだ

儲かっている時は付随現象として、売り上げが増える、稼働率が上がる、投資が増える、コストが下がるなどもあるが、あくまでも付随現象である。

これから儲かる、赤字が黒字転換する
これから儲けが増える、利益の増大
これから儲けが減る、利益の縮小
これを見極めれるのが、株式投資の王道

(1)儲かっている時は、売り上げが増えますか?
普通はそうである。
しかし、ライバルとの競争が熾烈で「値下してでもシェアを維持する」状況になれば、コスト割れの赤字販売に陥る場合もある。利益は急減し、ひどい場合は赤字決算になる。

だから、売り上げを株式投資の判断材料にするにしても、あくまでも付随的な位置づけになるのだ。

(2)儲かっている時は、稼働率があがりますか?
普通はそうである。
工場でモノづくりをするような産業は、その工場の最大生産量を生産する「フル・キャパ」状態ではない。
顧客からの注文増加や新規顧客の獲得に備えて、余力を残して生産している(=稼働率は100%では無い)のが一般的だ。
だから、顧客からの注文が増えると「同じ工場、同じ設備、同じ従業員」で生産量を増やすので、稼働率が上昇する。
しかし、一個前に書いたように、ライバルとの競争が熾烈で「値下してでも工場の稼働を維持する」状況になれば、コスト割れの生産増大に陥る場合もある。利益は急減し、ひどい場合は赤字決算になる。
また、投資家は稼働率が上がってくると「この工場はこれ以上は生産が増やせないから利益の増加も終わる」と判断して株を売却するので株価もピークする。

だから、稼働率を株式投資の判断材料にするにしても、あくまでも付随的な位置づけになるのだ。

(3)儲かっている時は、設備投資が増えますか?
儲かっている時は、受注が増えて、工場の稼働率が上がる。
製造キャパがもっと大きければ、さらに受注が増える可能性がある。

しかし、経営者は概して慎重だ。
景気が好転して受注が増え工場の稼働率が上がってきても、おいそれとは工場の規模を拡大したりはしない。
景気は上下動を繰り返すので、工場の規模を拡大した直後に景気の下降で完成した工場がぺんぺん草状態という「設備拡張が裏目に出る」事態を恐れるのだ。

経営者が強気になって設備拡張を決定するのは、景気サイクルの前半を超えて後半になってからの事が多い。
だから、設備投資の拡大を買いサインとして使うのは、賞味期限の短い投資になる確率が高いと春山は思う。

景気の改善を見越して先んじて工場を拡張したり従業員を追加採用するような先見の明を持った経営者は稀有である。

(4)儲かっている時は、従業員の採用が増えますか?
儲かっている時は、受注が増える。
営業担当や製造担当の人数がもっといれば、さらに受注が増える可能性がある。
しかし、経営者は概して慎重だ。景気は上下動を繰り返すので、採用を増やした直後に景気の下降すれば、「増やした従業員を遊ばせる」事態になることを恐れるのだ。
経営者の従業員に関する行動パターンは、
1:まずは残業を増やしてビジネスの繁忙に対応する。
2:それでも不足なら、パート、バイト、派遣社員などの非正規雇用で対応する。非正規雇用なら、需要が減退に応じて速攻で減らすことができるからだ。
3:労働市場がひっ迫して、非正規雇用の時間給が大幅に上昇したり、人数の確保が困難になって人出不足が深刻化して初めて、正規雇用を増やす。
ビジネスが下降局面に入った時、機械は止めることができる非正規雇用は切れる、しかし正規雇用の従業員は雇用を維持しなければならない。
正規雇用は長期にわたって賃金や福利厚生コストを払う「超長期の設備投資」のようなコスト・アップ要因なのだ。
設備投資と同様に採用増加の決定は、ビジネス・サイクルの後半になってからの事が多い。

だから、従業員採用拡大を買いサインとして使うのは、当たり確率の低い投資判断だと春山は思う。

株式投資も民主主義も心髄は参加主義
「今の株価は割高だ/割安だ」と思っていても、その意思に基づいた売買を実施しなければ、株価に影響を与えることはできない
longまたはshortのポジションを構築したあとは、待つ時間になる。
ポジション構築後の待つ時間は、自分の判断を信じてじっと待つのだが、「自分の判断を検証するためのアンテナ」を高くして待つのだ。
ポジションを構築したら、それを忘れて旅に出ればよい、、などと言う人もいるが、99%の投資家はそれでは成功できない。
自分の判断のすべてが正解とは限らない。
間違い判断は、早期に発見して、早期に撤収(=損切り)すべきなのだ。
株式投資と民主主義は似ている部分がある。
株式投資は「売買」、民主主義は「投票」という行為で意思表明を実行する。
株価や与野党議席に影響を与えるのは、売買や投票の瞬間だけだ。
しかし、投資の世界も民主主義政治も売買や投票に「至るまでの意思決定の過程」が重要なのだ。
様々なことを熟慮したうえで判断してから、売買や投票をするのだから。
そして、売買や投票を実施した後の観察が重要なことも似ている。
思った通りの株価動向になっているか、思った通りに政治家が行動しているか、、、それを事後チェックで監視するのだから。
意思決定までの過程、判断、実行、事後チェック、、この一連の過程が株式投資や民主主義政治に「参加すること」だと思うのだが、その底流に流れる心髄は似ていると思う。

証券アナリストの上方修正のパターン
アナリストがEPSを上方修正する、目標株価を引き上げる、それに反応して株価が上がる。
その様子を観察すると一定のパターンを認識できる。

(1)最も強気の数人のアナリストが常に先に上方修正し、それに呼応して株価が大幅に上がる。
例えば・・・
昨日終値:100
目標株価変更:110→120
本日株価動向:100→105、+5%
(2)少し遅れて、例えば一日遅れで、普通のアナリスとも上方修正するが、少ししか上がらない。
昨日終値:105
目標株価変更:105→110
本日株価動向:105→106

(3)最後に弱気のアナリストも上がった株価を見ながら次のような苦渋の目標株価の変更レポートを書く
本日終値:106
弱気アナリストの目標株価変更:90→100
これに対しては、市場は無反応だ
ハズレているアナリストには市場は反応しないのだ。
上昇している時の株価とアナリストの関係は、上記のようなパターンが多い。

証券アナリストの下方修正のパターン
証券会社のアナリストは、なかなか下方修正をしない
正確に言えば、ダメだと思っても書面では直接的に売りという言葉を使って書かないように教育(?)されている。
その背景は、直前までセールス部隊が「コレ買いましょう!」と営業して客に買わせているのだから、「はい、今日から売りです」などとは、おいそれとは書けないのだ。
もっとも多いパターンが
1;buyを維持したまま、予想EPSと目標株価を少し下げる
アナリストとしては、「あんたら、証券会社の書くレポートの癖、決まり事ってわかるよね、知ってるよね、株式投資の初心者じゃないのだから」という気持ちだと思うし、春山も株式投資の世界はそういうルールだと認識して売買判断すべきだと、現時点では思っている。将来はわかりません。
2;buyをholdに格下げする
「holdなのだから売る必要はない」と顧客が判断(誤解)するのは、投資家の自己責任
証券会社のアナリスト世界の暗黙の常識では、holdなんて投資に値しないという意味だと春山は理解しているけどね
3;ダンマリ
起こっている事実だけを解説して終わり
これが最低のアナリストだね
4;下がったのは買いのチャンスだと、自分の主張を変えない
まあ、これは許せるね
下方修正は不要だ、、、それも投資判断なんだからね

現状では、春山は以下のように考えている
1;売りは誰も教えてくれない、少なくとも書面では
2;自分で判断するしかない
買いは、色んな人が、プロもアマも含めて情報発信している。
でも、売りの情報発信は皆無に等しい

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