1:「貿易サービス収支が赤字でも、経常収支が黒字ならOK」ではダメなんです、何故なら・・・・
アメリカの援助(=配下の国の商品を輸入する)によって経済が発展して輸出国(=貿易黒字国)になった配下の国々は、輸入決済のために保持するUSドルの必要量が過去よりは少なくて済むようになります。
貿易黒字基調であれば、手持ちのUSドルが恒常的に増加するからです。
貿易黒字が続き、手持ちのUSドルが増えると、いわゆる外貨準備に余裕のある国になります。
一方パクス・アメリカーナの覇権国アメリカは、1970年代後半からは恒常的に貿易赤字が続いているので、配下の国から輸入する商品の購入代金として、USドルを渡し続けます。
こうなったときに一つの問題が生じます。
こんなに沢山のUSドルを持っていても仕方がないから、何か別のモノに変えようと思う配下の国が出現するのです。
1971年8月15日のニクソンショック以前であれば、外国政府はアメリカに対して「手持ちのUSドル35ドルで、1オンスの金に交換」するように要求できました。
金を信奉するフランスは何度も何度もアメリカに対して、「手持ちのUSドルを金に交換しろ!」と要求しましたが、アメリはのらりくらりと交換を拒否し続けました。
その後のニクソンショックでアメリはUSドルを金と交換しないと発表しました。そして世界の通貨は固定為替相場制から変動相場制に変わりました。
大量にUSドルを抱えこんだ外国政府はUSドルを他の通貨に交換する(=ドル売り)動きを始めました。その結果、USドルの為替レートはジリジリと下落を始めて今日に至っています。
USドルは世界貿易で不要になったのでしょうか?
アメリカの貿易赤字によって世界に供給されるUSドルによって、世界経済が成長を続けるという仕組みが変わったのでしょうか?
ユーロや日本円、中国の人民元で貿易決済をする場合もありますが、現在でも世界貿易の圧倒的多数はUSドルで決済をしています。
また新興国などは、経済発展のために必要な資金がありません。国債を発行したくても、国内には国債を買ってくれるような資金提供者もほとんどいません。必要な資金を出してくれるのは先進国(=外国人投資家)ですが、新興国の通貨には信用力がないので、新興国はUSドルで資金調達するしか資金を得る手段がありません。
中国の企業の多くもUSドルで債券を発行して資金調達しています。
世界貿易の決済手段は、金からUSドル変わりましたが、次の有力な候補者は見えていません。
しばらくは、USドルを使って貿易決済する、USドルで資金調達して経済発展を目指す、という状態が続くでしょう
続く
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