2010年12月20日月曜日

欧州危機の根本原因と、近い将来のLikelyシナリオ

欧州危機の根本原因(1)
第二次世界大戦後に、社会福祉を借金に頼ってしまった。。。。これが遠因だ

選挙のたびに有権者に媚びを売ろうと福祉の量と質を増大させてきた。それは福祉実行の間接経費である官僚組織を肥大化させるので官僚も政治家をサポートした。どうせ資金は税金と国債(=どちらも他人の金)なのだから自分の懐は痛まない。
他人の金で夢を売るほど楽な商売はない。破綻が露呈するころには我々は責任者から去って安全圏に引退しているのだから。しかも、負担をしょいこむ将来世代は幼いので有権者ではないので、文句を言わない。

こうやって分不相応の福祉巨大な砂上の楼閣として出現した。
増税が必要とされたが選挙の洗礼がある民主主義国家ではままならない。その結果、国債が福祉をまかなう主役に躍り出てしまった。

借金は、当初は国内借金で足りていた。国内の世代間バケツリレーだ。
ここでとどまるなら国内問題であり、現在の日本がこれに該当する。

しかし経常収支が赤字の国は国内に金が無いので、海外に金策するしかない。海外マネーは「強欲と恐怖の間を右往左往するHot Money」の性格を持っている。だから国の財務担当者は証券会社のセールスマンよろしく「良い面だけを強調して国債を売り込む」ことに専念することになってしまった。

好景気の時は税収もOK、海外からの借金も簡単だった。しかしサブプライム住宅金融バブル崩壊、リーマンショックを経て半世紀ぶり(=前回は第二次世界大戦前の1930年代)の大変な経済状況になってしまった。戦後の借金依存の社会福祉が「起こってほしくないと祈っていた状況」になった。

この状況では
海外マネーは「恐怖に支配されるHot Money」になって大量脱出をする。事前にわかっていても対応手段など用意できない性格のものだった。今は、アイスランド、ギリシア、アイルランド、ポルトガル、スペインの問題にとどまっているが、それ以外の国の借金依存度も50歩100歩である。後は投資家の心しだいだ。

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< 参考過去エントリー
マーシャル・プランと計画経済
先日10年以上のお付き合いのある米国人エコノミストと話をしていたら、彼が以下のことを述べました。
年金などに代表される社会福祉制度 は、ある意味では東西冷戦の産物であります。当時は、自分の陣営はこんなに暮らしやすい社会だと見せる事が政治的に重要でした。その社会福祉制度が計算上成り立たない仕組みであったとしても、冷戦の間だけでも維持する必要がありました。しかし、もう冷戦が終了し、維持が不可能なものを続けることが政治的に 不要となりました。
政治的に不要なものは、経済的に成り立つレベルまで縮小されるか、廃止されます。
われわれは、政治のショーが終わった事を認識する必要があるのです。

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1930年代の世界デフレは第二次世界大戦と言う超過需要(=ムダ)をつくって解消した。
現在の先進国デフレは新興国の超過需要(=結局無駄なるとして)で解消するのだろうか?
仮にそうだとしたら、住宅バブル(=住まない投機用住宅)に邁進した中国は先進国経済の救世主を演じた、、、ことになる。

逆 に、新興国の超過需要が無駄に終わらず生産設備として有効活用されるなら、先進国から消える製造設備は猛烈な規模になる。今後世界的な規模で3%~4%の インフレが起きない限り、先進国は実質マイナス・サムで利益を分け合う血みどろの状況(=今の日本)が継続する。これでは社会が長期間不安定化する


下は、1999年末=100とした円ベース月次チャートだが、新興国とアジア4カ国(韓国、台湾、香港、シンガポール)以外は、低迷している
長期株式市場_20101220
欧州危機の根本原因(2)
財政統合(=政治統合)に目をつぶって見切り発車した通貨統合

分かっていたけど他に選択肢はなかった、、、欧州のEU統合主義者は、こう言い訳するだろう
(1)通貨統合で様々な為替がらみの域内経費を減らすプラスの効果が見えた
(2)経常収支赤字国の高い調達金利が低下するので多数の小国が賛成した=そうでもなければ小国は通貨統合に参加しない
(3)しかし経常収支のアンバランスを是正する努力(努力=痛みを伴う)はしなかった=人間のレベルは通常そんなものである=甘いケーキを先に食べて、宿題をせずに遊び呆けてしまったのだ。

通貨統合が決まる時から、将来の経常収支アンバランス問題は懸念されていた。それは将来の政治統合時に解決(=富の再配分)することに先送りされた。しかし、いつまで経っても政治統合は話題にも上らなかった。政治が統合されなければ、強権を必要とする国境を越えた富の再配分は不可能だ。国境を越えたSafetyNet構築もできない。

評論家やビジョナリストは、簡単に政治統合を叫ぶが、誰も主権(=支配権、税金徴収権)を捨てない。歴史上そんな例を私は知らない。
主権は他人の財産を合法的にピンハネする権利である。主権は、より強力な者に奪われることはあっても、自ら手放す者はいない。

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通貨統合 VS 通貨連動制度(例:ドル・リンク)
通貨連動は、所詮別通貨が勝手にメリットを感じる通貨に連動して、短期の経済的な恩恵を享受しようとする手法である。
これは一種のズルに分類される。実力以上の背伸びをするのが通常であるからだ。無理やり為替リスクを消すものの、信用リスクは消せないので高金利が残る。
そこを目指してHot Moneyが乱入して食い散らかして逃げ去る。結局、ズルはズルにすぎず、後で手ひどい報いを払わされる。80年代の南米、90年代のアジア、枚挙にいとまが無い。
連動される側(主としてアメリカ)は混乱する国は所詮別の国だから、「勝手に混乱しろ!」という態度だ。救済に際しても自国の利益を優先しつつ救済の名誉を得るように行動する。

通貨統合では、所詮別の国だから、「勝手に混乱しろ!」という態度をとれない。同一通貨だから自分の使う通貨が混乱するのだ。このときリーダーが国境をこえた主権を持っていれば、強権を発動して様々な超法規的措置を実行できる。
現在のEUには、このリーダーが不在だ。ドイツがその地位にふさわしいが、誰もドイツ(もしくは、ドイツが主導するEU政府)に主権の一部たりとも渡そうとしない。

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歴史上の強力なリーダーである、ローマ・大英帝国・アメリカ・ソ連はいずれも、強力な経済力と軍事力を保持した。経済力は配下の国に飴をあたえ、軍事力は鞭をふるった
この飴と鞭で配下の国から主権の一部を奪って、国境をこえた超法規的な行動を可能たらしめた。覇権国の権利と義務の関係だ。

分不相応な割高レートでユーロに参加したPIIGSなど周辺弱小国
これは説明の必要もなかろう。PIIGSなどは参加資格に達していないのに、背伸びをして(=正確にはユーロ加入テストでズルをして)加入した。
しかも参加後の為替調整(=辛くなったときの為替切り下げ政策)の喪失を考慮して割り安気味で加入するならともかく、経済の絶好調の時に一時的に出現する割高な為替レートで加入してしまった。その後の景気低迷時に起こる苦痛は約束されていたも同然だ。

共通為替で経済的に最も得をしたのはドイツだ。放っておけば製造業の競争力格差は拡大する。生じる周辺欧州国家との不均衡をマルク切り上げで定期的に調整していたのだが、それが政治的に不要になった
これは非常に大きい。ドイツは不均衡拡大を誰にも邪魔されない。文句を言われずに正々堂々と金儲けを継続できる。
本来ならマルク高で為替差損をこうむっていたハズのドイツだ。
今やその超過利潤をPIIGS救済に使って、何がしかの国際政治的な利権を得るには適当だろう。

近い将来のLikelyシナリオ
(1)海外借金分の肩代わり=過去の不均衡の後処理
(2)借金体質改善=将来の不均衡の予防対策


(1)は緊急の課題だ。四の五の言っても仕方が無い。どこかから資金を集めて借金の借り換えをやり続けるしかない。
当 たり前の話だが、金はあるところにしか無い。ほとんどが大きな経常黒字であるドイツが持っている。ドイツが金だけ出して口を出さない時代が続くわけがな い。周辺小国も先刻承知の助で単にその条件交渉や時間稼ぎをしたいだけだ。もうAll or Nothingで勝負ができる時間は終わったのだ。

2013年から始まる肩代わりファンドは、EU、ECB、ドイツ(+ドイツ銀)、フランス(周辺国のナダメ役)という役者が進めるだろう。
巨大金融機関は利害関係が大きいので、半強制的にファンドに出資を強いられるだろう。
このファンドはドンドン大きくなるだろう。日本の地方交付税と同じだから借りた国は返さないだろう。( 正確には、返さないのではなく、返せない

(2)は(1)を通じてEU,ECB,ドイツ(+ドイツ銀)、フランスが形成するEUの新権力者が国境を越えた強制力を獲得するまでお預けだろう。
富の再配分・所得移転は、競争力格差是正が達成されるまでの補助金・時間稼ぎである。しかし、そのような格差是正が達成された事例を私は知らない。多額の所得移転を通じて多少の格差是正ができるのが関に山だろう。むしろ所得移転の主目的は主権を奪われ支配される経常赤字国に対する政治的なガス抜きという性格になるだろう。

とはいえ、近代欧州400年の歴史はドンキホーテよろしく、不可能にチャレンジし続けてきた歴史でもある。3歩進んで2歩下がるという2010年代だろう。


関連の深い過去エントリー : 特集 揺れるヨーロッパ : 東欧、PIIGS,アイスランド
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目次 : 欧州金融危機
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